本提言集は、今回の東日本大震災が直接的な被災地域にとどまらず、日本全体の経済、産業、金融、社会、国民生活に、多面的で深刻かつ困難な諸問題を投げかけている状況に鑑み、当行設備投資研究所とのネットワークを有する外部有識者に対して、日頃の研究や関心を基にした自由な立場からの提言や意見をお願いし、当行研究員の見解と合わせて取りまとめたものです。
本提言集で採り上げられたトピックスは広範囲にわたるとともに、論争的なテーマも多く、識者によって異なる主張が展開されている場合もありますが、アカデミックかつリベラルという当研究所設立以来の伝統に照らし、さまざまな立場の先生方から頂戴した論考を基本的にはありのまま掲載致しました。
多種多様な提言のなかから、共通の論点や意見を集約した9提言を列記すると、以下の通りとなります。
1. | 復興は、地域コミュニティが中核となり、被災者及び地域住民の意思を極力反映させる形で進めるべき。 | |
2. | 地域間連携やペアリング支援などのきめ細かい取り組みが有効。 | |
3. | 復興を成功させるためには、ソフト面での社会変革が必要。 | |
4. | 復興プロセスへの国の直接的関与は最小限にとどめ、民間活力と市場メカニズムを活用すべき。 | |
5. | 電力不足対策としては、使用料金引き上げが基本。 | |
6. | ミクロの金融面には、PFI、ファンド、マイクロファイナンスなど様々なチャネルが必要。 | |
7. | 被災状況を把握し、復興につなげるための情報及び統計の整備を。 | |
8. | 今次の大災害を創造的破壊につなげていくためには、産業のイノベーション、現場力、企業家能力が重要。 | |
9. | 震災リスク管理が失敗した教訓を将来に生かせ。 |
本提言集が、産官学及び被災地域の自治体が連携して、被災者及び国民の目線を常に保ちながら、現在各方面で検討されている被災地域の復興や日本の経済社会の再建に向けた取り組みに一助となれば幸いです。
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設備投資研究所 電話番号 03-3244-1890
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