「わが国水道事業者の現状と課題 [最終報告]」を発行

 株式会社日本政策投資銀行(代表取締役社長:柳正憲、以下「DBJ」という。)は、調査レポート「わが国水道事業者の現状と課題[最終報告]」を発行しました。

 当レポートでは、平成26年12月および平成27年5月に発行した2つの中間報告を踏まえ、広域化事業者へのヒアリングをはじめとするケーススタディ等を元に、広域化を中心とする効率的で持続可能な水道システム構築の実現に向けて具体的な提言を行っています。

 当レポートの具体的な提言の骨子は以下の通りです。
(1)水道広域化の実現に向けて
・ 広域化を推進するため、地域間格差を縮小する観点から、一案として国・県による水道料金の格差縮小・再配分スキームの構築が考えられる。その前提として、水道事業者の経営の透明性を確保する観点から、水道料金算出基準を全国で統一することが望ましいと考える。
・ 一方、水道事業者が広域化を実現するためには、県をはじめとする用水供給事業者を中心とする垂直統合や同じ流域内における事業統合など、広域化の効果が最大化される組み合わせにより検討を進めることが重要である。
・ 広域化の法的スキームとしては、既存の広域化組織(一部事務組合等)の活用により事務的調整・人件費等コストの最小化を図るとともに、地方自治法による事務の委託や事務の代替執行といった官官連携スキームの活用も有効である。
・ 広域化の効果を最大化するためには、民間事業者を最大限活用するとともに、用水供給契約の改訂(一本化)をはじめとする事業者間における負担の見直しにも取り組むことが求められる。
・ 広域化を実現する際のポイントとしては、首長(トップダウン)と職員(ボトムアップ)の一体的な取り組み、キーパーソンの存在、柔軟な統合プロセスやスキームの活用、職員の出向・転籍等によるノウハウの継承などが挙げられる。
(2)効率的で持続可能な水道システム構築の実現に向けて
・ 効率的で持続可能な水道システムを構築するためには、広域化の実現とともに、民間事業者等の効率的な活用の推進(PPP・PFIの推進)を最大限進める必要がある。とりわけ、官民共同出資の水道事業受け皿会社による事業展開により、民間事業者の育成および全国レベルでの広域化推進が可能となる。広域化や民間事業者活用の推進に当たっては、英国のOfwat等世界の先進事例から学ぶ点も多い。

 当レポートをご希望の方は、DBJウェブサイト「その他レポート」(https://www.dbj.jp/investigate/list/?year=2015&cat=report)に掲載していますので、ご参照ください。

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