アルプス電気(株)に対し、「DBJ BCM格付」に基づく融資を実施

 株式会社日本政策投資銀行(代表取締役社長:柳正憲、以下「DBJ」という。)は、アルプス電気株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役社長:栗山年弘、以下「当社」という。)に対し、「DBJ BCM格付」に基づく融資を実施しました。本件は、5年ぶりに大幅改訂した「DBJ BCM格付」の初適用となりました。

 「DBJ BCM格付」融資は、DBJが開発した独自の評価システムにより、防災および事業継続への取り組みが優れた企業を評価・選定し、その評価に応じて融資条件を設定するという、「BCM格付」の専門手法を導入した世界で初めての融資メニューです。

 平成18年4月に運用を開始した前身の防災格付は、平成23年8月に東日本大震災やタイの洪水災害を機に「DBJ BCM格付」へと改訂しました。「DBJ BCM格付」に基づく融資実績は233件、2,825億円となりました(平成28年3月末時点)。この間、世界経済フォーラム(ダボス会議)、国連防災世界会議、APECなど国際機関においてもレジリエント(注1)な社会の実現に資する金融商品として、高い評価を得ています。

 今般、サスティナビリティを支える企業の危機管理経営力の高度化や国内外で発生する事業継続上の様々なリスクへの包括的な対処を目的とした改訂を行いました。

 当社は、小型スイッチやセンサー、車載用ユニットやモジュール等、日常で使用される様々なエレクトロニクス機器向け部品メーカーとして世界トップクラスのシェアを有しています。同社は、東北、新潟地域に7つの工場拠点を有し、平成23年の東日本大震災において、優れた防災および事業継続対策への取り組み等が奏功し、被害を最小限にとどめ、通常の生産ラインへの復旧を極めて短期間で実現しました。

 今回の格付では、以下の点を高く評価しました。

(1)防災対策では、総合防災訓練等を通じた自社従業員に対する人命安全確保の徹底に加え、地域住民や帰宅困難者に対する生活物資およびスペースの提供など、地域コミュニティと連携した取り組みを積極的に進めている点
(2)事業継続対策では、取引先への供給責任を果たすために、製造および物流のリードタイムを踏まえた生産再開目標を定め、戦略的に必要となる在庫水準を把握・確保している点
(3)東日本大震災を契機に、サプライチェーンにおける危機管理の高度化を図っており、各種データーベースの構築、取引先等の事業継続能力の把握、ボトルネック部材の特定等を行っている点

 その結果、当社は「防災及び事業継続への取り組みが特に優れている」という最高ランクの格付を取得しました。

 DBJは、企業理念「金融力で未来をデザインします~私たちは創造的金融活動による課題解決で、お客様の信頼を築き、豊かな未来を、ともに実現していきます~」に基づき、有事における事業継続に向けたお客様の取り組みを積極的に支援してまいります。


(参考)BCM格付 新旧対照表

(参考)BCM格付 新旧対照表

 経営者のリーダーシップ、従業員の命を守る企業としての安全配慮義務の徹底、経営におけるリスク管理方針の策定、網羅的なリスク把握と優先的に管理するリスクの特定、財務影響評価を含むBIA(注2)の実施、リスク・コントロールとリスク・ファイナンス双方からの危機対処策の戦略検討、危機対応の実効性を高める訓練の実施、ステークホルダーとのリスク・クライシスコミュニケーションの観点を充実させました。

(注1) レジリエントとは、一般に回復力・復元力と解釈されるが、ここでは、自然災害をはじめとするあらゆる災害や危機時の環境変化に対する適応力と、これを契機に新しい均衡環境を創造する力の双方の概念を総合する言葉として用いている。
(注2) BIAとは、Business Impact Analysis(事業影響度分析)の略であり、事業の中断による、 業務上や財務上の影響を分析する手法のこと。重要な事業・業務・プロセスおよびそれに関連する経営資源を特定し、事業継続に及ぼす経営等への影響を時系列に分析を行う専門手法。重要業務の特定、ビジネスプロセス分析、ボトルネック分析、復旧優先順位の決定、目標復旧時間・レベルの設定の手順を踏む。(出典:内閣府 防災担当「事業継続ガイドライン 第三版―あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応―」)


【お問い合わせ先】
 BCM格付の改訂について 環境・CSR部 電話番号03-3244-1170
 本件融資について 企業金融第2部 電話番号03-3244-1660

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