現在、世界は不確実性と構造変化が同時進行する局面にあります。産業構造の転換やグローバルな競争の激化、地政学リスクの高まりに加え、東京一極集中の加速・地域における人口減少といった社会的課題が顕在化しています。また、生成AIをはじめとする技術革新が急速に進展し、企業経営や産業構造に非連続な変化をもたらしています。こうした環境下では、将来を見通す洞察力と変化への適応力が従来以上に求められており、金融機関に対しても、単なる資金供給にとどまらず、課題の発見・構造化から解決に至るまで、主体的に関与する役割が期待されています。
DBJグループは、前回の中期経営計画において「つなぐ、共につくる」を掲げ、GRIT戦略【注:持続可能な社会の実現に向けた投融資戦略(G:Green, R:Resilience & Recovery, I:Innovation, T:Transition/Transformation)】の下で持続可能な社会の実現に向けた投融資やナレッジの提供を進めてまいりました。新たな中計2030では、これらの取組を継続しつつ、「価値共創パートナー」という目指す姿を明確に打ち出しています。
この価値共創とは、DBJグループが、お客様をはじめとする企業、金融機関、官公庁など多様なステークホルダーと共に、長期的視点に立って社会課題や経営課題に主体的に取り組み、経済価値と社会価値を同時に創出していく取組を意味します。従来のように資金を供給する立場にとどまるのではなく、お客様へのエンゲージメントの強化や対話の深化を通じて、課題の構想段階から関与し、関係者を「つなぐ」機能を発揮しながら、最適な解を共に形成していく点に特徴があります。
その実現に向けては、DBJグループの強みである投融資一体型ビジネスモデルの更なる深化を図ってまいります。事業再編・中堅企業成長サポート等顧客起点の投資強化、M&Aグループ会社新設によるアドバイザリー機能強化に加え、産業・地域に関する知見・ナレッジを有機的に統合することで、より高い付加価値を提供してまいります。これらを支える取組として、投資後のアセットバリュー活用等の投資ポートフォリオ経営の導入、積極的なAI活用等による生産性向上・業務高度化を含む、機能強化のための人材育成・経営基盤整備にも取り組みます。
これにより、顧客起点で最適なソリューションを設計し、構想段階から実行・実現までお客様をサポートする体制の構築を目指します。
また、中計2030では、これらの進化を「第二創業」と位置づけています。第二創業期においては、これまでのレンダーとしての機能に加え、共同投資家・株主としての共同事業推進主体の両方の機能を併せ持つ、特徴的な金融機関グループとして挑戦していくことを企図しています。
これは、あえて第二創業という強い言葉を掲げることで、役職員のマインドを変えていくとともに、グループ役職員一人ひとりが 「第二創業期という次のステージに立ち、更なる挑戦を進めていく」という強い気概を持って、価値共創パートナーを目指すという考えに基づくものです。
加えて、中計2030においては、目指す姿を実現するために、①「リスクマネー供給」、②「GRIT関連投融資」、③「地域課題解決への貢献」という3つの目標に注力してまいります。特に、①「リスクマネー供給」に関しては、前中計において3年間で1兆円を目標としていたところ、5年間で3兆円のリスクマネー供給を目標に掲げており、これは、投資を中心とした資金供給の一層の加速を図るものです。
DBJグループは、価値共創パートナーとして社会・産業・地域の成長を支え、マテリアリティ(経営上の重要課題)に掲げるインフラ、産業、地域、金融等の分野を中心に社会課題の解決に貢献することで、日本と世界の持続的な発展に寄与していく考えです。
この記事は季刊DBJ No.59に掲載されています