金融用語集

金融に関する用語を50音別とアルファベット別にまとめています。是非ご利用下さい。

あ行

アップ・フロント・フィー(Up-front Fee)

ファイナンスのアレンジメントと参加検討の対価として、貸し手金融団に支払われる手数料で、融資総額の一定比率で一括して支払われる。アレンジメントに対する対価と参加検討に対する対価の両方の側面を有すため、それぞれの機能に対応するフィーを区分して支払うケースもあるが、ファイナンスアレンジを行う金融機関が一括の手数料として受け取り、シンジケート・ローンにおける参加銀行にも一定比率で配分するケースが一般的。

アプレイザル(Appraisal)

物件の鑑定評価、あるいは鑑定評価書のこと。「不動産鑑定評価書」の項を参照。

アベイラビリティーフィー(Availability Fee)【PFI】

民間事業者により施設や設備が一定の水準で整備されており、主要なサービスが提供されている限り公共から固定的に支払われる対価。

アレンジャー(Arranger)

契約条件の検討・取りまとめ、参加金融機関の招聘、契約書の作成等を担い、案件組成までの実務全般を行う存在のこと。

アレンジメント契約(Arrangement)

各案件において、ファイナンスのアレンジメント(組成)と融資検討を行う立場を有する金融機関をアレンジャーというが、アレンジャーとしての参加を明確にし、かつ守秘義務や必要な弁護士費用等の借入人における支払義務等を定めることを目的とした契約のことをアレンジメント契約という。

ESG

企業の長期的成長に繋がる環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取組を総称し、それぞれの頭文字を取ったもの。企業の持続的成長を測る指標として、欧州を中心に機関投資家の間で広まってきた。また、投資の意思決定において、財務情報だけでなく、ESGも考慮に入れる手法を「ESG投資」という。「ESG投資」はいくつかの種類に分類され、最も使われている手法は「ネガティブ・スクリーニング」と呼ばれる、特定の社会的または環境的基準を満たさない業界・企業を除くものである。昨今では、こうした「ネガティブ・スクリーニング」に該当する事業を行っている企業への投資撤退や取引中止の動き(「ダイベストメント」)が見られる。

イニシアティブディスポジッション(Initiative Disposition)

アセットファイナンスの出口戦略(Exit Mechanism)において、レンダー等の関係当事者が有する指図権のことをいう。

一般競争入札【PFI】

地方自治体が契約を締結する際の原則的方法。競争入札のうち、入札に加わる者を限定せず、入札者のうち地方自治体に最も有利な条件を提示する者と契約を締結する方法。関連:公募型プロポーザル方式

一般競争入札の参加資格【PFI】

PFI事業における事業者選定は一般競争入札を原則とする(PFI基本方針、自治事務次官通知(2000年3月29日付))が、競争入札においては、履行能力に問題のある者や、適正な契約手続の障害となるような行為をする恐れのある者等の不適格者を排除するため、参加資格者制度が設けられている(地方自治法234VI)。関連:WTO政府調達に関する協定

インキュベーションファンド

(主としてシード・スタートアップ段階におけるビジネスプランニングから関与し、)ハンズオン型の投資・経営指導により投資先企業の成長、企業価値の向上を図る投資事業組合。

ウォーターフォール(Waterfall)

プロジェクトファイナンスやアセットファイナンスにおいて、対象プロジェクトが生み出したキャッシュは、各種費用、修繕、元利金支払いその他に充当されることになるが、それらの支払の順序に優先劣後関係をつけたものを、ウォーターフォールと呼ぶ。ウォーターフォールに従った支払を確実にするため、信託ないし銀行の口座による管理がなされることが多い。

運営・維持管理契約

「O&M契約」の項を参照。
O&M契約(Operation & Maintenance)
操業・保守等の業務委託契約のこと。事業会社(SPC)とO&M業者との間に締結され、プロジェクトの運転、点検・保守等をアウトソースする契約。融資団としては、オフテイク契約上事業会社に残るリスクのうち、O&M業者によるプロジェクトの運営上発生した損害等については、O&M業者に負担義務が移転しているかをはじめとする各種事項につき検討することになる。

エグジット(Exit)

アセットファイナンスにおいて、元本の償還期日到来時、ないし期限の利益喪失時における償還原資を確保するための戦略のことで「出口戦略」ともいう。一般的には、対象プロジェクトが順調にキャッシュフローを生み続けている限り、社債発行や借入を通じたリファイナンスによる事業継続を図り、償還期日までにリファイナンスの見込みが立たない場合は、テイル期間を設けてその期間内に売却手続を図る、とするストラクチャーが多い。

エージェント(Agent)

シンジケート・ローンやプロジェクトファイナンス等において各レンダーの業務代行を行う存在のこと。借入人・SPCのキャッシュフローを口座管理するエージェント、担保管理を行うエージェント、契約関連事項を管理し全レンダーの意思を借入人・SPCに伝達するエージェント等、案件の各局面において存在する。エージェントは通常、レンダーからの業務受任に伴う善管注意義務を負担する一方、業務の報酬として一定のエージェントフィーを要求する。

エコセメント

エコセメントとは、一般廃棄物(都市ゴミ)焼却灰を主原料として、下水汚泥や石灰石等を加えて製造したセメント。

エスクロー勘定(Escrow)

プロジェクトファイナンスやアセットファイナンスにおいて、対象プロジェクトが生み出したキャッシュを、各種費用、修繕費用、元利金支払等に確実に充当するために、銀行や信託銀行に信託勘定を開設し、支払の目的に応じた各種口座を設定して口座管理を行うことが多い。そのための勘定をエスクロー勘定と呼ぶ。escrowとは、第三者寄託を意味し、このような口座管理の受託者として信託銀行が用いられることが多い。

SDGs

2015年9月の国連で合意された2030年までの世界共通の目標「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の誰一人取り残さないことを誓っている。SDGsは、途上国への取り組みに重きを置いていたMDGs(Millennium Development Goals)の後継であるものの、17のゴールを先進国自身も取り組むべき普遍的なものとして位置付けたことや親しみやすいカラフルなアイコンを作成し公開したことから日本でも浸透し、事業活動を通じたSDGsの達成への貢献を企図する企業も増えている。

M&Aアドバイザリー

企業の買収・合併、事業売却、合弁、事業のリストラクチャリング、スピンオフ、株式交換、レバレッジド・バイアウト(Leveraged Buyout:LBO)、企業防衛などに対する多岐にわたるアドバイス業務のこと。企業経営にかかわる戦略的アドバイスやソリューションを提供することで、顧客の短期ならびに長期的な目標の達成を支援する。

エンジニアリングレポート(Engineering Report)

新設物件にせよ既存物件にせよ、融資対象となる建物の質については、物件の耐用期間、設備機械関連、構造上の特色、長期修繕費用等につき、建築物として償還期間中継続的に想定のキャッシュフローを生むに耐えうるものであるかという観点から、中立的な第三者(IE)によるデューディリジェンスが必要となる。建物の耐震性については、別途地震コンサルによる地震デューディリジェンスを行うケースが多い。

公の施設【PFI】

地方自治体の施設のうち、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために設けられる施設(地方自治法244Ⅰ)。公の施設と呼ばれるためには5つの要件(住民の利用に供すること、区域内に住所を有する者の利用に供すること、住民の福祉を増進する目的をもつこと、物的施設であること、地方自治体が施設について何らかの権原(所有権等)を取得していること)を満たす必要があると解されており、例としては公園、病院、学校、博物館等。

オフテイカー(Off- Taker)

プロジェクトファイナンスにおいて、事業会社が生み出すサービスを購入する者のことをオフテイカー(引き取り手)という。オフテイカーから事業会社に対するサービスの購入対価が、事業会社に対する融資の唯一の返済原資となることから、オフテイカーの信用力はプロファイスキームの信用性判断の重要な一要素となる。

オフバランス(Off Balance)

オフバランスとは、資産を親会社のバランスシートから外し、自己資本比率の向上や資金調達総額の圧縮を図ることである。金融情勢の変化等を背景に、事業費が巨額で投資回収にも長期を要するものは、事業主体となる企業が自ら資金調達を行い、事業リスクを全面的にとることが難しくなってきているが、リスクを親会社から切り離し、関係当事者間で分散させることもオフバランス化の意義である。

オペレーティングリース(Operating Lease)

企業が資産をリースしている場合に、その資産の所有権が企業になくても、そのリースが実質的には資産保有と同様の効果を生じている場合には、リース資産を通常の資産と同様資産計上する、というのがリース会計の考え方であり、リースであっても資産計上すべきものをキャピタルリースないしファイナンスリースといい、リース料相当分を費用計上するのみで資産計上しないリースのことをオペレーティングリースという。

オリジネーター(Originator)

債権を最初につくりだした原債権者をいうが、アセットファイナンスの場合は、流動化するための資産を所有していた企業のことをさす。オリジネーターは、資産を流動化した後は、SPCからの倒産隔離の要請から、施せる信用補完は一定程度に限定されるが、匿名組合員として一定の匿名組合出資を行ったり、信託譲渡先である信託銀行から資産の賃借を受け、テナントに転貸を行ったり等、スキーム上では種々の局面で登場する。