リスク管理

リスク管理態勢

DBJでは、経営の健全性を確保するため、リスク管理を行っています。具体的には、管理すべきリスクを特定・評価したうえで、リスクカテゴリーごとに担当する管理部門を明確化し、リスク統括部を統括部門として、必要なリスク管理態勢を構築しています。

ALM・リスク管理委員会及び一般リスク管理委員会は、取締役会の定めた統合的なリスク管理に関する基本方針に基づき、各リスクについての重要事項の審議及び定期的なモニタリング等を行っています。

リスク管理態勢 リスク管理態勢

統合リスク管理

リスク統括部では、統合リスク及び各リスクについて計量化に取り組んでいます。経営会議が業務計画やストレステストの結果等を勘案して定めたリスクガイドラインに基づき、リスク統括部は、統合リスク量や各リスクカテゴリーのリスク量を一定の目標水準にコントロールしています。また、経営企画部は、RAROC等のリスク・リターン計測の取り組みを開始しています。

信用リスク

信用リスクとは、与信先の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスクをいいます。DBJでは、コーポレートローンに加えてノンリコースローン等による与信を行っており、信用リスクの取得は収益の源泉として最重要なリスクカテゴリーの一つと位置づけ、個別案件の与信管理及び銀行全体としてのポートフォリオ管理を行っています。

個別案件の与信管理

DBJは、投融資にあたっては、事業主体のプロジェクト遂行能力や、プロジェクトの採算性などを中立・公平な立場から審査しているほか、債務者格付制度を設けています。またDBJは、「銀行法」及び「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)の対象ではありませんが、金融庁の「金融検査マニュアル」等に準拠した「自己査定基準」に則り、自主的に資産の自己査定を実施し、信用リスクの適時かつ適切な把握に努めています。「資産自己査定」の結果は監査法人の監査を受けるほか経営陣に報告され、信用リスクや与信額の限度に応じた債務者のモニタリングに活用されています。
DBJでは、個別案件の審査・与信管理にあたり、投融資部店と審査部署にて、相互に牽制が働く態勢としています。
また、投融資決定委員会を開催し、個別案件の管理・運営における重要事項を審議しています。
これらの相互牽制機能により、適切な与信運営を実施する管理態勢を構築しています。

債務者格付制度

DBJの債務者格付は、取引先等の信用状況を把握する方法として、「評点格付」と「債務者区分」を統合した信用度の尺度を用いて実施しています。
「評点格付」とは、業種横断的な指標・評価項目を選択し、取引先等の信用力を定量・定性の両面からスコアリングにより評価するものです。一方、「債務者区分」とは、一定の抽出事由に該当した債務者について、実態的な財務内容、資金繰り、債務返済の履行状況等により、その返済能力等を総合的に判断するものです。

資産自己査定制度

資産自己査定とは、債務者格付と対応する債務者区分及び担保・保証等の状況をもとに、回収の危険性、または価値の毀損の危険性の度合いに応じて資産の分類を行うことであり、適時かつ適切な償却・引当等を実施するためのものです。

債務者格付区分表

債務者区分 債務者格付 定義 金融再生法開示債権区分
正常先 1~8格 業況は良好であり、かつ、財務内容にも特段問題がないと認められる債務者。 正常債権
要注意先 9~11格 業況が低調ないし不安定な債務者または財務内容に問題がある債務者など、今後の管理に注意を要する債務者。
要管理先 12格 要注意先のうち、当該債務者の債権の全部または一部が要管理債権である債務者。 要管理債権
破綻懸念先 13格 現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画などの進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者。 危険債権
実質破綻先 14格 法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている債務者。 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破綻先 15格 法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者。
具体的には、破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者。

ポートフォリオ管理

ポートフォリオ管理については、債務者格付等を基礎に統計分析を行い、与信ポートフォリオ全体が内包する信用リスク量を計測しています。信用リスク量は、一定の与信期間に発生すると予想される損失額の平均値である期待損失(EL:Expected Loss)と、一定の確率で生じ得る最大損失からELの額を差し引いた非期待損失(UL:Unexpected Loss)によって把握され、ELとULの計測結果をALM・リスク管理委員会に報告しています。
こうしたモニタリングや対応方針の検討を通じて、リスクの制御及びリスク・リターンの改善について鋭意検討を進めています。

投資リスク

投資リスクは、投資先の財務状況の悪化、または市場環境の変化等により、資産の経済価値が減少ないし消失する結果、損失を被るリスクをいいます。DBJでは、企業、ファンド、インフラ、不動産などに対して未上場を中心としたメザニン・エクイティなどに投資を行っており、DBJの収益の源泉として最重要なリスクカテゴリーの一つと位置づけ、個別案件の投資決定・管理及び銀行全体としてのポートフォリオ管理を実施しています。
個別案件管理では、信用リスク管理に準じた審査・投資管理に加え、投資対象区分に応じた目標リターンに基づく投資判断、ならびに定期的なモニタリングを実施しています。ポートフォリオ管理では、投資対象区分や回収方法の差異に着目し、信用リスク計測または市場リスク計測の方法を応用したリスクの計量化を行っています。

市場リスク

DBJでは、市場リスク管理として、金利リスクと為替リスクを主な管理対象としています。DBJでは、市場リスクを投融資業務に付随する受動的なリスクと位置づけており、以下の通り管理しています。なお、特定取引(トレーディング)業務を行っていせんので、同業務に付随するリスクはありません。

金利リスク

金利リスクとは、金利の変動に伴い損失を被るリスクのことで、資産と負債の金利または期間のミスマッチが存在しているなかで金利が変動することにより、利益が低下ないしは損失を被るリスクです。
DBJでは、金利感応度(Duration及びBasis Point Value)、VaR( Value at Risk)といった多面的な指標を用いたモニタリングを行うと共に、経営会議で定めたALM方針に基づき、金利リスクを適切にコントロールすることを通じて、全体の金利収支や経済価値の最適化を図る経常資産負債の総合管理を実施しています。なお、金利リスクのコントロールに関連し、金利スワップ取引等を一部行っています。

為替リスク

為替リスクとは、外貨建資産・負債についてネットベースで資産超または負債超ポジションとなっていた場合に、為替レートが変動することにより損失が発生するリスクです。DBJの為替リスクは外貨建投融資及び外貨建債券発行等により発生しますが、外貨建資産・負債のネットベースのポジションについては為替スワップ取引等により為替リスクを抑制しています。

なお、これらのスワップ取引等に伴うカウンターパーティリスクについては、取り組み相手の信用力を常時把握したうえで限度枠の設定により管理しており、また中央清算機関の利用及び相対のCSA(Credit Support Annex)に基づく証拠金の授受によるリスク管理を図っています。

流動性リスク

流動性リスクには、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく不利な条件での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金流動性リスク)と、市場の混乱等により市場において取引ができなくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)があります。
DBJにおける資金調達は主に、預金をはじめとする短期資金ではなく、社債や長期借入金に加え、国の財政投融資計画に基づく財政融資資金、政府保証債などの長期・安定的な資金に依拠しています。
また、不測の短期資金繰り状況等に備え、資金繰りの逼迫度合いに応じて適切な対応策(コンティンジェンシー・プラン)をあらかじめ定めています。
さらに、日銀決済のRTGS(Real Time Gross Settlement:1取引ごとに即時に決済を行う方式)を活用して営業時間中の流動性を確保すると共に、決済状況について適切な管理を実施しています。
DBJでは、信用・投資・市場リスクのみならず、流動性リスクについても、ALM・リスク管理委員会において審議を行っています。

オペレーショナル・リスク

DBJでは、内部プロセス・人・システムが不適切もしくは機能しないこと、または外生的事象が生起することから生じる損失にかかるリスクを、オペレーショナル・リスクと定義しています。DBJにおいては、リスク管理態勢の整備等の取り組みを通じて、リスクの削減と顕在化の防止に努めています。オペレーショナル・リスク管理については、一般リスク管理委員会において審議を行います。
オペレーショナル・リスク管理のうち、特に事務リスク管理及びシステムリスク管理については、以下の通りです。

事務リスク管理

事務リスクとは、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスクです。DBJにおいては、マニュアルの整備、事務手続きにおける相互チェックの徹底、教育・研修の実施、システム化による事務作業負担の軽減等を通じ、事務リスクの削減と発生の防止に努めています。

システムリスク管理

システムリスクとは、コンピュータシステムのダウンまたは誤作動などシステムの不備等に伴い損失を被るリスク、さらにコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスクを指します。DBJにおいては「システムリスク管理規程」に基づき、システムリスク管理を一元的に行うためにシステムリスク管理部門を設置し、情報システムの企画・開発、運用及び利用の各局面におけるセキュリティスタンダードを定めることにより、全行的なシステムリスク管理態勢の充

事業継続への取り組み

DBJは、お客様や株主、役職員などのステークホルダーの利益を守り、また、社会的使命を果たすとの観点から、自然災害(とりわけ大規模地震)、インフルエンザ等感染症の蔓延(パンデミック)、システム障害、停電などの様々な緊急事態発生時に、業務の継続・早期復旧を図るため、事業継続計画(BCP)を策定しています。
BCPにおいては、災害対策委員会の体制、各業務の優先度、及び有事の際の具体的な行動手順等をわかりやすくまとめています。また、業務の継続・復旧にかかる方針策定にあたっては、具体的なインシデント(首都直下地震等)を想定し、インシデントごとの被害想定に応じた対応を定める手法を採っています。

事業継続のための対策

確実な事業継続を図るため、各種の対策を講じています。

システムの堅牢性向上

メインセンターで高度なセキュリティ水準を確保すると共に、万一メインセンターが稼働できない場合に備え、バックアップセンターを構築しています。

重層的な通信手段の確保

夜間・休日における対応も含め、役職員の安否や参集の可否等を迅速に把握し、情報伝達を確実にするため、安否確認システムを導入しているほか、主要拠点・要員に対しては衛星電話等を配備することで、重層的な通信手段を確保しています。

指揮命令系統と権限委任

業務の継続にかかる意思決定を迅速・確実に実施していくため、災害対策委員会が設置された場合における指揮命令系統と職務権限の代行順位を定めています。

初動対応及び業務の継続・復旧手順の明確化

緊急時の初動対応や業務の継続・復旧について、あらかじめ業務単位で整理することで、混乱状態にあっても、関係部が迅速・確実に業務に対応できる態勢を確立しています。

BCPの実効性維持・向上のための取り組み

BCPの実効性の維持・向上を図るべく、役職員向けに各種の研修や訓練を実施しています。また、訓練結果や最新の情報を踏まえたBCPの見直しについて、定期的に、また必要に応じて随時検討し、PDCAサイクルを回すこととしています。

気候変動への対応

2015年のパリ協定採択以降、気候変動への対応は、日本及び世界で取り組むべき重要課題となっています。
DBJは、これまでも環境格付融資やDBJ Green Building認証などを通じたお客様との対話を中心に、気候変動への取り組みを行ってきました。2018年6月には、金融安定理事会(FSB)が設置したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言の趣旨にも賛同を表明しており、DBJとして気候変動に関するリスクと機会を認識したうえで、適切な情報開示の取り組みを検討・推進しています。
また、TCFD提言に賛同する企業や金融機関等が一体となって議論する場として2019年5月に設立された「TCFDコンソーシアム」にも参画しています。今後はこのコンソーシアムを通じ、他の賛同企業と共に、TCFDに基づき開示された情報の活用・評価のあり方などについて積極的に議論していきます。

TCFDロゴ

ガバナンス

DBJは、「持続可能な社会」の実現に貢献するため2017年5月に制定したサステナビリティ基本方針に基づいた事業活動を行っています。
また、経営会議傘下のサステナビリティ委員会にて、気候変動等を含む重要な社会課題と関連するリスクや機会、それらを踏まえたDBJの取り組みについて取締役を中心に議論し、その内容を経営戦略や投融資決定プロセスへ組み込んでいます。2018年度は、エネルギーを取り巻く世の中の動向やDBJの対応方針のほか、TCFDに基づく開示に向けたこれまでの取り組みの整理と今後の方針についても議論しました。

サステナビリティ委員会の議論風景
サステナビリティ委員会の議論風景

戦略

DBJは、「ビジョン2030」の策定にあたり、気候変動・資源エネルギーをDBJグループのステークホルダーに重要な影響を与える外部環境の変化として特定しています。今後はインフラ・産業・地域の3つの重点領域のお客様へのソリューション提供を通じて、気候変動への対応に貢献していきます。
なお、シナリオ分析については、外部有識者を招聘した行内セミナーの開催等を通じて情報蓄積・ネットワーク構築に努めつつ、今後は、環境省の実施するTCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業による支援を得ながら、国内金融機関の先進事例となるべく、その実践を進めていきます。

リスクマネジメント

DBJは、気候変動に起因する様々なリスクを特定、評価、モニタリング及びコントロールを行っていきます。
DBJは、融資対象となる特定プロジェクトにかかる環境・社会リスクの評価及び配慮状況の確認を、今後より丁寧に行っていく必要があると考え、2019年4月に、ストラクチャードファイナンス部内に「環境社会評価室」を新設しました。
また、環境格付融資、DBJ Green Building認証等を通じて、持続可能な社会を実現するサステナブルな事業に関して、お客様との対話に取り組んでいます。

測定基準とターゲット

DBJは、企業活動に伴う温室効果ガス(GHG)排出量に該当するScope1(直接)・Scope2(間接)に関連する環境配慮活動につき進捗状況を把握すると共に、投融資業務を通じた環境への取り組みや環境コミュニケーションを通じた環境啓発の推進など環境保全に資する各種の取り組みについて、全行及び部署ごとの具体的な目標を設定し、環境保全活動を体系的かつ継続的に展開しています。