社長メッセージ

変容する社会とお客様のニーズを踏まえ、経済価値と社会価値を両立するサステナビリティ経営を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

変容する社会とお客様のニーズを踏まえ、
経済価値と社会価値を両立するサステナビリティ経営を
推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

新型コロナウイルス感染症への危機対応について

2019年12月より世界的に蔓延している新型コロナウイルス感染症は、日本においても、国内外移動の自粛等により経済活動に甚大な影響を及ぼしています。DBJグループは、この未曾有の危機に対し、リーマン・ショックや東日本大震災等における危機対応の経験も活かしながら、2020年3月の「新型コロナウイルス感染症に関する事案」の政府による危機認定を踏まえまして、指定金融機関として、迅速かつ適確な危機対応業務の実施にDBJグループの総力で取り組んでいます。

既に、危機対応融資として2021年3月末時点で345件2兆2,318億円、加えて当行独自の「地域緊急対策プログラム」を通じて64件1,039億円の融資を実行しております。また、コロナ禍の長期化に伴い、特に深刻な影響を受ける飲食・宿泊業をはじめとする事業者の皆様に対して、政府の要請を受け、2021年3月から専門組織を立ち上げ、集中的かつ時限的な支援強化に取り組んでいます。これらの施策も含め、引き続き、新型コロナウイルス感染症による被害を受けたお客様のニーズに対して、民間金融機関等の皆様とも連携・協働して、迅速かつ適確な危機対応業務の実施に注力してまいります。

また、特定投資業務においても2020年5月に「新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド」を設定し、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復・成長に向けてお客様の新規事業開拓や異分野連携等の取り組みを支援してまいります。

DBJグループのこれまでのあゆみと果たしてきた役割

DBJグループは、その前身である日本開発銀行・北海道東北開発公庫の時代から、戦後復興、高度・安定成長期、バブル経済とその崩壊、グローバル化や少子高齢化の進展、環境や防災意識の高まりなど、その時々の社会課題に柔軟に対応し、我が国の持続的発展に貢献してまいりました。株式会社後だけを振り返っても、世界的な金融危機や東日本大震災など重大な事案が立て続けに発生する目まぐるしい変化のなかで、社会の期待に応えるべく、将来を見据えた取り組みを進めると共に、DBJグループ自身も大きく変化してまいりました。

具体的には、金融危機や震災への対応といった未曾有の有事における危機対応業務や、その後の成長を支えるリスクマネー供給機能の強化などを通じて、投融資一体という独自のビジネスモデルを確立してまいりました。

今回の新型コロナウイルス感染症が長期的に社会に及ぼす影響については予断を許しませんが、世界的なアジェンダとなっている2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた対応など産業横断的に今後生じる変化を的確に見極め、今までと変わらぬDBJグループの「使命」~金融力で未来をデザインします
「行動基準」
• 未来への責任
• お客様視点
• 卓越したサービス
• 個の挑戦と協働
「価値観」~挑戦(Initiative)と誠実(Integrity)を胸に、地域やお客様の課題に柔軟に応えていきます。

「ビジョン2030」と重点領域

長期的な展望をより具体的に経営ビジョンのなかに反映すべく、DBJグループでは2015年に2030年までの将来に向けて中長期的な視点で今後の私たちの果たすべき役割を改めて考えました。この議論の過程で、DBJグループのステークホルダーに重要な影響を与える外部環境の変化として、我が国の人口減少や気候変動・エネルギー問題など持続可能な社会に向けた世界的なアジェンダ、グローバル競争の激化、AIやFinTechなどのデジタル技術革新などを特定し、これまで私たちが果たしてきた役割や実現してきた価値を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けてDBJグループが中長期的に力を発揮すべき領域を検討しました。

その結果が、2017年に策定したDBJグループの長期ビジョン「ビジョン2030」です。「ビジョン2030」ではDBJグループが取り組む重点領域(マテリアリティ)を、「インフラ」「産業」「地域」の3領域として明確に位置づけました。この重点領域での貢献こそ、今日までのあゆみと整合的であり、かつ、今後の社会やステークホルダーからのご期待に沿うものと考えております。私たちは、その使命を達成するために、今後もステークホルダーの皆様の声に耳を傾け、具体的な取り組みを着実に実施することで、金融のプロフェッショナルとして産業・インフラ分野のお客様や地域の皆様へ提供する付加価値を高めるよう努めます。また、幅広いリスクを適切に評価して引き受ける能力を発揮することで事業や市場の創造をリードすると共に、足下の新型コロナウイルス感染症に関する危機対応やカーボンニュートラルの実現に向けた対応も含め、これまで同様、その時々の社会的な要請に的確に応えることで、2030年の経済・社会において独自の役割を果たしてまいります。

DBJグループのサステナビリティ経営

重点3領域を中心とする事業活動を通じた価値創造の仕組みとして、DBJグループは、「サステナビリティ経営」を進めてまいります。DBJグループが目指す「サステナビリティ経営」とは、お客様と社会のニーズを踏まえ、新たな産業やイノベーションの実現など価値創造と危機時の対応の両面から持続可能な社会の実現に貢献し、経済価値と社会価値を不可分一体的に生み出すことです。

そのためには、現在の業界やお客様の抱える課題はもとより、長期的な社会の変化やそれに伴う産業界やお客様への影響を的確に把握する必要があります。DBJグループでは、ナレッジ機能を活用して試行錯誤しつつ将来像をお客様や地域の方々と共に考え、その課題に適切に対応したリスクマネー供給など金融面での解決策を提示することで、次なる日本経済・社会の柱となり得る産業の創造や取り組みをリードしてまいります。同時に、大規模災害や金融市場の不安定化等が生じた場合には、迅速かつ適確な危機対応業務を実施する重要な役割を担ってまいります。

こうした業務を進めるにあたっては、DBJグループの強みである産官学の強固なネットワークなどの関係資本や健全な財務資本、そして価値観を共有する人的資本にさらに磨きをかけ、加えてアドバイザリー・ボードや特定投資業務モニタリング・ボードなどを中心とした外部のステークホルダーの皆様との対話を通して、サステナビリティ経営のプロセスの不断の改善を進めていくことが重要だと考えています。

2020年度の決算について

2020年度の決算は、当行としても新型コロナウイルス感染症の影響を受けた評価性の引当金の増加等により2019年度比で約10%減益の452億円の当期利益となりました。引き続き、新型コロナウイルス感染症に関する危機対応業務に注力すると共に、コロナ禍からの回復・成長に向けたお客様の取り組みや財務再構築への支援にも注力してまいります。

第5次中期経営計画について

DBJグループは、株式会社化以降4回の中期経営計画を策定・実行し、リスクマネー供給業務を強化しつつ、インフラ3分野(エネルギー、運輸・交通、都市開発)や産業分野のお客様に対する投融資一体の金融サービスを拡充し、あわせてリスク管理機能の高度化に取り組んできました。

世の中を取り巻く環境変化は激しく、新型コロナウイルスにより不確実性が高まるなかで、「ビジョン2030」からのバックキャストと共に、今後の経済・社会の抜本的変化に影響を与えるデジタル化の進展(Digital)、生産年齢人口の減少(Aging)、国際化の一層の進展(International)、持続可能な社会への取り組みへの対応(Sustainability)の4つの大きな社会課題の解決に向けた取り組み方針として、第5次中期経営計画を議論してまいりました。新型コロナウイルスの影響に伴い、資本主義のあり方が今まで以上に問われるなか、これらの社会課題とお客様の経営課題がより一体化していくとの考えのもと、お客様起点で課題を解決していくべく2021年度からの5ヵ年の計画として第5次中期経営計画を公表しました。

第5次中期経営計画のポイントは3点であると考えています。
1点目は、私たちの経営理念、すなわち経済価値と社会価値の両立というDBJグループの基本的な方針は第5次中期経営計画においても最も重要な変わらない軸です。
2点目は、デジタル化への対応(Digital)と世界的なアジェンダとなった2050年のカーボンニュートラルの実現を含め持続可能な社会への対応(Sustainability)についてはコロナ禍を受けてより加速した取り組みが必要との認識です。これらの取り組みを推進するためには、業種を超えた連携が従来以上に重要となるためお客様や民間金融機関等との連携・協働をより強く進めていく必要があると考え、「つなぐ」をキーワードにDBJグループが業界やお客様、さらには世代を超えた「結節点・触媒」となってまいります。
3点目は、DBJグループがこの「結節点・触媒」となるべく具体的な戦略として「GRIT戦略」を策定したことです。持続可能な社会の実現に向けて、Green、Resilience & Recovery、Innovation、Transition/Transformationの取り組みを、お客様を含めたステークホルダーの皆様との連携・協働のもとで推進してまいりたいと考えています。

業務別損益概況(連結)

← 左右にスクロールできます →

単位:億円 2019年度 2020年度 前年度比増減
実態業務粗利益 1,643 1,641 △ 1
融資損益 766 917 150
投資損益 682 470 △ 212
役務取引・その他損益等 193 253 59
営業経費 △ 571 △ 567 4
実態業務純益 1,071 1,073 2
その他特別損益等 40 7 △ 33
引当・償却等 △ 281 △ 342 △ 61
融資関連 45 △ 249 △ 295
投資関連 △ 327 △ 93 233
税引前利益 830 738 △ 92
法人税等合計 △ 315 △ 269 45
当期純利益 515 468 △ 47
非支配株主に帰属する当期純利益 10 15 5
親会社株主に帰属する当期純利益 504 452 △ 52

※ 業務分野の区分表記は、経営管理上のものです。

特定投資業務について

DBJグループのリスクマネー供給業務の経験を活かして、2015年の株式会社日本政策投資銀行法改正において法定業務とされた特定投資業務におきましては、地域活性化や我が国企業の競争力強化に資する案件として、2021年3月末時点で累計132件、9,315億円の投融資を決定しています。また、投融資実績額8,932億円に対して誘発された民間投融資額は5兆7,140億円であり、民間金融機関などと協働した成長資金供給が図られております。加えて、地域活性化の案件も多数結実しており、地域金融機関などと特色ある地域創生に資するべく今後とも取り組みを強化してまいります。

また、2020年5月には新型コロナウイルスからの回復・成長に向けて「新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド」を設置すると共に、2021年2月にグリーン社会の実現に資する事業等への取り組みを重点的に支援する「グリーン投資促進ファンド」、3月にライフサイエンス産業等の競争力強化・イノベーション促進に対する支援を目的とする「DBJイノベーション・ライフサイエンスファンド」を、それぞれ新たに設置しました。引き続き、年2回開催の「特定投資業務モニタリング・ボード」にて、ステークホルダーの皆様のご意見を頂戴しながら、業務運営に取り組んでまいります。

サステナビリティ経営を支える人材育成への取り組み

DBJグループの価値創造プロセスであるサステナビリティ経営を支える最も重要な基盤は、経済価値と社会価値の両立を追求し続ける4つのDNAを体現する、挑戦と誠実という価値観を持った人材です。DBJグループの役職員は、これまでの業務で培われた長期性、中立性、パブリックマインド、信頼性という4つのDNAを承継し、時代の要請に応えるべく、挑戦を続けてきました。また、各役職員は、企業やプロジェクトを評価する目利き能力を向上させる不断の努力を続けており、時代あるいは地域の課題を意識した俯瞰的な視点から長期的に審査・評価するノウハウと能力、そして蓄積されたネットワークはDBJグループの財産です。

DBJグループでは、その価値を体現する職員に健康かつ創造的に活躍してもらうために、働き方改革を推進しています。これまでに、柔軟な働き方を支援する取り組みの一環として、在宅勤務やフレックス勤務制度を導入したほか、育児・介護などにかかる就業・休業制度の充実を図っています。また、今回の新型コロナウイルス感染症への対応においては、在宅勤務や時差出勤を機動的に運用し、役職員の安全確保を最優先しつつ、危機対応業務の円滑な遂行を可能にする体制の整備に取り組みました。

皆様との更なる協働に向けて

新型コロナウイルス感染症の影響を含め、世界や日本を取り巻く環境は、今後も大きく変わり続け、不確実性が高まるものと思われます。特に今後10年間は、我が国においては高齢化・人口減少という基調のもと、新型コロナウイルス感染症後のデジタル変革や2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた産業横断で進む抜本的な経済社会の変革、グローバル競争の一層の激化といった動きが一段と強まることが予想され、産業界でも業界・企業の垣根を越えた新たな連携・協働、ビジネスモデルの変化、新しいエコシステムの誕生といった変化が生じると予想されます。DBJグループは、第5次中期経営計画のもと、お客様の新たな取り組みに対し、共に挑戦し、将来の持続可能な社会の構築をリードすべく今後とも投融資一体機能を活用することで、リスクマネーの供給に取り組んでまいります。

また、世界的なアジェンダである持続可能な社会の構築に向けた取り組みも引き続き重要です。足下では2030年に向けたグローバルアジェンダであるSDGsへの貢献に向けた取り組みが官民一体となって盛り上がっており、金融市場においてもESGを踏まえた資金の流れへの関心が高まっています。DBJグループは、これまでもDBJサステナビリティ評価認証融資などによるお客様との対話などを通じて財務諸表には表れない、いわゆる無形資産の積極的な評価を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。今後も、引き続きサステナビリティ経営のトップランナーとしての使命を果たすためには、ステークホルダーの皆様との対話が重要です。この統合報告書が、ステークホルダーの皆様との対話に繋がればと願っております。

2021年8月 代表取締役社長渡辺一