社長メッセージ

変容する社会とお客様のニーズを踏まえ、経済価値と社会価値を両立するサステナビリティ経営を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

変容する社会とお客様のニーズを踏まえ、
経済価値と社会価値を両立するサステナビリティ経営を推進し、
持続可能な社会の実現に貢献していきます。

新型コロナウイルス感染症への危機対応について

2019年12月より世界的に蔓延している新型コロナウイルス感染症は、日本においても、国内外移動の自粛等により経済活動に甚大な影響を及ぼしています。DBJグループは、この未曾有の危機に対し、リーマン・ショックや東日本大震災等における危機対応の経験も活かしながら、2020年1月に相談窓口を設置、3月に「新型コロナウイルス感染症特別対策本部」を設置し、全行一体での支援体制を整備すると共に、2月には独自プログラムである「地域緊急対策プログラム」を発動し機動的な対応にあたりました。そのようななか、2020年3月の「新型コロナウイルス感染症に関する事案」の政府による危機認定を踏まえまして、指定金融機関として、迅速かつ適確な危機対応業務の実施にDBJグループの総力で取り組んでいます。

既に、危機対応融資として2020年6月末時点で130件1兆6,212億円、加えて当行独自の「地域緊急対策プログラム」を通じて20件429億円の融資を実行しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復・成長に向けてお客様の新規事業開拓や異分野連携等の取り組みを強くご支援させていただくべく、特定投資業務において2020年5月に「新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド」を設定しております。これらの施策も含め、引き続き、新型コロナウイルス感染症による被害を受けたお客様のニーズに対して、民間金融機関等の皆様とも連携・協働して、迅速かつ適確な危機対応業務の実施に注力してまいります。

DBJグループのこれまでのあゆみと果たしてきた役割

DBJグループは、その前身である日本開発銀行・北海道東北開発公庫の時代から、戦後復興、高度・安定成長期、バブル経済とその崩壊、グローバル化や少子高齢化の進展、環境や防災意識の高まりなど、その時々の社会課題に柔軟に対応し、我が国の持続的発展に貢献してまいりました。株式会社後だけを振り返っても、世界的な金融危機や東日本大震災など重大な事案が立て続けに発生する目まぐるしい変化のなかで、社会の期待に応えるべく、将来を見据えた取り組みを進めると共に、DBJグループ自身も大きく変化してまいりました。

具体的には、金融危機対応や震災対応といった未曾有の有事における危機対応業務や、その後の成長を支えるリスクマネー供給機能の強化などを通じて、投融資一体という独自のビジネスモデルを確立してまいりました。

今回の新型コロナウイルス感染症が長期的に社会に及ぼす影響については予断を許しませんが、今後生じる変化を的確に見極め、今までと変わらぬDBJグループの「使命」~金融力で未来をデザインします
「行動基準」
・未来への責任
・お客様視点
・卓越したサービス
・個の挑戦と協働
「価値観」~挑戦(Initiative)と誠実(Integrity)
を胸に、地域やお客様の課題に柔軟に応えていきます。

「ビジョン2030」と重点領域

長期的な展望をより具体的に経営ビジョンのなかに反映すべく、DBJグループでは2015年に2030年までの将来に向けて中長期的な視点で今後の私たちの果たすべき役割を改めて考えました。この議論の過程で、DBJグループのステークホルダーに重要な影響を与える外部環境の変化として、我が国の人口減少や気候変動・エネルギー問題など持続可能な社会に向けた世界的なアジェンダ、グローバル競争の激化、AIやFinTechなどのデジタル技術革新などを特定し、これまで私たちが果たしてきた役割や実現してきた価値を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けてDBJグループが中長期的に力を発揮すべき領域を検討しました。

その結果が、2017年に策定したDBJグループの長期ビジョン「ビジョン2030」です。「ビジョン2030」ではDBJグループが取り組む重点領域(マテリアリティ)を、「インフラ」「産業」「地域」の3領域として明確に位置づけました。この重点領域での貢献こそ、今日までのあゆみと整合的であり、かつ、今後の社会やステークホルダーからのご期待に沿うものと考えております。私たちは、その使命を達成するために、今後もステークホルダーの皆様の声に耳を傾け、具体的な取り組みを着実に実施することで、金融のプロフェッショナルとして産業・インフラ分野のお客様や地域の皆様へ提供する付加価値を高めるよう努めます。また、幅広いリスクを適切に評価して引き受ける能力を発揮することで事業や市場の創造をリードすると共に、足下の新型コロナウイルス感染症に関する危機対応も含め、これまで同様、その時々の社会的な要請に的確に応えることで、2030年の経済・社会において独自の役割を果たしてまいります。

DBJグループのサステナビリティ経営

重点3領域を中心とする事業活動を通じた価値創造の仕組みとして、DBJグループは、「サステナビリティ経営」を進めてまいります。DBJグループが目指す「サステナビリティ経営」とは、お客様と社会のニーズを踏まえ、新たな産業やイノベーションの実現など価値創造と危機時の対応の両面から持続可能な社会の実現に貢献し、経済価値と社会価値を不可分一体的に生み出すことです。

そのためには、現在の業界やお客様の抱える課題はもとより、長期的な社会の変化やそれに伴う産業界やお客様への影響を的確に把握する必要があります。DBJグループでは、ナレッジ機能を活用して試行錯誤しつつ将来像をお客様や地域の方々と共に考え、その課題に適切に対応したリスクマネー供給など金融面での解決策を提示することで、次なる日本経済・社会の柱となり得る産業の創造や取り組みをリードしてまいります。同時に、大規模災害や金融市場の不安定化等が生じた場合には、迅速かつ適確な危機対応業務を実施する重要な役割を担ってまいります。

こうした業務を進めるにあたっては、DBJグループの強みである産官学の強固なネットワークなどの関係資本や健全な財務資本、そして価値観を共有する人的資本にさらに磨きをかけ、加えてアドバイザリー・ボードや特定投資業務モニタリング・ボードなどを中心とした外部のステークホルダーの皆様との対話を通して、サステナビリティ経営のプロセスの不断の改善を進めていくことが重要だと考えています。

中期経営計画について

2017年度から2019年度までの第4次中期経営計画では、インフラ3分野(エネルギー、運輸・交通、都市開発)や、新分野を含めた産業分野のお客様に対する投融資一体の金融サービスの拡充を柱に事業戦略を進めました。融資業務では、ストラクチャード・ファイナンスやメザニン・ファイナンスなど、より付加価値の高いサービスの提供、投資業務では、インフラ3分野への長期投資と産業向けの成長投資を共に推進しました。役務業務としては、インフラ・PE分野におけるアセットマネジメント業務の拡大に取り組み、また、こうした活動を地域・海外においても展開していき、地域と海外を繋ぐ役割を果たすべく、注力しました。

経営基盤戦略としては、DBJグループの経営資源を財務資本、人的資本、知的資本、関係・社会資本として整理し、これらの経営資源の投入と経営活動の成果による各種資本価値の増加・変換を推し進めました。

2019年度の決算は、融資損益が過去の危機対応融資の返済進捗等により、投資損益と役務損益が大型案件の剥落等により、それぞれ前年度比で減益となりましたが、投資損益については、インフラ・不動産での安定的な収益計上や個別案件のExit等により過年度と比べても引き続き高水準を維持しております。

2020年度から始まる第5次中期経営計画については、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ、しかるべき時期に公表することとしております。抜本的な人口構造・社会構造の変革が進み、社会課題とお客様の経営課題が一体不可分となるなか、様々な金融機関やお客様と連携・協働し、リスクマネーやナレッジを活用しお客様起点で投融資機会を創出することで経済価値と社会価値の両立を図ります。こうした基本方針を踏まえ、足下の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う産業構造の変化、急速なデジタル化の進展とサステナビリティ潮流の加速、また地域が持つ価値への影響も踏まえて中期経営計画を改めて検討する考えです。

業務別損益概況(連結)

← 左右にスクロールできます →

単位:億円 2018年度 2019年度 前年度比増減
実態業務粗利益 1,877 1,744 △ 132
融資損益 809 766 △ 43
投資損益 815 741 △ 73
役務取引・その他損益等 252 236 △ 15
営業経費 △ 648 △ 673 △ 24
実態業務純益 1,228 1,071 △156
その他特別損益等 △ 13 40 54
引当・償却等 53 △ 281 △ 334
融資関連 68 45 △ 22
投資関連 △ 15 △ 327 △ 311
税引前利益 1,267 830 △ 437
法人税等合計 △ 335 △ 315 20
当期純利益 932 515 △ 417
非支配株主に帰属する当期純利益 12 10 △ 2
親会社株主に帰属する当期純利益 919 504 △ 414

※ 業務分野の区分表記は、経営管理上のものです。

特定投資業務について

DBJグループのリスクマネー供給業務の経験を活かして、2015年の株式会社日本政策投資銀行法改正において法定業務とされた特定投資業務におきましては、地域活性化や我が国企業の競争力強化に資する案件として2019年度は19件3,532億円、特定投資業務開始以降の累計では100件7,171億円の投融資を決定しています。また、投融資実績額5,902億円に対して誘発された民間投融資額については、総額4兆420億円であり、民間金融機関などと協働した成長資金供給が図られております。加えて、地域活性化の案件も多数結実しており、地域金融機関などと特色ある地域創生に資するべく今後とも取り組みを強化してまいります。

今般、これまでの取り組みを踏まえ、2020年5月に公布・施行された「株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律(令和2年第29号)」に基づき、特定投資業務について、投資決定期限及び政府による出資期限は2020年度末から2025年度末まで延長されると共に、業務完了期限は2025年度末から2030年度末まで延長されました。また、新型コロナウイルスからの回復・成長に向けて新たに「新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド」も設置しております。引き続き、年2回開催の「特定投資業務モニタリング・ボード」にて、ステークホルダーの皆様のご意見を頂戴しながら、業務運営に取り組んでまいります。

サステナビリティ経営を支える人材育成への取り組み

DBJグループの価値創造プロセスであるサステナビリティ経営を支える最も重要な基盤は、経済価値と社会価値の両立を追求し続ける4つのDNAを体現する、挑戦と誠実という価値観を持った人材です。DBJグループの役職員は、これまでの業務で培われた長期性、中立性、パブリックマインド、信頼性という4つのDNAを承継し、時代の要請に応えるべく、挑戦を続けてきました。また、各役職員は、企業やプロジェクトを評価する目利き能力を向上させる不断の努力を続けており、時代あるいは地域の課題を意識した俯瞰的な視点から長期的に審査・評価するノウハウと能力、そして蓄積されたネットワークはDBJグループの財産です。

DBJグループでは、その価値を体現する職員に健康かつ創造的に活躍してもらうために、働き方改革を推進しています。これまでに、柔軟な働き方を支援する取り組みの一環として、在宅勤務やフレックス勤務制度を導入したほか、育児・介護などにかかる就業・休業制度の充実を図っています。また、今回の新型コロナウイルス感染症への対応においては、在宅勤務や時差出勤を機動的に運用し、役職員の安全確保を最優先しつつ、危機対応業務の円滑な遂行を可能にする体制の整備に取り組みました。

皆様との更なる協働に向けて

新型コロナウイルス感染症の影響を含め、世界や日本を取り巻く環境は、今後も大きく変わり続け、不確実性が高まるものと思われます。特に今後10年間は、我が国においては高齢化・人口減少という基調のもと、産業のあり方を一変させるデジタル変革、グローバル競争の一層の激化といった動きが一段と強まることが予想され、産業界でも業界の垣根を越えた新たな連携・協働、ビジネスモデルの変化、新しいエコシステムの誕生といった変化が生じると予想されます。DBJグループは、お客様の新たな取り組みに対し、共に挑戦し、将来の持続可能な社会の構築をリードすべく今後とも投融資一体機能を活用することで、リスクマネーの供給に取り組んでまいります。

また、世界的なアジェンダである持続可能な社会の構築に向けた取り組みも引き続き重要です。足下では2030年に向けたグローバルアジェンダであるSDGsへの貢献に向けた取り組みが官民一体となって盛り上がっており、金融市場においてもESGを踏まえた資金の流れへの関心が高まっています。DBJグループは、これまでも評価認証型融資などによるお客様との対話などを通じて財務諸表には表れない目に見えない資産の積極的な評価を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。今後も、引き続きサステナビリティ経営のトップランナーとしての使命を果たすためには、ステークホルダーの皆様との対話が重要です。この統合報告書が、ステークホルダーの皆様との対話に繋がればと願っております。

2020年8月 代表取締役社長渡辺一