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社長メッセージ

変容する社会とお客様のニーズを踏まえ、
経済価値と社会価値を両立するサステナビリティ経営を
推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

DBJグループを取り巻く環境

 私たちを取り巻く経済社会環境は大きく、そして急速に変化しています。

 世界では保護主義の台頭や地政学リスクの高まりなどにより政治的な不安定さが増すなか、国際金融規制の強化、デジタル変革に伴う金融技術のイノベーションの急速な進展、国内ではマイナス金利など、金融機関を取り巻く環境は急速に変化しています。

 不確実性が高まるなかにおいて、持続可能な社会の構築に向けた金融面での貢献に対する期待の高まりからESG投資をはじめとするサステナブルファイナンスを巡る国内外の活動が活発になってきています。FSB(金融安定理事会)のもとに設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)最終提言への賛同が急速に広がり、気候変動を巡るリスクと機会に関する情報開示が進展しているほか、日本国内でもSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた政府のイニシアチブや、ESG投資分野における年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の取り組みが牽引する形で、サステナビリティを巡る産業界と金融界との対話が大きく進展しました。企業では社会課題の解決を経営と一体不可分なものとして推進する動きが強くなりつつあります。

DBJグループのこれまでのあゆみと果たしてきた役割

 DBJグループは、その前身である日本開発銀行・北海道東北開発公庫の時代から、戦後の復興、高度・安定成長期、バブル経済とその崩壊、グローバル化や少子高齢化への対応、環境や防災意識の高まりなど、その時々の社会の課題に柔軟に対応し、我が国の持続的発展に貢献してまいりました。直近の10年だけを振り返っても、世界的な金融危機や東日本大震災など重大な事案が立て続けに発生する目まぐるしい変化のなかで、社会の課題に応えるべく、将来を見据えた取り組みを進めてまいりました。

 不断に変化する経済社会情勢のなかで、DBJグループは、その時々の社会課題の把握に努め、これに則した金融面からの解決策を提示し、他金融機関と連携しつつ、経済価値と社会価値の両立に取り組んでまいりました。こうしたDBJグループの柔軟性を支えるものは、時代を経ても変わらない「価値観~挑戦(Initiative)と誠実(Integrity)」です。こうした価値観の形成に大きな影響を与えた2人の先人を忘れる訳にはいきません。下村治博士(元日本開発銀行理事・設備投資研究所所長)と宇沢弘文教授(元設備投資研究所顧問)です。徹底した現場主義から国民所得倍増計画の立案で中心的役割を果たした下村博士と、人間として魅力ある社会を持続的に維持すべく社会的共通資本の理論を構築された宇沢教授という、DBJグループの方向性に大きな影響を与えた2人の先人に共通するのは、温かい心と冷静な判断̶「ウォーム・ハートとクール・ヘッド」によって、時代の変化を見極める目であったのではないかと思います。その志は現在の職員の価値観として結実しており、DBJグループのサステナビリティ経営の礎として今なお受け継がれています。

 DBJグループは、2018年10月に株式会社化から10年を迎えました。この10年間の社会の変化はリーマン・ショックに始まる金融危機、東日本大震災、大規模金融緩和、デジタル変革を通じて進行中の第4次産業革命などに象徴されるように、非常に大きなものでしたが、こうした社会の変化に対応するなかで生じたDBJグループの変化もまた同様に大きなものでした。具体的には、金融危機対応や震災対応といった未曾有の有事における危機対応業務や、その後の成長を支えるリスクマネー供給機能の強化などを通じて、投融資一体という独自のビジネスモデルが大きく成長してまいりました。

 今後生じるであろう様々な変化のもとでも、今までと変わらぬDBJグループの
「使命」~金融力で未来をデザインします

「行動基準」
  • 未来への責任
  • お客様視点
  • 卓越したサービス
  • 個の挑戦と協働

「価値観」~挑戦(Initiative)と誠実(Integrity)
を胸に、地域やお客様の課題に柔軟に応えていきます。

ステークホルダーの皆様との対話を踏まえた重点領域での貢献を通じ、
金融のプロフェッショナルとしてお客様へ提供する付加価値を高め、
2030年の経済・社会において独自の役割を果たしていきます。

「ビジョン2030」と重点領域

 長期的な展望をより具体的に経営ビジョンのなかに反映すべく、DBJグループでは2015年に2030年までの将来に向けて中長期的な視点で今後の私たちの果たすべき役割を改めて考えました。この議論の過程で、DBJグループのステークホルダーに重要な影響を与える外部環境の変化として、我が国の人口減少や気候変動・エネルギー問題など持続可能な社会に向けた世界的なアジェンダ、グローバル競争の激化、AI・FinTechなどのデジタル技術革新などを特定しました。こうした将来に向けて取り組むべき課題の認識に加え、戦後復興から都市化・公害対策など高度成長期を経て危機対応・競争力強化といった現代の課題対応など、これまで私たちが果たしてきた役割や実現してきた価値を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けてDBJグループが中長期的に力を発揮すべき領域を検討しました。

 その結果として2017年に策定したのが、DBJグループの長期ビジョン「ビジョン2030」です。「ビジョン2030」ではDBJグループが取り組む重点領域(マテリアリティ)を、「インフラ」「産業」「地域」の3領域として明確に位置づけました。この重点領域での貢献こそ、今日までのあゆみと整合的であり、かつ、今後の社会やステークホルダーからのご期待に沿うものと考えております。私たちは、その使命を達成するために、今後もステークホルダーの皆様の声に耳を傾け、具体的な取り組みを着実に実施することで、金融のプロフェッショナルとして産業・インフラ分野のお客様や地域の皆様へ提供する付加価値を高めます。また、幅広いリスクを適切に評価して引き受ける能力を発揮することで事業や市場の創造をリードすると共に、これまで同様に危機時の対応などの社会的な要請にも的確に応えることで、2030年の経済・社会において独自の役割を果たしてまいります。

第4次中期経営計画

第4次中期経営計画

第4次中期経営計画の財務目標

(連結) 第4次中期経営計画
実績
(2018年度)
実績
(2017-18年度平均)
目標
(2019年度)
収益性 業務粗利益※1 1,877億円 1,810億円 1,900億円程度
親会社株主に帰属する当期純利益 919億円 919億円 800億円程度
経費率※2 35% 34% 35%程度
総資産 17.0兆円 16兆円程度
ROA※2 1.1% 1.1% 1%程度
ROE※2 2.9% 3.0% 3%程度
健全性 自己資本比率※3 16.6% 最低14%程度

※1 クレジットコスト勘案前
※2 経費率、ROAは業務粗利益比、ROEは当期純利益比
※3 普通株式等Tier1比率

DBJグループのサステナビリティ経営

 重点3領域を中心とする事業活動を通じた価値創造の仕組みとして、DBJグループは、「サステナビリティ経営」を進めてまいります。DBJグループが目指す「サステナビリティ経営」とは、お客様と社会のニーズを踏まえ、新たな産業・取り組みの創造と危機時の対応の両面から持続可能な社会の実現に貢献し、経済価値と社会価値を不可分一体的に創造することです。

 そのためには、現在の業界やお客様の抱える課題はもとより、長期的な社会の変化やそれに伴う業界やお客様への影響・課題を的確に把握する必要があります。DBJグループでは、ナレッジ機能を活用して試行錯誤しつつ将来像をお客様や地域の方々と共に考え、その課題に適切に対応したリスクマネー供給など金融面での解決策を提示することで、次なる日本経済・社会の柱となり得る産業の創造や取り組みをリードしてまいります。また、重要な機能として大規模災害や金融市場の不安定化などが生じた場合には、機動的かつ適切な危機対応業務を実施してまいります。

 こうした業務を進めるにあたっては、DBJグループの強みである産官学の強固なネットワークなどの関係資本や健全な財務資本、そして価値観を共有する人的資本にさらに磨きをかけ、加えてアドバイザリー・ボードや特定投資業務モニタリング・ボードなどを中心とした外部のステークホルダーの皆様との対話を通して、サステナビリティ経営のプロセスの不断の改善を進めていくことが重要だと考えています。

第4次中期経営計画において、インフラ3分野や産業のお客様に対する
投融資一体の金融サービスの拡充を進めると共に、
各種経営資本の価値の向上に努めていきます。

第4次中期経営計画(2017~2019年度)の取り組み

 2017年には、長期ビジョンからバックキャストする形で「第4次中期経営計画~変化に挑み、未来を創る3年間~」を策定しました。第4次中期経営計画においては、長期ビジョンの実現に向けて検討を重ね、セクター・エリア・機能からなる事業戦略と、財務資本・非財務資本からなる経営基盤戦略を柱として策定しています。

 第4次中期経営計画のもと、事業戦略においては、インフラ3分野(エネルギー、運輸・交通、都市開発)や、新分野を含めた産業分野のお客様に対する投融資一体の金融サービスの拡充を進めています。融資業務では、ストラクチャード・ファイナンスやメザニン・ファイナンスなど、より付加価値の高いサービスの提供、投資業務では、インフラ3分野への長期投資と産業向けの成長投資を共に推進しています。役務業務としては、インフラ・PE分野におけるアセットマネジメント業務の拡大に取り組んでいます。また、こうした活動を地域・海外においても展開していき、地域と海外を繋ぐ役割を果たしてまいります。

 経営基盤戦略においては、DBJグループの経営資源を財務資本、人的資本、知的資本、関係・社会資本として整理し、これらの経営資源の投入と経営活動の成果による各種資本価値の増加・変換を推し進めていきます。具体的には、財務資本としてはSRI債を含めた資金調達手段の多様化を図ると共に、リスク/リターン管理の高度化に取り組んでまいります。非財務資本としては、事業戦略に整合した人財育成を進めると共に、意思決定の迅速化や民間金融機関などの他者との連携・協働を進めています。

 第4次中期経営計画の2年目となる2018年度について、事業面では、インフラ分野における安定的な投資ポートフォリオ構築も進捗し、再生エネルギー分野における海外先進事例への日本企業の参画支援など特徴的な特定投資案件を創出するなど、リスクマネー供給の取り組みを進めてまいりました。また、2018年7月の西日本豪雨災害や9月の北海道胆振東部地震においては復旧をいち早く支援する観点で「地域復興対策本部」を設置し「地域緊急対策プログラム」を独自に立ち上げ、復興支援と共に地域活力の強化に取り組みました。

 財務面では、リスクマネー供給に注力している結果として投資損益の割合が増えており融資損益同等水準となっています。融資損益については、貸出金の平均残高の減少もあり、減益となりました。貸出金利回りについては、DBJグループは長期の融資の割合が比較的高く資産の入れ替えが徐々に進むため足下の低金利環境においては低下圧力が加わりますが、これに対しストラクチャード・ファイナンスやメザニン・ファイナンスといった比較的付加価値の高い案件に注力することで融資損益の強化を図っています。投資損益については、エネルギーや都市開発などインフラ関連の投資のような相対的に安定した収益を上げることのできる投資ポートフォリオからの収益に加え、好調なマクロ環境に支えられ投資案件の売却益も計上した結果、815億円の利益となりました。役務等損益は、融資のアレンジメントなどによる投融資手数料やグループ会社のDBJアセットマネジメント(株)の預かり資産に関する手数料なども含め252億円となっています。その結果、実態業務粗利益としては1,877億円、親会社株主に帰属する当期純利益は919億円となりました。

業務別損益概況(連結)

単位:億円 2017年度 2018年度 前年度比増減
実態業務粗利益 1,743 1,877 133
融資損益 848 809 △ 38
投資損益 658 815 156
役務取引・その他損益等 236 252 15
営業経費 △ 591 △ 648 △ 57
実態業務純益 1,151 1,228 76
その他特別損益等 22 △ 13 △ 36
引当・取立益等 119 53 △ 66
融資関連 124 68 △ 55
投資関連 △ 4 △ 15 △ 11
税引前利益 1,294 1,267 △ 26
法人税等合計 △ 350 △ 335 15
当期純利益 943 932 △ 11
被支配株主に帰属する当期純利益 24 12 △ 11
親会社株主に帰属する当期純利益 919 919 △ 0

※業務分野の区分表記は、経営管理上のものです。

特定投資業務について

 DBJグループのリスクマネー供給業務の経験を活かして、2015年の株式会社日本政策投資銀行法改正において法定業務とされた特定投資業務におきましては、地域活性化や我が国企業の競争力強化に資する案件として2018年度は19件1,048億円、特定投資業務開始以降の累計では81件3,639億円の投融資を決定しています。また、投融資実績額3,246億円に対して誘発された民間投融資額については、総額1兆3,909億円であり、民間金融機関などと協働した成長資金供給が図られております。加えて、地域活性化の案件も多数結実しており、地域金融機関などと特色ある地域創生に資するべく今後とも取り組みを強化してまいります。また、こうした取り組みを客観的に評価していただく「特定投資業務モニタリング・ボード」も年2回開催しており、ステークホルダーの皆様のご意見を業務に活かしてまいります。

今後も、ステークホルダーの皆様との対話を進め、
サステナビリティ経営のトップランナーとして、
持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。

今後の事業運営について

 2019年度は、第4次中期経営計画の最終年度であると共に、次の中期経営計画(第5次中期経営計画)の策定に向けた節目の年になります。現中期経営計画で進めている航空・宇宙、通信、ヘルスケア、ロジスティクスといった社会の変容を反映した新しい分野に対する取り組み、投資部門の増加に応じた投資リスク・マネジメントの精緻化を含めリスクマネー供給を行う基盤の強化も行っていきます。また、2020年度以降に予定される第5次中期経営計画に向けて、これから10年先、2030年に向けて社会がどのように変化するかについて展望すべく、活発に議論し、その変化や課題からバックキャストする形で、ステークホルダーの皆様のDBJグループに対する期待に則して策定を進める考えです。また、今後の施策の実行に際しては、地域金融機関も含めた民間金融機関との連携・協働を一段と強化しながら、お客様や社会の課題解決に取り組めるよう検討してまいります。

サステナビリティ経営を支える人財育成への取り組み

 DBJグループの価値創造プロセスであるサステナビリティ経営を支える最も重要な基盤は、経済価値と社会価値の両立を追求し続ける4つのDNA、挑戦と誠実という価値観を持った人財です。DBJグループの役職員は、これまでの業務で培われた長期性、中立性、パブリックマインド、信頼性という4つのDNAを承継しており、時代の要請に応え、挑戦を続けてきました。また、各役職員は、企業やプロジェクトを評価する目利き能力を向上させる不断の努力を続けており、時代あるいは地域の課題を意識した俯瞰的な視点から長期的に審査・評価するノウハウ・能力、そしてネットワークの蓄積はDBJグループの財産です。

 DBJグループの価値を体現する職員に健康かつ創造的に活躍してもらうために、働き方改革を推進しています。これまでに、柔軟な働き方を支援する取り組みの一環として、在宅勤務やフレックス勤務制度を導入したほか、育児・介護などにかかる就業・休業制度の充実を図っています。

 また、今後ますます多様化する社会やお客様の課題に対応すべくDBJグループの業務もより一層高度化していきますが、それにあわせて役職員の能力開発の高度化も重要であると考えております。2018年度には、グローバル人財の育成に向けたOxford大学と協働でのプログラムを開始しました。私も実際にOxford大学に出向き、参加した若手職員と話をしましたが、自分たちなりに世の中がどのように変わっていくかを考え、そのなかでDBJグループはどうありたいか、どうあるべきかを考えていました。この研修を通じて、Oxford大学の選りすぐりの講師陣から多様な知識や物の見方を吸収し、次のDBJグループを担う人財として成長してくれているものと期待しています。2019年度は、Oxford大学に加え、スイスのビジネススクールIMDと提携し、新たなプログラムを開始しており、また、今後についてもマネジメント層向けの研修を拡充する予定です。引き続き、行内外の幅広いネットワークや多様な知見を活用し、様々なお客様や業界を結びつける「結節点」として機能し、新しい価値を生むことのできる人財を育成すべく、多層的な研修・人財育成制度の拡充を進めています。

皆様との更なる協働に向けて

 日本を取り巻く環境は常に大きく変わり続けています。特に今後10年間は、我が国おいては高齢化・人口減少、産業のあり方を一変させるデジタル変革、グローバル競争の激化といった動きが一段と強まることが予想され、産業界でも業界の垣根を越えた新たな連携・協働、ビジネスモデルの変化、新しいエコシステムが生じるものと思われます。DBJグループは、お客様の新たな取り組みに対し、共に挑戦し、将来の持続可能な社会の構築をリードすべく今後とも投融資一体機能を活用することで、リスクマネーの供給に取り組んでまいります。

 また、世界的なアジェンダである持続可能な社会の構築に向けた取り組みも重要です。足下では2030年に向けたグローバルアジェンダであるSDGsへの貢献に向けた取り組みが官民一体となって盛り上がっており、金融市場においてもESGを踏まえた資金の流れへの関心が高まっています。DBJグループは、これまでも評価認証型融資などによるお客様との対話などを通じて財務諸表には表れない目に見えない資産の積極的な評価を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。今後も、引き続きサステナビリティ経営のトップランナーとしての使命を果たすためには、ステークホルダーの皆様との対話が重要です。この統合報告書が、ステークホルダーの皆様との対話に繋がればと願っております。

2019年8月
代表取締役社長
渡辺一

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