責任ある投融資の取組

「「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》」の受入れについて

DBJは、「「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》」(以下「本コード」という。)を受け入れることを、2014年8月に表明しました。

本コードにおいて、スチュワードシップ責任とは、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、投資先企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることを意味するとされています。

DBJは、本コードの精神が、従前より行っているDBJの投資業務と親和性が高いものと考え、良質なリスクマネーとナレッジの提供を通じて、多様な金融プレーヤーとともに円滑な金融資本市場を形成する観点から、機関投資家が適切にスチュワードシップ責任を果たすにあたり有用と考えられる諸原則を定める本コードの趣旨に賛同し、本コードを受け入れることとしたものです。

2017年5月29日及び2020年3月24日の本コード改訂も踏まえ、各原則に基づく公表項目に係る考え方を以下の通り表明します。

原則1 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

DBJは、企業理念「金融力で未来をデザインします~金融フロンティアの弛まぬ開拓を通じて、お客様及び社会の課題を解決し、日本と世界の持続的発展を実現します~」に基づき、良質なリスクマネーの供給と独自のナレッジの創造・提供を通じて、わが国産業の国際競争力強化や地域の成長に貢献してまいります。また、この企業理念に則り、お客様及び社会の課題を解決し、日本と世界の持続的発展を実現するべく、2017年に定めたサステナビリティ基本方針に基づき、投融資一体などの特色を活かしたビジネスモデルに基づく事業活動を通じて、経済価値と社会価値の両立を実現してまいります。これらを踏まえ、DBJでは、事業の選択と集中や成長戦略の実現に加えて、コーポレートガバナンスに対する要請も強まる中、エクイティが持つ意味の重要性が高まっているとの認識の下、エクイティ投資を通じて、お客様である投資先企業と成長の成果を分かち合うとともに、日本と世界の持続的発展の実現に貢献してまいります。

DBJは、サステナビリティ基本方針において、環境・社会・ガバナンス(ESG)を巡る国内外の法令や規範に加え、政府の政策動向も踏まえつつ、事業分野における重要な社会課題を把握し、投融資や資産運用を始めとする事業活動に、持続可能な社会の実現に向けた視点を組み込むことで、適切なソリューションを提供し、誠実かつ公正な事業活動に取り組むこととしており、投資先企業を選定するに際しては事業性・経済性に加えて、投資先企業がもつ社会的責任にも着目します。投資実行時において投資先企業やその事業環境等を深く理解した上で経営陣の意向も踏まえつつ長期の戦略等について投資先企業と共有し、投資後においても、自らが有するネットワーク、情報力、調査力、金融技術力等を活用して、課題に即したトータルソリューションを提供し、投資先企業と対話しながら、その長期的な発展、企業価値の長期的な最大化を実現する取り組みを進めてまいります。

DBJは、運用ニーズに対応するため投資家から資金を受け入れてエクイティ投資業務を行うにあたっては、こうした取り組みを通じて得られたリターンを、当該投資家に適切に還元し、スチュワードシップ責任を果たしてまいります。

原則2 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

DBJでは、投融資一体という特色を活かしリスクマネーの供給を行っていることや、グループ会社が異なる運用ニーズを有する投資家から資産運用を受託してファンドへの投資を行っていることから、業務の内容が多岐に亘り社内またはグループ内に競合・対立する複数の利益が存在する状況に鑑み、お客様の利益が不当に害されることのないよう、従前より公表している「利益相反管理方針の概要」に基づき、個別の状況に応じてお客様に対する説明責任を果たしながら、適切な利益相反管理を行ってまいります。

運用ニーズに対応するため投資家から資金を受け入れてエクイティ投資業務を行うにあたっては、DBJが自己資金で行っている投融資一体業務との間で生じる可能性のある利益相反について、事前に各投資家に対して説明し同意を得るなどの必要な管理を行ってまいります。

原則3 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

DBJは、従前通り、持続可能な社会の実現に向けた視点を踏まえながら、投資先企業を取り巻く事業環境、投資先企業の成長戦略・財務戦略・コーポレートガバナンスの状況、考え得る事業展開の可能性や生じうるリスクを、投資先企業との対話を通じて的確かつ継続的に把握するよう努めます。

原則4 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

DBJは、従前通り、持続可能な社会の実現に向けた視点を踏まえながら、投資先企業との対話を通じて、事業環境や解決すべき課題について認識を共有するよう努めます。その上で、自らが有するネットワーク、情報力、調査力、金融技術力等を活用して、課題に即したトータルソリューションを提供し、投資先企業と対話しながら、その長期的な発展、企業価値の長期的な最大化を実現する取り組みを進めてまいります。なお、DBJは投資先である上場企業の企業価値向上に向けた取り組みを当該企業と共同で進める中、当該企業より未公表の重要事実を受領することもありますが、その場合には社内規程に従って適切に管理いたします。

原則5 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

DBJは、従前より、エクイティ投資業務においては一つ一つの投資先企業について、十分な工数をかけて投資先企業との対話と投資先企業の状況の把握を行っており、議決権行使にあたってもそれらを踏まえ、予め基準を定めるのではなく、個別企業毎にその状況に応じた検討を行い、投資先企業の長期的な発展と企業価値の長期的な最大化に適切と考えられる議決権行使を行ってきました。今後、投資家から資金を受け入れてエクイティ投資業務を行うにあたっても、同様のアプローチを採ることを考えております。議決権の行使結果については、現状は投資先の大多数が非上場企業であり、情報管理の観点から投資先企業の経営に支障を来すおそれがあることなども考慮し、個別の投資先企業及び議案ごとの議決権の行使結果の公表は行わないこととします。また、投資件数も限られており、同様の理由から、議案の主な種類毎に整理・集計して公表することについても控えることとします。

原則6 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

DBJは、エクイティ投資業務を行うために資金を受け入れる投資家に対して、投資先企業の状況や、議決権行使を含めた投資先企業に対する関与などについて、定期的に報告を行います。投資先企業の情報管理の観点も踏まえ、かかる報告はHP等で公表するのではなく、当該投資家に対して個別に報告することとします。

原則7 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

DBJは、投資先企業の長期的な発展、企業価値の長期的な最大化に貢献できるよう、従前より、持続可能な社会の実現に向けた視点を踏まえながら、投資先企業やその事業に対する理解を深め、自らが提供できるソリューションの質を向上させるよう努めてまいりましたが、スチュワードシップ責任を適切に果たせるよう、今後ともエクイティ投資業務の一層の強化に努めます。