全国設備投資計画調査(2022年6月)
DBJが毎年実施している民間法人企業を対象とした設備投資計画調査です。
概要
2022年度の設備投資計画の特徴
大幅増によりコロナ前の投資水準を回復へ
投資再開に加え、脱炭素やデジタル化、レジリエンス強化が押し上げ
1. 国内設備投資の概況
- 大企業(資本金10億円以上)の2021年度国内設備投資は、コロナ禍の長期化もあり大型投資の先送りにより大きく下方修正され2年連続のマイナス(3.8%減)となった。
- 22年度は、先送りした投資の再開に加え、脱炭素やデジタル化の加速、レジリエンス強化に向けた取り組みの押し上げにより大幅増加(26.8%増)の計画であり、コロナ前の19年度の投資水準を回復する。
2. 新型コロナ・地政学リスクとサプライチェーン
- 新型コロナに加えて、ウクライナ危機などによる国際秩序の再編、インフレ、円安などリスクが増大する中で、戦略在庫の確保など経済安全保障の側面からサプライチェーンの強靭化などレジリエンス強化を図る動きが拡大する。
3. 脱炭素の取り組み
- 脱炭素の取り組みは今年も再エネ、省エネ、EVが中心となり、今年度の設備投資の最大13%、研究開発は24%を占める。取引先との連携やインターナルカーボンプライシングなどの取り組みもみられる。
4. イノベーション、人的投資
- 研究開発は、輸送用機械がCASE、脱炭素関連で増加するほか、化学や電気機械も高い伸びが続く。人的投資は研修拡充のほか、健康経営など様々な取り組みがみられる。情報化投資は、データ活用や省人化対応で増加する。
5. 地域別や中堅企業の特徴
- 脱炭素関連も含む製造業の能力増強投資などを中心にほとんどの地域で二桁増を見込む。一方、中堅企業においては、多くが脱炭素に向けた取り組みについて手探りの状況であり、支援策に対する期待も高い。
報告書
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調査結果概要
- 1.
国内設備投資の概況
- 2.
新型コロナ・地政学リスクとサプライチェーン
- 3.
脱炭素の取り組み
- 4.
イノベーション、人的投資
- 5.
地域別や中堅企業の特徴
- 1.
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企業行動に関する意識調査結果(特別アンケート)
2022年6月24日を期日として、特別アンケートを実施
大企業増減率の推移
増減率の推移を、時系列でまとめて見ることができます。
以下のExcelファイルをダウンロードしてご覧ください。
過去の調査結果
過去の調査結果はこちらからご覧ください。
設備投資トピックス
2022年度設備投資計画調査の結果を踏まえ、企業トップの方々との対話から示唆される日本企業の課題につき、現段階で認識されている論点をまとめたレポートです。
企業との対話にみる日本企業の課題 2023
~カーボンニュートラル・サプライチェーン強化・DX・人への投資~
- 1.
カーボンニュートラル(CN)
- 日本企業は幅広い業種でCN対応の必要性を認めるが、昨年同様、経済的メリットを見い出せていない。
- 国際的には、ウクライナ危機を経て現実路線へシフトし、トランジションの重要性に対する認識が高まった。国内でもR&Dは進むが、複数の脱炭素技術において海外が先行しているとの見方もある。
- 政府は「GX(グリーントランスフォーメーション)実行に向けた基本方針」を提示し、脱炭素投資の支援策に予算措置を講じるが、着実なルール整備や脱炭素戦略の国際的なアピール強化など、政府には一段のイニシアティブ発揮が期待されている。また、金融機関を含めて、日本の技術がイニシアティブを取るために、商用化に向けた先行事例を地域ごとに作り上げることが求められる。
- 2.
経済安全保障とサプライチェーン
- 日本企業はここ1年で中国依存のリスクを改めて認識し、その他のアジア地域への投資に注力する企業も多くみられた。ただし、地産地消を志向する大きな流れは変わらず、既に海外進出した拠点を国内に回帰する動きはさほど多くはない。一方で、地政学リスクの高まりは、新分野や高付加価値製品の投資を国内に振り向ける契機になる可能性がある。
- 3.
DX(デジタルトランスフォーメーション)とイノベーション
- DXの加速に向けて、M&Aや中途採用によるIT人材の確保が一つの有効策であるが、IT人材には企業戦略の理解が必要との声も聞かれた。また、現在の仕事をデジタル化するコストを上回る効果を得るために、業務の抜本的な改革も必須との指摘もあった。
- 海外では新製品の上市が早く、イノベーションの事業化が進みやすいとの見方もあった。日本においても、検査基準の見直しや失敗を許容する風土の醸成など、商用化を前倒しする方策が求められる。
- 4.
人への投資
- 競争力強化に向けて、M&Aや中途採用による外部人材確保、出向による人材教育など、社内外での適正な人材配置や円滑な労働移動が求められる。人材確保競争が環境対応やIT投資の契機になっていると指摘する企業もあった。
お問い合わせ
日本政策投資銀行 産業調査部 設備投資計画調査担当
TEL: 03-3244-1845
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