『カバード・ボンド研究会』報告書を発表~中長期のリスクマネー・成長資金供給の円滑化へ向けた提言~

 株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、今年2月に、カバード・ボンド研究会(以下「本研究会」という。)を立ち上げ、わが国へのカバード・ボンドの導入について議論を行ってきたところですが、この度その成果として、『わが国へのカバード・ボンド導入に向けた実務者の認識の整理と課題の抽出』と題する報告書をとりまとめました。

 カバード・ボンドとは、欧州を中心に発行されている債権担保付き社債の一種であり、発行体と担保の双方にリコース(=ダブルリコース)が可能なことから、投資家からは安定的な金融商品と認識され、金融機関の長期資金調達等に活用されている債券です。ここ数年、特にリーマンショック時における底堅い発行実績等から、米国を始め欧州以外の地域でも発行事例や法整備の動きが見られるなど、世界的な注目が高まっています。

 報告書の要旨は以下の通りです。
(1)今後の成長戦略・インフラ整備等を見据えれば、特に外貨調達や中長期資金確保の手段等を充実させていく必要があり、カバード・ボンドはそのための有力な手段となり得る。
(2)金融市場にとっても、国債などに代わる運用手段として、カバード・ボンドは有用なものとなり得る。
(3)研究会参加者の間では、カバード・ボンドは足下の資金余剰の状況を踏まえると喫緊に必要なものではないが、金融機関の資金調達の多様化を図る一環として引き続き検討していく必要があるとの認識が共有されている。
(4)今後の課題は市場における流動性の確保であり、発行、流通コストを引き下げる標準化の最も厳格な形として法制化を検討する意義は大きい。
(5)法制化に向けては、ダブルリコースを確保するための倒産法制の例外的措置が必要となるため、今後さらに議論を深める必要がある。(発行体や担保資産の適格基準等)
(6)なお適格担保資産については、欧州で一般的な住宅ローンや地方公共団体向け債権に加え、インフラ関連企業やPFI向け債権等も対象とすることなど、日本の実情を勘案し検討されることが望まれる。
 
 報告書は、DBJのウェブサイト(https://www.dbj.jp/investigate/list/?year=2011&cat=report)に掲載していますので、ご参照ください。

 DBJは、本研究会の成果を踏まえ、カバード・ボンドに関する議論を関係各方面と継続してまいります。

                                                          以  上

【お問い合わせ先】
経営企画部 広報・CSR室        電話番号03-3244-1180

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