全国設備投資計画調査(大企業) (2010年6月)

DBJが毎年1回実施している、民間法人企業を対象とした設備投資計画調査です。1956年以来50年以上にわたり毎年継続している大企業(資本金10億円以上)の設備投資動向調査となります。

概要

激減を経て、緩やかながら3年ぶりの増加
- エコカーや太陽電池など環境関連製品の分野で投資が拡大 -
《 地域別: 10地域中、関西・四国を除く8地域で増加 》

  1. 1.
    大企業(資本金10億円以上)の2010年度設備投資計画は、製造業、非製造業ともに増加、全産業で3年ぶりの増加(6.8%増)となる。なお、前年度実績は全産業(16.7%減)、製造業(30.8%減)で調査開始以来最大の減少となっており、これを受けた2010年度の回復は緩やかなものにとどまる
  2. 2.
    今回調査に基づく2010年度の設備投資の特徴をまとめると、以下の点が挙げられる。
    1. 収益要因:足もとの収益改善を受けて電気機械、自動車中心に増加
    2. 業種、品目別動向:製造業は環境関連製品(エコカー、二次電池、太陽電池、LED)など新分野で投資拡大、非製造業はサービス安定供給のためのインフラ(電力、通信、運輸)投資が下支え
    3. 海外投資との関係:国内は新製品・製品高度化投資主体、海外は新興国中心に能力増強投資主体
  3. 3.
    製造業(8.9%増)は、新興国需要など外需の増加および政策効果もあった内需の回復を背景として業績が回復してきたことから、電気機械や自動車を中心に増加に転じる。両業種では従来設備の維持更新にとどまらず、環境関連製品など新分野での投資が目立っており、ここから化学、窯業・土石などへ投資の波及がみられる。化学は医薬品向け研究開発投資も増加する。鉄鋼は増強・改修投資の反動で減少となる。
    非製造業(5.5%増)は、電力が維持更新、運輸が安全対策や新幹線関連、通信が基地局増強など、主としてサービス安定供給のためのインフラ投資が下支えし増加となる計画である。不動産が大都市圏でのプロジェクト進行で増加する一方、小売は前年度の大型投資が剥落することもあり減少する。
    海外投資の伸びは国内投資の伸びをはるかに上回っており、2009年度の減少分をほぼ回復する計画となっている。特に、アジア(中国含む)は2008年度の水準を大きく上回る見込みであり、外需には海外投資(特にアジアなどの新興国)で対応する傾向が強まっている。
    投資動機をみると、製造業では「新製品・製品高度化」が大半の業種で上昇するのが特徴的な動きであり、「研究開発」のウエイトも化学、一般機械、電気機械などを中心に上昇する。非製造業ではほぼ全ての業種で「維持・補修」のウエイトが上昇する。
  4. 4.
    別アンケート結果によれば、中期的設備投資計画について、金融危機による減額から完全には回復し切れていない。成長分野として、多くの企業が太陽光発電や電気自動車など環境エネルギー分野へ関心を抱いている。中期的に資産の海外比率を高めていこうとするなか、国内に残す機能として研究開発、高付加価値品の生産を挙げる企業が多い。
  5. 5.
    大企業・中堅企業(資本金1億円以上)の2010年度地域別設備投資計画は、10地域中、関西・四国を除く8地域で増加し、全国計では3年ぶりの増加(6.0%増)となる。

報告書

上記報告書は、調査レポ―ト第101号として発表

お問い合わせ

日本政策投資銀行 設備投資計画調査担当
TEL: 03-3244-1845
E-Mail: capex@dbj.jp