特定投資業務
特定投資業務とは
特定投資業務とは、民間による成長資金の供給の促進を図るため、国からの一部出資(産投出資)を活用し、企業の競争力強化や地域活性化の観点から、成長資金の供給を時限的・集中的に実施することを企図して設けられたものです。2015年6月の開始以来、2024年3月末時点で累計215件、1兆1,820億円の投融資を決定しており、投融資実績額1兆1,246億円に対して誘発された民間投融資額は6兆9,701億円となっています。
スキーム


【補足:成長を支えるリスクマネー等の充実させるための流れ】
- (1)
国:一部出資(産投出資)を行います
- (2)
特定投資業務(特別勘定で出資金を管理):DBJからは自己勘定を繰り入れ。特定投資業務モニタリングボードからは評価・検証を受けます
- (3)
対象となる企業に対して:資本性資金等が送られます。また民間の補完・奨励(呼び水効果等)により、その他金融機関(メガバンク、地銀、民間ファンド等)からの融資等も受けます
- (4)
対象となる企業の取り組み:経営資源を有効活用や経営の革新を行う取り組みが実施されます
- (5)
達成すべき政策目的:地域経済の自立的発展、日本・企業の競争力強化、成長資金市場の発展を目的とします
- (6)
以上により、成長を支えるリスクマネー等の充実を実現します
特定投資業務の創設からこれまでの経緯
2015年 特定投資業務の創設
- 経済財政諮問会議の傘下に設置された「成長資金の供給促進に関する検討会」での議論にて、我が国の企業競争⼒強化や地域活性化のためのリスクマネー(エクイティ・メザニン等)の担い⼿・市場が未成熟であるとの問題意識が示された。
- これを受け、民間による投融資を誘発する形で、時限的・集中的にリスクマネーを供給すべく、かねてからの当行の投資業務を活かしつつ、国からの一部出資(産投出資)を受ける形で、「特定投資業務」が創設された。
(※創設当初の投資決定期限は2020年度末、業務完了期限は2025年度末)
2020年法改正とその後
- 「特定投資業務の在り方に関する検討会」での議論にて、民間の投資領域が限定的であることや地域における成長資金が不足していることが示されたことを受け、法改正により特定投資業務の期限延長(投資決定期限は2025年度末、業務完了期限は2030年度末と各々5年延長)がなされた。
- その後、特定投資業務は政府の重要施策に沿った支援を機動的に行うべく、重点分野として以下ファンドを設置。
- スタートアップ・イノベーションファンド(2020/3~)
- グリーン投資促進ファンド(2021/2~)
- サプライチェーン強靱化・インフラ高度化ファンド(2024/2~)
- 新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド(2020/5~2024/6)
2025年法改正
- 「特定投資業務に関する勉強会」での議論にて、投資案件の大型化、回収期間の長期化が見込まれる予見可能性が困難な分野(GX,ディープテック等)への対応、また地域への更なる浸透に向けた地域金融機関・自治体との連携や情報発信等の強化の必要性が示された。
- これを受け、特定投資業務の期限延長(投資決定期限を2030年度末まで5年延長、業務完了期限を2040年度末まで10年延長)がなされた。
特定投資業務にかかる期限延長(2025年法改正)
2025年5月9日に「株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案」が成立。改正内容は以下の通り
- (1)
投資決定期限及び政府による出資期限を2026年3月31日から2031年3月31日まで延長
- (2)
業務完了期限を2031年3月31日から2041年3月31日まで延長
特定投資業務の期限延長

特定投資業務における重点分野
DBJスタートアップ・イノベーションファンド
「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(2022年10月28日閣議決定)等を踏まえ、スタートアップの創出・育成への取り組みの加速を明確化すべく、2021年3月に設置した「DBJイノベーション・ライフサイエンスファンド」を2022年11月に「DBJスタートアップ・イノベーションファンド」に改称し、スタートアップの創出・育成や、オープンイノベーションの推進に努めております。
グリーン投資促進ファンド
「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(2020年12月8日閣議決定)等を踏まえ、再生可能エネルギー事業をはじめとする、資源や環境の持続可能性を考慮した事業等を支援すべく、2021年2月に設置しました。
サプライチェーン強靱化・インフラ高度化ファンド
「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和5年11月2日閣議決定)等を踏まえ、サプライチェーンの強靱化、国土強靱化に向けた取組等を支援すべく、2024年2月に設置しました。


特定投資業務にかかる実績
- 特定投資業務とは、民間による成長資金の供給促進を図るため、国からの一部出資(産投出資)を活用し、企業の競争力強化や地域活性化の観点から、成長資金の供給を時限的・集中的に実施することを企図して設けられたもの
- 2015年6月の業務開始以来、 2025年3月末時点で258件/1兆3,773億円の投融資を決定、この間誘発された民間投融資額は7兆9,980億円
- 特定投資業務にかかる2024年度の純利益は159億円、業務開始以来の累計では712億円の黒字(参考速報値)
テーマ別の累計決定実績(2025/3末)

※ 当行が特定投資業務として投融資決定を行った件数及び金額
重点分野への取組(2025/3末累計決定実績)

2020/3~ | スタートアップ・イノベーションファンド | 75件・703億円 |
---|---|---|
2021/2~ | GX(グリーン投資促進ファンド) | 19件・1,066億円 |
2024/2~ | サプライチェーン強靱化・インフラ高度化ファンド | 9件・1,205億円 |
※ 新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド:2020年5月~2024年6月(15件・2,516億円)
Exitの実績等(2025/3末)
Exit実績 | 累計52件/元高2,189億円 |
---|---|
国庫納付 | 累計1,529億円 |
Exit案件全件を対象とした政策評価(※)を実施。Exit案件52件のうち36件が(概ね)想定通りの政策効果を発現との評価がなされている。
※ 特定投資業務の政策目的(①競争力強化、②地域活性化、③成長資金に係る市場発展)にかかる定量的な評価・検証を実施。
特定投資業務に対する政策評価
- 特定投資業務の政策目的(①競争力強化、②地域活性化、③成長資金に係る市場発展)にかかる定量的な評価・検証(以下、「政策評価」)については、㈱日本政策投資銀行の特定投資業務の在り方に関する検討会等でその必要性が議論され、2020年5月のDBJ法改正にかかる参議院の附帯決議においては、「政策効果を定量的に把握し、的確に評価・検証すること」につき明示的に要請された経緯にある。
- 政策評価の手法については、モニタリング・ボードでの議論を踏まえ、個別案件の定性評価をスコアリングすることで、横断的な分析を行うことが可能な「スコアリング方式」を採用。具体的には、OECDが政府開発援助に関する国際的な評価基準として発表した評価手法であり、各国の政策金融機関*においても採用実績のある「DAC6項目評価」を特定投資業務向けにカスタマイズした評価手法を策定。

DAC6項目評価基準 | 特定投資評価基準 |
---|---|
①妥当性 & ②整合性 |
(妥当性)
|
③有効性 & ④インパクト |
(有効性)アウトカム(期待された事業の効果・目的)の目標水準の達成度 (インパクト)正負の間接的・長期的効果の実現状況(社会システム、経済状況、環境社会配慮) |
⑤持続性 |
|
⑥効率性 |
|
※ フランス開発庁(AFD)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、ドイツ復興金融公庫(KfW)、アジア開発銀行(ADB)、世界銀行(WB)、英国国際開発庁(DFID)、国連開発計画(UNDP)等
関連情報
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