宮崎カーフェリー(株)の事業再生

宮崎カーフェリー株式会社は、宮崎-神戸間を運行する長距離フェリー事業者です。同社は、宮崎県等の農畜産品を関西・中京・首都圏へ配荷するトラックの輸送等を行っており、同産品の首都圏等への翌日配荷の安定的な実現に不可欠となっています。また、関西地域との間の旅客需要にも対応する重要な交通インフラです。

一方で、同社は、保有する船舶2隻が船齢20年を超え新船導入が必要とされるなかで、足下は一定の水準の損益を確保しながらも、前身企業から受け継いだ多額の負債を抱えており、資金調達を課題としていました。

このようななか、新会社として再出発を検討する同社の再生に際し、宮崎県の地元企業・金融機関・自治体、地域経済活性化支援機構等と共に出資を実行し、併せて融資を行いました。

同社再生により、同社の雇用が維持されることに加え、「宮崎県経済の生命線」とされる同社航路が継続することで、引き続き安定的な宮崎県等の地域産品の出荷が可能となっています。

新会社として出発後、当初からの悲願である新船導入に向け、同社は、収益やガバナンス体制の改善、導入に向けた具体的な計画策定を行っているところです。DBJは、職員を社外取締役として派遣し、同社との対話を続けながら、DBJのネットワークや調査・分析力等を活用し、課題に即したトータルソリューションを提供することで、同社の経営改善や計画策定を支援しています。

職員からのコメント

地域経済に不可欠な航路を「オール宮崎」で支援

宮崎カーフェリーの事業再生における特徴は、航路利用者、自治体、金融機関等の多様なステークホルダーにより新会社が設立された、「オール宮崎」の支援体制であることです。

この特徴は、同社航路が地域経済にとって不可欠であることの裏返しであり、多くの関係者から同社が応援されている証でもあります。一方で、多様なステークホルダーが存在することは、関係者間の調整や対話が不可欠となります。

今後は、新船導入に向けた経営改善や計画策定等の同社の課題解決に向け、多様なステークホルダーがまとまって、それぞれの長所を持ち寄るかたちで、同社の挑戦を後押ししていくことが求められます。DBJとしては、同社経営改善のサポートに加え、ステークホルダーがまとまって同社を支援していける体制づくりにも、微力ながら貢献していきたいと考えています。