株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、このたび「地域伝統ものづくり産業の活性化調査」と題した調査レポートを発行しました。
2014年に始まる地方創生の中で、地域資源を活かした産業活性化が目指される中、地域が競争力を持ちえる分野は主に「食」「旅」「技」の3つと考えられます。DBJは「地域商社」「観光DMO」の切り口から調査・提言を行ってきましたが、本調査は「技」のうち、伝統的に地域で受け継がれている伝統工芸をはじめとしたものづくり産業(=伝統ものづくり産業)の活性化策を探ることを目的に実施しました。
伝統的工芸品の市場規模は2015年にはピーク時の1/5まで縮小しています。この不振の背景には、人口構造の変化や賃金の伸び悩み等による需要の低下に加え、日用品における大規模小売店の拡大、製造小売業態の成長等の商業環境の大きな変化があります。伝統ものづくり産業の各産地では、これまで産地内での分業構造(産地分業体制)を発達・近代化させることで、消費地の需要に応えてきましたが、現在においては、この構造故に、市場の変化に対応できなくなっています。そのような中、近年、産地が抱える問題をブレークスルーし、成長を遂げている企業も存在します。このような企業を全国より10社取り上げ、その事業展開や今後の戦略も分析しています。
今後、伝統ものづくり産業は、消費そのものが持つ意味を重視する顧客層に向けて、「伝統」「製品」「産地」「人材」の4つを強みとして生き残り、成長を図っていくことが必要です。具体的には、生産面では分業体制の統合、そして生産と流通との統合を進める「産地統合体制」を構築すること、人材面ではAIやICTに代替されない「手しごと」の価値の追求、金融面ではM&A・事業承継等の攻めのファイナンスも必要となってきます。産地全体としては、海外展開・産地ツーリズムといった「新たなマーケットへの展開」、イノベーティブな産地環境を作るための「多様性の尊重と外部との連携」、そして最終的に「新たなクラスターとしての産地形成」を進めていくことが求められます。
当レポートをご希望の方は、DBJウェブサイト「地域・産業・経済レポート」(https://www.dbj.jp/investigate/list/?year=2018&cat=report)に掲載していますのでご参照ください。
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