株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、「2019・2020・2021年度 設備投資計画調査:新型コロナにより9年ぶりのマイナスへ~デジタル化など将来に向けた投資は増加~」について、調査結果を取りまとめました。
今回の大企業の2020年度設備投資計画は、全産業で3.9%増となりますが、近年の本調査における計画から実績にかけての下方修正の傾向を踏まえると、着地は9年ぶりの減少となる公算が大きくなります。
本調査に基づく2020年度国内設備投資は、特徴としては以下の点が挙げられます。
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製造業では、化学や非鉄金属、電気機械などで自動車の次世代技術開発に向けた投資が継続するほか、デジタル化需要拡大に向けた投資も増加する。 |
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非製造業では、電力の維持更新投資に加え、通信・情報でデジタルインフラ整備に向けた投資が増加するが、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)による下押し圧力が広範に及び、運輸や不動産、小売が減少する。 |
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海外設備投資は、全産業で3.6%減と2年連続で減少する。欧州向け(6.3%増)で、新型コロナを受けた今後の医薬品需要増をにらんだ投資が増加するが、北米向け(5.6%減)が輸送用機械を中心に減少する。 |
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企業行動に関する意識調査では、新型コロナによる事業への影響((5)参照)とともに、有形固定資産投資や情報化投資、研究開発などを含めた、企業にとっての「広義の投資」の取り組みについて引き続き調査を行った。 情報化投資では、AI、IoTを活用している割合が昨年から増加したが、専門人材の不足感は高まっている。 研究開発では、オープンイノベーションなどの活用が増加しているとの回答は3割程度と昨年から小幅に減少したが、新型コロナを受けても大きな変化はみられていない。研究効率改善に向けては、AIなどのデジタル技術活用への期待もみられた。 人手不足の状況は、新型コロナを受けてやや緩和したが、中期的には再び人手不足が深刻化に向かうとの見方が多い。 |
(5) |
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新型コロナによる事業への影響 |
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(事業への影響) |
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新型コロナの影響について、9割の企業がマイナスの影響があると回答し、うち3割が過去最大のマイナスの影響と回答した。 |
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マイナスの影響の内容として、8割程度の企業が国内需要の減少と回答し、製造業では海外需要の減少との回答も多くみられた。 |
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新型コロナの影響を受けて、3割の企業が設備投資を見送ったと回答した。他方、見送った企業の8割は今後事態が収束すれば見送った投資を実行に移す可能性があると回答した。 |
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感染拡大前の売上水準への回復時期は、2021年上期との回答が3割程度と一番多いが、見方は分かれており、回復が見通せないとの回答も目立った。 |
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(中長期の需要見通し) |
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新型コロナを受けた製品やサービスの中長期的な需要見通しとしては、6割の企業が不変と回答したが、3割超は需要が減少すると回答した。 |
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(事業見直しの必要性) |
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新型コロナを契機として、5割の企業が事業の見直しが必要と回答した。また事業の見直しに向けた取り組みとしては、5割の企業が新たな製品やサービスの提供が必要と回答し、3割超の企業が非接触型など、サービスのデジタル化への移行が必要と回答した。 |
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(サプライチェーンの見直し) |
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新型コロナを受けたサプライチェーン見直しの内容として、製造業では、4割の企業が海外の仕入調達先の分散、多様化と回答し、次いで製品や部品の標準化・規格化との回答が多くなった。 |
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(リモートワークなどの整備) |
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新型コロナにより、7割超の企業がリモートワークなどの未整備が事業の制約になったと回答した。 |
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リモートワークなどの導入、整備においては、6割程度の企業が情報機器の不足や通信インフラの問題が障害になったと回答した。また取引先との関係や社内風土などが障害になるとの回答は多くない一方、5割程度の企業が既存の業務プロセスが制約になったと回答した。 |
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なお、本調査は個別企業名を出さないという前提のもと、回答にご協力をいただいております関係上、個別企業名にかかるお問い合わせには応じかねますので、あらかじめご了承ください。
本調査の詳細は、DBJウェブサイト調査研究レポート「設備投資計画調査 全国設備投資計画調査(大企業)」(https://www.dbj.jp/investigate/equip/)に掲載しておりますので、ご参照ください。
DBJは、企業理念「金融力で未来をデザインします~金融フロンティアの弛まぬ開拓を通じて、お客様及び社会の課題を解決し、日本と世界の持続的発展を実現します~」に基づき、今後とも地域に役立つ情報発信を積極的に行ってまいります。
【お問い合わせ先】
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