再犯防止分野に関するソーシャル・インパクト・ボンドへの資金提供について
~「特定投資業務」を活用し、社会課題解決に向けた新たな官民連携をサポート~

 株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、株式会社公文教育研究会(代表取締役社長:池上秀徳、以下「KUMON」という。)を代表事業者とする事業体が法務省より受託したソーシャル・インパクト・ボンド(注1)(以下「SIB」という。)方式による再犯防止分野での学習支援事業に対し、資金提供をすることとなりました。本件は、本邦初の国直轄でのSIBであり、再犯防止分野におけるSIBとしても国内初の取組となります。

 KUMONは、教育実践を重ねる教育サービス企業で、世界50を超える国と地域で372万の学習者(全教科合計学習者数)に公文式学習を提供しています。1977年より少年院への公文式導入の実績もあり、現在では4か所の少年院にて導入されています(2021年3月時点)。また、早くからSIB事業の可能性に着目し、2015年度の経済産業省「SIB調査事業」への参画以降、奈良県天理市・福岡県大川市との成果連動型民間委託事業等に取り組んでいます。

 本件は、KUMONが、非行少年の支援に豊富な経験を有する株式会社キズキ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:安田祐輔)や一般社団法人もふもふネット(本社:大阪府大阪市、代表理事:藤岡淳子)と連携し、少年院に在院している少年のうち、学習意欲のある者について、在院中に学習支援計画を策定し、その出院後に継続的な学習支援を提供することで再犯・再非行を防止する事業に対して、DBJが資金提供するものです。本ファイナンスを通じて、我が国SIB市場の拡大が期待出来ること等を踏まえ、「特定投資業務」(注2)により支援することといたしました。

 これまでDBJは、PFS/SIBに係る国内外の市場調査や各種情報発信等を通じたネットワーク構築、SIBを投資対象としたファンドへの出資等を通じ、日本版SIB形成に向けた先進的なノウハウを獲得してきました。また、DBJでは第5次中期経営計画(2021年5月20日付「第5次中期経営計画について」参照)において、投融資を通じて持続可能な社会に貢献すべく「GRIT戦略」(注3)を推進することとしています。PFS/SIBへの取り組みはGRIT戦略にも合致するものであり、今後もDBJは、個別PFS/SIBプロジェクトの組成・資金提供を通じて、日本版PFS/SIBの普及促進や地域の社会課題解決支援、持続可能な社会への貢献に取り組んでまいります。


(注1)事業者による予防的プログラムの実施につき、投資家が事業者に対し事業資金を提供し、事業の成果に応じて自治体が資金提供者に対し成果報酬を支払う仕組み。公共事業における契約形態で、業務委託時ではなく事業の成果達成時に行政からの支払いが発生し、事業の成果達成度合いに連動して委託料が変動する「成果連動型委託契約」と民間資金の活用を組み合わせた官民連携手法の一つに位置付けられます。

(注2)民間による成長資金の供給の促進ならびに地域経済の活性化および我が国企業の競争力の強化を図るため、国からの一部出資(産投出資)を活用して、成長資金を時限的・集中的に供給する業務です。

(注3)G:グリーン社会の実現、R:しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤の構築、I:事業化可能と評価できるイノベーションへの取り組み、T:現在の事業基盤を前提とした移行に向けた戦略的取り組み、を表すもので、第5次中期経営計画においてDBJグループが重点的に取り組む分野を表したものです。

【お問い合わせ先】

ストラクチャードファイナンス部  電話番号 03-3244-1590
業務企画部 イノベーション推進室 電話番号 03-6311-5048

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