株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、中国電力株式会社(本社:広島県広島市、代表取締役社長執行役員:瀧本夏彦、以下「当社」という。)に対し、株式会社みずほ銀行をジョイントアレンジャーとして、当社取引金融機関とのシンジケーション方式による、トランジション・リンク・ローン(注1)とハイブリッドファイナンス(注2)を組み合わせた、本邦初となるトランジション・リンク・ハイブリッド・ローン(注3、以下「本ローン」)を組成しました。
当社グループは、中国電力グループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」(2020年1月策定)や「中国電力グループ『2050年カーボンニュートラル』への挑戦」(2021年2月策定)を公表、2030年度までの小売電気事業におけるCO2排出量半減(2013年度比)等を目標として掲げています。
カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーや原子力をはじめとする脱炭素電源への設備投資等を継続的に行うとともに、設備投資資金等を中長期的に安定して確保するための財務基盤の維持・強化を図る方針です。
本ローンは、当社のトランジション戦略と整合したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)を設定して金利条件等と連動させることで、当社にトランジション戦略の実現に対するインセンティブを与え、社会における脱炭素化・低炭素化を促進させることを目的としています。本ローンのトランジション・リンク・ローンとしての適格性については、国際資本市場協会(ICMA)「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」及びLMAなどが策定する「サステナビリティ・リンク・ローン原則」等に準拠する旨、株式会社日本格付研究所による第三者評価を取得しました(注4)。
DBJは、当社によるカーボンニュートラルに向けた取り組みが、当社の競争力の強化、ひいては経済社会の活力向上及び地域経済の自立的発展に資するものであると評価し、「特定投資業務(注5)」の一類型である「グリーン投資促進ファンド(注6)」により支援することといたしました。
DBJでは第5次中期経営計画(2021年5月20日付「第5次中期経営計画について」参照)において、投融資を通じて持続可能な社会に貢献すべく「GRIT戦略(注7)」を推進することとしています。DBJは、今後も持続可能な社会・地域活性化への貢献に取り組んでまいります。
<本ローン概要>
借入人 | 当社 |
マンデーテッド・リード・アレンジャー | DBJ |
マンデーテッド・ジョイント・アレンジャー | 株式会社みずほ銀行 |
トランジション・ストラクチャリング・エージェント | DBJ |
貸付人 | 当社取引金融機関 |
SPT | 2030年度の小売電気事業におけるCO2排出量を2013年度比半減 |
(注1)トランジション・リンク・ローンとは、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向け、長期的な移行(トランジション)戦略に則った温室効果ガス削減に取り組んでいる企業を支援することを目的とした融資の枠組みであるトランジションロ-ンにおいて、事前に設定した SPT のベンチマークに対する借り手のパフォーマンスと貸出条件等を連動させるものです。
(注2)ハイブリッドファイナンスとは、資本と負債の中間的な性質を有する資金調達手法で、格付機関から一定の資本性を認められることが期待できるなど、財務構成比率を改善し、財務の安定性を高めるメリットがあり、メザニンファイナンスの一種であり、劣後ローン、劣後債、優先出資証券、優先株式等の形態で行われます
(注3)トランジション・リンク・ハイブリッド・ローンとは、トランジション・リンク・ローンとハイブリッドファイナンスの性質を組み合わせたファイナンス手法です。
(注4)日本格付研究所のウェブサイトをご参照ください。
(注5)民間による成長資金の供給の促進並びに地域経済の活性化及び我が国企業の競争力の強化を図るため、国からの一部出資(産投出資)を活用して、成長資金を時限的・集中的に供給する業務。
(注6)「グリーン投資促進ファンド」は、2050年カーボンニュートラルを目指す政府の方針等も踏まえ、グリーン社会の実現に資する事業等への取り組みを幅広く支援することを目的として設置した資金枠です。
(注7)G:グリーン社会の実現、R:しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤の構築、I:事業化可能と評価できるイノベーションへの取り組み、T:現在の事業基盤を前提とした移行に向けた戦略的取り組み、を表すもので、第5次中期経営計画においてDBJグループが重点的に取り組む分野を表したものです。
【お問い合わせ先】
中国支店 電話番号 082-247-4311