株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、2022年10月26日から27日にかけて開催されたADFIAP(アジア太平洋開発金融機関協会(注1))の年次総会において、三井住友信託銀行株式会社(以下「三井住友信託銀行」という。)と共同して組成した、株式会社商船三井(以下「当社」という。)に対する地域金融機関等11行が参加するシンジケーション方式トランジション・ローン(注2、以下「本ローン」という)が評価され、環境開発部門における優れた取り組みとしてADFIAP Awards 2022を受賞しました。
ADFIAP Awardsは、域内の優秀かつ啓発性の高いディール・取り組みを広く周知し、金融手法・技術の共有を図る目的で、優れた実績を残したアジア太平洋地域の開発金融機関を表彰するものです。
当社は外航分野全般のほか内航やフェリーも手掛ける、我が国でも有数の海運事業者です。当社は、2021年6月に「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」を策定、2030年までにLNG燃料船約90隻の導入等を通じ、2050年までに当社グループ全体でネットゼロ・エミッションの達成を目指す目標を掲げています。
本件は、当社及び当社グループ会社の株式会社フェリーさんふらわあ(本店:大分県大分市、社長:赤坂光次郎)が、大阪~別府航路で運航を予定している日本初のLNG燃料フェリー2隻(以下「本船」という。)の導入に対して、トランジション・ローンを実施するものです。DBJは、本船投入航路や建造される造船所に近接する西日本地域所在の地域金融機関等を中心に、三井住友信託銀行と共同して本ローンを組成しました。
本船は、国土交通省「内航船省エネルギー格付制度」により最高評価5つ星の認証を受けており、本船導入により、硫黄酸化物排出量については100%、CO2については重油専焼比20%以上の排出削減効果が見込まれます。また本船は、西日本地域の人・モノの輸送を支える重要な海上インフラとしての役割に加え、国内のモーダルシフトを推進する効果も期待されています。
本ローンは、本邦で初めてトランジション・ローンとして、経済産業省のクライメート・トランジション・ファイナンスモデル事業に採択されました(注3)。また、本ローンの適格性については、国際資本市場協会(ICMA)「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」及びLMA などが策定する「グリーンローン原則」等に準拠する旨、株式会社日本格付研究所(以下「日本格付研究所」)による第三者評価を取得しました(注4)。
本ローンは、事業者と金融機関が一体となってネットゼロ・エミッションの達成を目指すトランジション・ローンであり、環境開発に資する取り組みとして高く評価され、今般受賞に至りました。
DBJでは第5次中期経営計画(2021年5月20日付「第5次中期経営計画について」参照)において、投融資を通じて持続可能な社会に貢献すべく「GRIT戦略(注5)」を推進することとしています。DBJは、今後も持続可能な社会・地域活性化への貢献に取り組んでまいります。
(注1) ADFIAP概要
正式名称 | : | Association of Development Financing Institutions in Asia and the Pacific(アジア太平洋開発金融機関協会) |
設立 | : | 昭和51年10月(本部:フィリピン/マニラ) |
目的 | : | アジア太平洋地域の開発金融機関の協調促進、開発金融の調査研究、人材育成等 |
加盟機関 | : | 38ヶ国・地域、90機関 |
(注2)トランジション・ローンとは、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向け、長期的な移行(トランジション)戦略に則った温室効果ガス削減に取り組んでいる企業を支援することを目的とした融資の枠組みです。
(注3)経済産業省のウェブサイトをご参照ください。https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/climate_transition/002.html
(注4)株式会社日本格付研究所のウェブサイトをご参照ください。https://www.jcr.co.jp/greenfinance/
(注5)G:グリーン社会の実現、R:しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤の構築、I:事業化可能と評価できるイノベーションへの取り組み、T:現在の事業基盤を前提とした移行に向けた戦略的取り組み、を表すもので、第5次中期経営計画においてDBJグループが重点的に取り組む分野を表したものです。
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