太平洋セメント(株)に対し、トランジション・リンク・ローンを実行―本邦セメント業界初のトランジション・ファイナンス―

 株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、太平洋セメント株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役:不死原正文、以下「当社」という。)に対し、トランジション・ファイナンス・フレームワーク(注1)の策定を支援し、本邦セメント業界初のトランジション・ファイナンスとなるトランジション・リンク・ローン(注2)を実行しました。

 当社グループは、2021年5月「カーボンニュートラル戦略2050」を公表した後、2022年3月には「カーボンニュートラル戦略2050」の技術開発ロードマップと2030年中間目標を策定・公表し、2050年に国内外のサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現するべく、取り組みを進めています。

 本ローンは、当社のトランジション戦略と整合したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPTs」という。)を設定し、金利条件等と連動させることで、当社にトランジション戦略の進展や達成に対するインセンティブを与え、社会における脱炭素化・低炭素化を促進させることを目的としています。本ローンのSPTsには、2050年に国内外のサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現するためのマイルストーンとして公表されている当社の2030年中間目標値2つを設定しております。

 SPTs① サプライチェーンにおけるCO2排出原単位(注3)を2000年比20%削減
 SPTs② 国内のCO2排出量(注4)を2000年比40%削減

 本ローンのトランジション・リンク・ローンとしての適格性については、国際資本市場協会(ICMA)「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」及びLMAなどが策定する「サステナビリティ・リンク・ローン原則」等に適合する旨、株式会社日本格付研究所による第三者評価を取得しました(注5)。また、経済産業省のクライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業としても採択されています(注6)。

 DBJは、カーボンニュートラル技術の確立を重要な経営課題且つ成長戦略のひとつと位置づける当社の戦略を評価し、2030年中間目標の達成に向けた既存技術(省エネ、低CO2エネルギー/セメント)の最大活用や革新技術開発(CO2回収・利用)等の取り組みを支援すべく、本ローンを実行いたしました。

 DBJ では第5次中期経営計画(2021年5月20日付「第5次中期経営計画について」参照)において、投融資を通じて持続可能な社会に貢献すべく「GRIT 戦略(注7)」を推進することとしています。DBJ は、今後も持続可能な社会・地域活性化への貢献に取り組んでまいります。


(注1)当社グループ トランジション・リンク・ローン・フレームワーク
    https://www.taiheiyo-cement.co.jp/csr/pdf/transition.pdf
(注2)トランジション・リンク・ローンとは、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向け、 長期的な移行(トランジション)戦略に則った温室効果ガス削減に取り組んでいる企業を支援することを目的とした融資の枠組みであるトランジションロ-ンにおいて、事前に設定した SPTs のベンチマークに対する借り手のパフォーマンスと貸出条件等を連動させるものです。
(注3)スコープ1(化石代替エネルギー分を除く)+スコープ2+スコープ3(カテゴリ1、3)
(注4)スコープ1(化石代替エネルギー分を除く)+スコープ2
(注5)日本格付研究所 ウェブサイト
    https://www.jcr.co.jp/greenfinance/
(注6)経済産業省 トランジションファイナンス ウェブサイト
    https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/transition_finance.html

(注7)G:グリーン社会の実現、R:しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤の構築、 I:事業化可能と評価できるイノベーションへの取り組み、T:現在の事業基盤を前提とした移行に向けた戦略的取り組み、を表すもので、第5次中期経営計画においてDBJグループが重点的に取り組む分野を表したものです。



【お問い合わせ先】
企業金融第1部 電話番号 03-3244-1680

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