ADFIAP Awards 2023を受賞-Zero-Emission Accelerating Ship Finance創設およびKumiai Navigation (Pte) Ltdへの融資実行が評価-

 2023年5月15日から17日にかけて開催されたADFIAP(アジア太平洋開発金融機関協会(注1))の年次総会において、株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)及び一般財団法人日本海事協会(以下、「ClassNK」)が共同組成・運用する「Zero-Emission Accelerating Ship Finance」(以下、「本プログラム」)に基づき、ClassNKがKumiai Navigation (Pte) Ltd(以下、「Kumiai」)が保有するLPG二元燃料LPG運搬船「CRYSTAL OASIS」(以下、「本船」)に対して評価を実施し、DBJがKumiaiに融資実行した取り組みにつき、環境開発部門における優れた取り組みとしてADFIAP Awards 2023を受賞しました。

 ADFIAP Awardsは、域内の優秀かつ啓発性の高いディール・取り組みを広く周知し、金融手法・技術の共有を図る目的で、優れた実績を残したアジア太平洋地域の開発金融機関を表彰するものです。

 本プログラムは、DBJとClass NKが本プログラム用に共同開発した「脱炭素・環境配慮性能・先進性」という観点での総合スコアリングモデルに基づき、ClassNKが船舶の評価を実施し、DBJが投融資を提供することで、海運事業者の脱炭素への移行に資する取り組みをIR面・資金面から支援するもので、本船への評価は、本プログラムに基づく第1号案件となります。

 Kumiaiはシンガポールに拠点を置く日系船主であり、業界でも先駆けてLPG二元燃料LPG運搬船の発注を進める等、脱炭素への移行に向けた先進的な取り組みを進めています。本船は、川崎重工業坂出工場で建造され、2022年6月にKumiaiへ引き渡された、最新鋭のLPG二元燃料大型LPG運搬船となります。

 今回の本船評価にあたっては、(1)主機関にLPGを使用可能な二元燃料エンジンを採用していることから、排ガス中の硫黄酸化物(SOx)や二酸化炭素(CO2)などの排出量の大幅な削減が可能となっており、エネルギー効率設計指標(EEDI)フェーズ3(注2)を規制の強制化に先んじて達成している点、(2)排ガス再循環(EGR)装置及び選択式触媒還元(SCR)脱硝装置の搭載により、窒素酸化物(NOx)3次規制を満足している点、(3)大気・海洋汚染防止への更なる配慮として、国際条約で義務化されていない様々な環境技術が導入され、特別な環境対策や先進的な環境対策が講じられたClassNK船級船に対するノーテーション"Environmental Awareness(EA)"及び"Advanced Environmental Awareness(a-EA)"(注3)を有する点等を評価しました。

 その結果、本船に対し、本プログラムにおける「脱炭素・環境配慮性能・先進性が特に高いと評価できる船舶」として、相応の環境関連投資がなされていると認める最高ランクのS評価を付与しました。

 本プロジェクト及び本船への融資実行は、海運事業者の脱炭素への移行に資する取り組みであり、環境開発に資する取り組みとして高く評価され、今般受賞に至りました。

 DBJでは第5次中期経営計画(2021年5月20日付「第5次中期経営計画について」参照)において、投融資を通じて持続可能な社会に貢献すべく「GRIT戦略(注4)」を推進することとしています。DBJは、今後も持続可能な社会・地域活性化への貢献に取り組んでまいります。


(注1) ADFIAP概要

正式名称  Association of Development Financing Institutions in Asia and the Pacific(アジア太平洋開発金融機関協会)
設立 昭和51年10月(本部:フィリピン/マニラ)
目的 アジア太平洋地域の開発金融機関の協調促進、開発金融の調査研究、人材育成等
加盟機関 38ヶ国・地域、89機関

(注2)EEDI規制は、新造船を統一の燃費指標で評価し、一定値以下とすることを義務づけるもの。船種毎の規制値が段階的に強化される。LPG運搬船(15,000DWT以上)のフェーズ3では、規制開始時と比較して30%以上の削減率が要求される。

(注3)ノーテーションは、特定の目的に対して特別な措置が講じられたものを船級証書上で示すもの。本船はClassNK「環境ガイドライン」に適合し、ノーテーション"Advanced Environmental Awareness(a-EA)"を有する初の船級船となる。

(注4)G:グリーン社会の実現、R:しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤の構築、I:事業化可能と評価できるイノベーションへの取り組み、T:現在の事業基盤を前提とした移行に向けた戦略的取り組み、を表すもので、第5次中期経営計画においてDBJグループが重点的に取り組む分野を表したものです。



【お問い合わせ先】
業務企画部 電話番号 03-3244-1150

DBJ News一覧へ戻る