Alloyed Limitedに対する出資について~マテリアルズ・インフォマティクスおよび金属3Dプリンティング技術を活用した製造業の高度化を目指す~

 株式会社日本政策投資銀行(以下、「DBJ」という。)は、Alloyed Limited(本社:英国オックスフォード、CEOMichael Holmes、以下、「当社」という。)に対して出資を実行しました。

 当社は、オックスフォード大学の研究をもとに、Oxford Science Enterprises(注1、以下、「OSE」という。)の支援によって2017年に設立されたスタートアップです。合金などの材料開発から金属3Dプリンター向けの設計・エンジニアリング・製造まで一貫サービスを有し、独自の合金設計シミュレーションソフトをはじめとしたデジタルツールを用い、合金材料開発・部品開発・製造受託の各領域において、顧客の要望に即したサービス・プロダクトを提供しています。
 2019年以降、JX金属株式会社や株式会社国際協力銀行などを含む株主が経営面を支えながら、事業を拡大する局面においてはNTTデータザムテクノロジーズ株式会社との業務提携を進めるなど、日本企業との連携も深めて参りました。

 近年、マテリアルズ・インフォマティクス(注2、以下、「MI」という。)は、合金開発など製造業の現場にて活用する試みが広まっています。従来の材料開発は、職人的な勘および経験をもとに、試作と実験を繰り返すものでしたが、MIの活用により、熟練の開発者による材料開発をシミュレーションで再現することができます。他方、合金に期待される機能の高度化、製品ライフサイクルの短期化の傾向が強くなっていることに加え、国内外の資源環境の変化に伴い、経済安全保障上の重要性も高まっており、合金開発およびそれを活用した製造業の在り方は日々変化しつつあります。
 当社は、合金設計シミュレーションソフトにおいてMIによる材料開発の実用化に挑戦しており、合金開発における属人的な開発プロセスの改善、効率化を進めています。また、金属3Dプリンターによる製造と当社の合金開発技術を組み合わせた高機能製品の開発も行っており、さらにはこれらの開発を前提にした航空宇宙産業、電子機器産業等への製造受託まで大きく業容を拡大しようとしています。

 本件は、「産業の技術革新と再編成」を経営上の重要課題としているDBJが、当社のMIによる高い合金開発能力と、高機能製品の製造を可能とする金属3Dプリンティング技術の両面に期待し、英国、日本での事業展開を資本面から支援するものです。当社要請を受け、既存株主からの同意を得ながら、国内関連民間企業との面的連携の創出を担うべく、スパークス・アセット・マネジメント株式会社が運営する未来創生3号ファンドおよびDBJがリードし、次の成長ステージへ引き上げる今次投資を実行しました。

 DBJは、各ステークホルダーと密に連携しながら当社の事業構築、企業価値向上に向けて積極的にサポートするとともに、国内関連民間企業等の各関係者の結節点となって、日本の伝統的な冶金・製造業の変革に向けた実証的な取り組みを支援し、産業の技術革新への寄与を目指します。

(注1)オックスフォード地域のスタートアップ創業を支援するべく、2015年より活動する機関投資家。オックスフォード大学発のスタートアップ創業を多く支援してきた実績を有する。

(注2)マテリアルズ・インフォマティクス(Materials InformaticsMI):材料特性の予測や新材料の設計において、機械学習やデータマイニングなど、いわゆるAIの技術を用いて高速化・効率化する技術のこと



【お問い合わせ先】

業務企画部 イノベーション推進室 電話番号 03-6311-5048

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