株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、株式会社アサカ理研(本社:福島県郡山市、代表取締役社長:山田浩太、以下「当社」という。)に対し、株式会社常陽銀行、株式会社東邦銀行とともにシンジケート・ローンを組成しました。
当社は持続可能な循環型社会の実現を目指し、リチウムイオン電池(以下「LiB」という。)再生の事業化に取り組んでおり、廃棄された LiB に含まれるリチウム(Li)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)等のレアメタルを回収・再生し、再び原料として安定的に供給する「LiB to LiB(水平リサイクル)」の実現を目指しています。
使用済みLiBを再生の対象として扱うことが一般的であるなか、当社はLiBの工程廃材(製造工程で発生する端材や不良品)にも着目し、工程廃材再生の事業化を進めています。事業化に向けた取り組みの一環として、当社は車載用 LiB メーカーであるプライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:好田博昭、以下「PPES」という。)と共同開発に取り組んだ結果、PPESとの間でPPESの工場において排出される一部の工程廃材の再生業務受託に関する覚書(MOU)を締結しており、当社いわき工場において当該業務受託に取り組み、LiB資源の国内リサイクルの実現及び国内リサイクル精錬の競争力向上を目指しています。
LiBの再生のプロセスは、焙焼等によりLiBからリサイクル対象材を取り出す前処理工程と、リサイクル対象材からレアメタルを回収する後処理工程に分けられ、両工程を異なる事業会社で実施する例が多いところ、当社では焙焼せずに粉砕する形で前処理を行った上で、当社内で後処理工程まで取り組んでおります。また、当社が貴金属事業にて培った溶媒抽出技術を応用した独自の循環工程を開発したことで、LiB 再生事業の環境負荷(CO₂排出・廃棄物等)を低減させつつ、レアメタルの高い回収率を達成することに成功しています。
本件は、DBJが地域金融機関である株式会社常陽銀行及び株式会社東邦銀行によるシンジケート・ローンを組成したものであり、当社によるLiB再生事業の事業化に向けた設備投資資金を提供し、金融面から支援するものです。
DBJでは第5次中期経営計画において、持続可能な社会への貢献に向けた「GRIT戦略(注)」を推進することとしています。DBJは「GRIT戦略」に基づき、国内におけるリチウムの安定確保、ひいては我が国のサーキュラーエコノミーの推進に資する当社の取り組みを支援してまいります。
(注)G:グリーン社会の実現、R:しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤の構築、I:事業化可能と評価できるイノベーションへの取り組み、T:現在の事業基盤を前提とした移行に向けた戦略的取り組み、を表すもので、第5次中期経営計画においてDBJグループが重点的に取り組む分野を表したもの。
【お問い合わせ先】
東北支店 電話番号 022-227-8184