No.144 日銀の金融緩和政策とその効果 「量的緩和政策」導入時との比較を中心に

 本稿では、金融危機後の日銀の金融緩和政策について、その手段と効果を量的緩和政策との比較において概観した。金融危機後の緩和政策では、企業への与信を担保としたオペを行うなどその手段の多様化が目立っているが、量的な面でも程度拡大がみられ、日銀当座預金、日銀総資産の規模は前回の量的緩和政策導入時前半と同水準となっている。実体経済への波及をみると、マネーストックや銀行貸出への下支え効果は一定程度みられるものの、企業の資金需要が弱いこと、為替介入がない中で為替安を通じた外需下支えができないことなど、限界がある。

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