全国設備投資計画調査(大企業) (2012年6月)

DBJが毎年1回実施している、民間法人企業を対象とした設備投資計画調査です。1956年以来50年以上にわたり毎年継続している大企業(資本金10億円以上)の設備投資動向調査となります。

概要

抑制基調を経て、5年ぶりの増加
- 国内は維持・補修や合理化・省力化が中心 -
- 海外は能力増強中心に大幅増、サプライチェーン海外シフトの動きも -

  1. 1.
    大企業(資本金10億円以上)の2012年度国内設備投資額は、製造業(19.1%増)、非製造業(8.6%増)とも増加し、全産業で12.2%増と5年ぶりの増加となる。
  2. 2.
    今回調査に基づく2012年度の国内設備投資は、過去4年間の設備投資減少にみられる抑制基調の影響を受けているといえ、特徴としては以下の点が挙げられる。
    1. 維持・補修、合理化・省力化のウエイト上昇
      国内設備投資は、「能力増強」でなく、「維持・補修」、「合理化・省力化」を中心に増加。製造業の「維持・補修」のウエイトは過去最高。設備投資が増加する年に「維持・補修」のウエイトが上昇し、「能力増強」が低下するのは異例。
    2. エコカー関連を中心とした投資連鎖がみられる一方、電気機械は減少
      エコカー関連で自動車の新製品・製品高度化投資が大きく増加し、化学などで関連部材も増加。他方、川上の部材が増加するなかで、電気機械は液晶テレビなど最終製品関連での投資抑制により、減少。投資連鎖の広がりに差異。
    3. 東日本大震災の復旧関連一段落。耐震、電力供給問題は引き続き対応
      復旧・復興投資は2012年度に一段落となるが、耐震強化や、電力供給問題対応としての自家発電導入・強化などの動きは継続。
  3. 3.
    製造業(19.1%増)は、自動車をはじめ、化学、一般機械を中心に5年ぶりに増加。自動車はエコカー関連を中心とした増加。化学はディスプレイ、LED、太陽電池、エコカー関連高機能部材などが増加。一般機械は、事務民生用機械や好調な外需に支えられた建設機械で増加。一方、電気機械はディスプレイや半導体などの落ち込みにより減少。
    非製造業(8.6%増)は、卸売・小売でコンビニなどの新規出店増加がみられ、運輸では、鉄道、道路貨物・倉庫で増加。電力も安定供給や安全確保、経年対応があり増加。
  4. 4.
    海外設備投資は、自動車の能力増強、鉱業の資源関連を中心に引き続き大幅増(31.5%増)。他方、電気機械は減少に転じる。海外/国内投資比率(連結)は、引き続き上昇(全産業 2011年度30.6%→2012年度37.2%、製造業2011年度53.3%→2012年度58.3%)。
    製造業の中期的な供給能力見通しは、海外増加・国内維持が主流となり、国内縮小を伴う海外増加の割合も上昇。海外展開強化に伴うサプライチェーンの海外シフトの動きもみられる。
  5. 5.
    研究開発は、全産業で4.2%の増加。中期的な国内外の研究開発活動については、国内を堅持しつつも海外を増加させる傾向。

報告書

上記報告書は、調査レポ―ト第105号として発表

お問い合わせ

日本政策投資銀行 設備投資計画調査担当
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E-Mail: capex@dbj.jp