ホーム > IR情報 > DBJについて > 社長メッセージ

社長メッセージ

1. はじめに

 世界では保護主義の台頭や地政学リスクの高まりなどにより政治的な不安定さが増すなか、国際金融規制の強化、金融技術のイノベーションの急速な進展、国内ではマイナス金利など、金融機関を取り巻く環境は急速に変化しています。

 不確実性が高まるなかにおいて、持続可能な社会の構築に向けた金融面での貢献への意識の高まりからESGを巡る時流の変化は顕著になってきています。FSB(金融安定理事会)のもとに設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言が2017年6月に発表され、日本国内ではSDGs(国連持続可能な開発目標)の達成に向けた企業のリーダーシップや、ESG投資分野における年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の取り組みも大きな牽引役となりました。

 このように社会の持続可能な発展に向けた「世界共通の目標」が掲げられ、企業に対する社会的課題解決への期待の高まりと共に、企業ではこうした取り組みを経営と一体不可分なものとして推進する動きが強くなりつつあります。

2. DBJグループが果たしてきた役割

 DBJグループは、その前身である日本開発銀行・北海道東北開発公庫の時代から、戦後の復興、高度・安定成長期、バブル経済とその崩壊、グローバル化や少子高齢化への対応、環境や防災意識の高まりなど、その時々の社会の課題に柔軟に対応し、我が国の持続的発展に貢献してまいりました。直近の10年だけを見ましても、世界的な金融危機や東日本大震災など重大な事案が立て続けに発生する目まぐるしい変化のなかで、社会の課題に応え、将来を見据えた取り組みを進めてまいりました。こうした対応を可能にしているのは、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆様との長きにわたる不断の対話であり、私どもの貴重な財産です。

 DBJグループは、2018年10月に株式会社化から10年を迎えようとしています。今日までのあゆみ、そしてこれから目指す未来にも通底するものは、変容する社会やお客様の課題に柔軟に応えていく姿勢と、そのために必要な変わらぬDBJグループの「使命~金融力で未来をデザインします」と「価値観~挑戦(Initiative)と誠実(Integrity)」だと考えております。

3. 「長期ビジョン2030」と重点領域

 2015年には、2030年までの将来に向けて中長期的な視点で今後のDBJグループの果たすべき役割を改めて考えました。この議論の過程で、DBJグループのステークホルダーに重要な影響を与える外部環境の変化として、我が国の人口減少や気候変動・エネルギー問題、グローバル競争の激化、AI・Fintechなどの技術革新などを特定しました。そして、戦後復興から都市化・公害対策など高度成長期に担った役割から危機対応や競争力強化といった現代社会の課題への対応など、これまでDBJグループが果たしてきた役割、実現してきた価値を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けてDBJグループが中長期的に力を発揮すべき領域を検討しました。

 その結果、2017年に「ビジョン2030」を策定し、DBJグループが取り組む重点領域(マテリアリティ)を、「インフラ」「産業」「地域」の3領域として明確に示しました。この重点領域での貢献こそ、DBJグループの今日までのあゆみと整合的であり、かつ、今後の社会やステークホルダーからのご期待に沿うものと考えております。DBJグループは、将来に向けて当該領域で社会の持続可能な発展のために引き続き尽力していきます。

 重点3領域を中心として事業活動を通じた価値創造の仕組みとして、DBJグループは、「サステナビリティ経営」を進めてまいります。DBJグループが目指す「サステナビリティ経営」とは、持続可能な社会の実現に向け、経済価値と社会価値を創造することです。そのために、独自のビジネスモデルに基づく事業活動を通じ、DBJグループの財務・非財務的価値をブラッシュアップすると共に、ステークホルダーの皆様との対話を通してプロセスの不断の改善を図ります。

4. 第4次中期経営計画(2017~2019年度)の取り組み

 2017年に定めた「第4次中期経営計画~変化に挑み、未来を創る3年間~」は、長期ビジョンからバックキャストする形で、重点3領域を中心とする新たな成長分野や地域へのリスクマネー供給を通じた我が国の成長への貢献、金融機関との連携・協働による多様な投融資機会の創出を目指しています。

 中期計画の初年度となる2017年度は、インフラ分野で投資業務が進捗したことに加え、産業分野では航空宇宙・通信・ヘルスケアといった次世代の成長の糧となる分野に挑戦する取り組みを立ち上げました。特定投資の分野でも地域と世界を繋ぐ取り組みなど地域ごとに特色ある案件を創意工夫して仕上げました。このような取り組みをグループ一体で創出できたことも大きな進展であったと考えております。

5. 今後の事業運営について

 2018年度は第4次中期経営計画の折り返しになります。政府が2018年7月に打ち出した「未来投資戦略2018」ではSociety 5.0というコンセプトが掲げられていますが、その核心はデジタル技術にともなう「繋がる社会」の出現です。こうした時代のなかで、お客様も既存産業を越えて、新しい分野に挑戦されています。DBJグループとしても、2018年度より航空宇宙、通信、ヘルスケアに加え、革新的な動きが出ているロジスティクス(物流)分野も新しい取り組みに追加しました。リスクマネーの供給に加えて、今後は新分野へのチャレンジと多様な業務の結節点となることが私たちの役割だと考えています。

 また、次世代の技術革新も取り込んだ、環境に配慮し災害に強い“しなやかで強い”都市形成に向けて再生可能エネルギーや都市交通・流通基盤などインフラ整備の面でサポートしてまいります。その一環として、不動産の更新需要に対してはREITなどによる資金循環を太くすることが、また、インフラ整備の手法については財政制約が強くなるなかでPPP/PFIの仕組みが、重要になります。

 このように“時代を先取りする取り組み”を進めつつ、地域の特色も盛り込みながら地域の課題に対応していくことが必要であり、地域金融機関などとの連携・協働がより一層重要だと考えています。また、ESGの潮流の加速に応じて、DBJ 評価認証型融資にも積極的に取り組んでまいります。

6. サステナビリティ経営のトップランナーとして

 価値創造プロセスであるサステナビリティ経営を支える最も重要な基盤は、経済価値と社会価値の両立を追求し続ける4つのDNAを持った「人財」です。DBJグループの役職員は、これまでの業務で培われた長期性、中立性、パブリックマインド、信頼性という4つのDNAを承継しており、時代の要請に応え、挑戦を続けてきました。また、各役職員は、企業やプロジェクトを評価する目利き能力を向上させる努力を続けており、時代あるいは地域の課題を意識した俯瞰的な視点から長期的に審査・評価するノウハウ・能力、そしてネットワークの蓄積はDBJグループの財産です。

 DBJグループの価値を体現する職員が健康で思う存分に活躍してもらうために、働き方改革を推進しています。2018年度は、柔軟な働き方を支援する取り組みの一環として、在宅勤務制度を導入しました。また、今後は世界の動向を把握したうえで社会やお客様の課題に対応することがますます重要になることから、グローバルな視野を有する人財育成に注力すべく海外大学との育成プログラムを開始するなど、多層的な研修・人財育成制度の拡充を進めています。

 サステナビリティ経営のトップランナーとして、その使命を果たすためには、ステークホルダーの皆様との対話が重要です。この統合報告書が、ステークホルダーの皆様との対話に繋がればと願っております。

2018年8月
株式会社日本政策投資銀行
代表取締役社長 渡辺 一

ページ先頭

ページトップへ