株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)はエクセルギー・パワー・システムズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:ムセル・マイク・イグナス、以下「当社」という。)に対して、「Society5.0挑戦投資制度」(注1)を活用した出資を実行しました。
当社は、熱を素早く外部に逃がすことができる独自の構造により、一般的な蓄電池の約20~200倍と超高速で充放電が可能な次世代型ニッケル水素蓄電池であるエクセルギー電池(以下、「当電池」という。)を開発、当電池の活用により革新的なエネルギーソリューションサービスを提供する会社です。
現在、当社は、再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)比率の急速な高まりにより電力供給の不安定化が社会課題となっているアイルランドにおいて、当電池をバックアップ電源として現地の工場や商業施設向けに納入し、送電会社と連携しながら電力需給調整サービスを提供しています。急な天候変化により電力が乱れた場合に、当電池から急速に充放電することで、電力網の安定化が可能となります。このように再エネの導入が先行する欧州で実績を積み、将来的には、再エネ比率が今後高まるであろう他地域や日本にもサービスを展開することで、持続可能でレジリエントな社会づくりへ貢献することが期待されています。
また、日本では、港湾クレーンの荷下ろしや鉄道などの運動エネルギーを回生電力(注2)として再利用することでエネルギーの有効活用を図る取組等、様々な用途で実証プロジェクトが始まっています。将来的には、工場の圧延設備や、病院での重粒子線装置などの瞬間的に大電力を必要とする装置、病院やデータセンターの瞬停対策等、人々の命やインフラを支えるコアデバイスとしての活用も見込まれています。
DBJは、当社およびステークホルダーと密に連携しながら国内外で当電池の社会実装を主体的に促進していきます。その結果、DBJの顧客との新結合による新たな活用使途の獲得やエネルギーソリューションの創出を目指します。また、現在のCOVID-19による社会構造の変容など不確実性が高まる社会においても、持続的なエネルギー供給が可能な社会インフラの構築に貢献し、人々の安心・安全な生活を守り、誰もが希望を持ち続ける社会を実現します。
本件は日本発の先端技術の事業化および開発を支援するものであり、DBJの「特定投資業務」のひとつとして創設した「DBJイノベーションエコシステム活性化ファンド」を活用し投資を実施しました。
DBJは、企業理念「金融力で未来をデザインします~金融フロンティアの弛まぬ開拓を通じて、お客様および社会の課題を解決し、日本と世界の持続的発展を実現します~」に基づき、イノベーション活動への主体的な金融投資家としての貢献によって、今後ともわが国社会全体のレジリエンス向上に資する金融機能を果たしてまいります。
(注1)わが国の社会課題の解決や、新たな価値観での新産業創造を目指して持続可能な社会作りに貢献する活動に対し、投資によって事業参画する新たな枠組みとして、「Socisety5.0挑戦投資制度」を創設した(2020年7月6日プレスリリース「イノベーション活動への新たな挑戦」)。
(注2)電車などモーターで動いている装置において、減速時にモーターを発電機として利用することで運動エネルギーを電気エネルギーに変換すること。回生電力を蓄電池に貯めて、加速時にモーターの動力源として再利用することでエネルギー効率を向上させられる。
【お問い合わせ先】
業務企画部 イノベーション推進室 電話番号 03-6311-5048