ADFIAP Awards 2025を受賞-Qolab.incに対する出資-~量子コンピューターの開発・社会実装を目指す~

 2025年4月23日から25日にかけて開催されたADFIAP(アジア太平洋開発金融機関協会(注1))の年次総会において、株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、Qolab.inc(本社:米国ロサンゼルス、CEO:Alan Ho、以下「当社」という。)に対する出資につき、技術開発部門における優れた取り組みとしてADFIAP Awards 2025を受賞しました。

 ADFIAP Awardsは、域内の優秀かつ啓発性の高いディール・取り組みを広く周知し、金融手法・技術の共有を図る目的で、優れた実績を残したアジア太平洋地域の開発金融機関を表彰するものです。

 当社は、超電導量子コンピューターの研究、開発を行うスタートアップです。低いエラー率の超電導量子ビットを大規模に集積した量子コンピューターによる量子化学計算・シミュレーター等の実行、さらには大規模な量子計算が可能な誤り耐性型量子コンピューター(FTQC: Fault-Tolerant Quantum Computer)の実現を目指しています。

 当社はGoogle にて2019年に量子超越性を主導・実現させたJohn Martinis(CTO)(注2)が設立した超電導量子コンピューターの開発企業であり、Applied Materials(米国)等の世界的にも有力なデバイス製造技術を保持する企業とともに、商用量子ビットチップ等の開発を進めております。

 量子コンピューターは、2050年には素材開発、ヘルスケア、金融サービス、サイバーセキュリティ、物流最適化等のさまざまな分野で64~122兆円の価値創出をもたらすと予測(注3)され、政府においても「量子未来社会ビジョン」(2022年策定)の下、国産量子コンピューターの研究開発の抜本的な強化、産業界への総合支援等の取り組みが進んでおります。しかし、量子コンピューター、特に関連ハードウェアの開発には、エンジニアリング能力のさらなる向上が依然として必要であることから、国内外の技術や先端デバイスを含め柔軟に活用し、国内の事業開発環境の向上を目指すべきと考えております(注4)。

 DBJは、世界最高水準の超電導エレクトロニクス製造技術を有する産総研をはじめとする国内研究機関・国内の関連技術を有する有力事業会社等との連携による当社事業開発の加速を通じて、日本の超電導量子コンピューターのファウンドリーとしての地位獲得、ひいては量子コンピューターの社会実装の早期実現を支援してまいります。

(注1)ADFIAP概要

正式名称 Association of Development Financing Institutions in Asia and the Pacific(アジア太平洋開発金融機関協会)
設  立 昭和51年10月(本部:フィリピン/マニラ)
目  的 アジア太平洋地域の開発金融機関の協調促進、開発金融の調査研究、人材育成等
加盟機関 42ヶ国・地域、97機関(令和7421日時点)

(注2)
"Quantum supremacy using a programmable superconducting processor", Nature 574, pp. 505-510 (2019)

(注3)
BCG, "What Happens When "If" Turns to "When" in Quantum Computing?", 2021.07.21., 2024年9月末 TTSレート(1ドル=143.35円)で円換算している。

(注4)
「量子コンピューターの地平線とこれからの展望」レポートをDBJ ウェブサイト「調査研究レポート」に掲載していますので、ご参照ください。



【お問い合わせ先】
業務企画部 電話番号 03-3244-1150

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