DBJならではの特徴から見えてくる
その独自性や魅力とは
他の企業にはないDBJの役割や機能について教えてください。
DBJの強みとして、「中立性」「長期性」「パブリックマインド」「信頼性」という4つのDNAがあります。「中立性」について言えば、DBJはどの企業グループにも属しておらず、あらゆる機関、企業との連携が可能です。例えば、事業者にとって最初の拠り所となるのはメインバンクですが、メインバンクだけでは負い切れないリスクがある場合、それを相談したり、リスク自体をシェアしたりできる相手として最初に声をかけてもらえるのが私たちDBJです。
DBJにはどういった期待が寄せられているのでしょうか?
現職に就く前は企業金融第3部に在籍し、小売・食品製造、物流、商社、リース業界を担当していました。これらの業界の中には、コロナ禍の影響を大きく受けた企業もあり、事業者からだけでなく、事業者のメインバンクを務める各金融機関からも数多くの相談が寄せられました。このとき期待されたのは、全体最適を見据えた上で多様な関係者をつなぎ、コーディネートすることによって、事態の打開を図っていくということ。「中立性」を特徴とするDBJだからこそ果たせる役割であると、私自身、再認識した出来事でもありましたね。また、「長期性」にもDBJらしさが表れていると思います。
「長期性」には、どういった意味合いがあるのでしょうか?
DBJは、お客様とお付き合いする際、目先の利益にとらわれず、その後どうお客様が発展していくか、成長をどのようにサポートしていけるか中長期的な視点で考えられる組織です。社会課題が複雑化し、事業環境の不確実性が増す中、脱炭素社会実現に向けた多様な投資を考えていかなければならない。10年先、20年先を見据えた壮大な取り組みですが、誰も解を持ち合わせていない中で、長期的視点から仮説を立てて挑戦していくことこそDBJが企業理念として唱える「金融力で未来をデザインします」が意味するものだと理解しています。難題ですが、こうした仕事を面白いと思える方はDBJに向いているかもしれませんね。「金融力」とは、前述の多様な金融手法にとどまらず、「ナレッジの提供」も非常に重要であると私たちは考えています。
それは、どうしてでしょうか?
脱炭素社会実現に向けた取り組みも、産業、企業、地域によって温度差があるというのが私たちの実感です。そして、その原因は情報格差にあります。情報に触れている人たちにとっては自分事、触れていない人たちにとっては他人事。しかし究極的には、日本に暮らすすべての人たちが自分事と捉え、足並みを揃えない限り、日本における脱炭素社会は実現しません。そこでDBJでは、再生可能エネルギーや水素に関するレポートを作成し、地域企業、経済団体、金融機関といった関係者の皆様と議論する場の創出を推進しています。そして、議論がなされていない地域へは横展開していく。こうした「ナレッジの提供」を通じた地道な啓発活動が脱炭素に向けたトランジションの第一歩になると考えています。
ほかにも、DBJ独自の具体的な役割はありますか?
特徴的な業務としては、「特定投資業務」と「危機対応業務」があります。「特定投資業務」とは、地域経済の活性化や日本企業の競争力強化を目的として、融資よりもリスクが高い「資本性資金」をDBJが提供することで、民間金融機関による成長資金の供給促進、すなわち呼び水効果を狙うものです。これはDBJが果たすべき大事な使命であり、社会からも期待されているものだと認識しています。そして「危機対応業務」とは、国内外の金融秩序の混乱や大規模災害、感染症等の被害に対処するための必要な資金を、政府指定の金融機関として供給するもので、リーマンショックや東日本大震災、そしてコロナ禍などに際して、累計8.7兆円規模の資金を供給してきました。不測の事態によって社会に混乱が生じたとき、率先してリスクを取り金融市場の円滑化を図ることも、DBJとしての大事な役割だと考えています。
ご自身が思うDBJの価値、魅力について教えてください。
「経済価値と社会価値を両立できる」という点です。この案件に取り組む社会的意義とは何か。金融というツールを用いて自分たちには何ができるのか。こうしたことを徹底して考え抜くことが企業文化として根付いているのがDBJです。行員一人ひとりが社会全体を俯瞰して物事を捉え、課題解決に向けて日々奮闘することで、扱う業務領域はさらに広がっていきます。もちろん、個人の力ではどうにもならないこともたくさんあります。ですが、実際に30年働いて実感しているのは、少人数な組織ゆえに生まれるDBJの融通無碍なチームワークをもってすれば、「金融力で未来をデザインする」ことが可能であるということ。パブリックマインドを発揮し、持続可能な社会の実現をつねに目指しているのがDBJという組織であり、それは私たちの誇りでもあります。
