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SPECIAL INTERVIEW

DBJを知る

DBJの役割

社会の中でDBJが果たしている役割とは?
他社が持たない固有の機能とは?
01

HIROFUMI MAKI

牧 裕文

執行役員 経営企画部長

1993年入行。法人営業、省庁への出向、米国留学などを経験後、法務・コンプライアンス部にて個別案件の法務サポートと同時に、DBJ法制定にも関与。その後、経営企画部にて株式会社化後の経営戦略の策定をリード。人事部担当部長、都市開発部長を経て、2021年6月より現職に就く。

過去から現在へ
役割の変遷を追う

―― 本日はよろしくお願いします。DBJを初めて知る方向けに、分かりやすくDBJの役割や機能をお話しいただければと思います。

―― DBJは1951年設立ですが、そもそもどのような目的のもとに誕生した組織なのですか?

もともとは、日本の戦後復興に必要な鉄鋼、造船、化学、電力といった、いわゆる「重厚長大産業」を育成しなければいけないということで、この産業分野に重点的に資金を投入するため、民間金融機関を補完する役割のもと政府系金融機関としてつくられたのが始まりです。設立当初は日本開発銀行という名称でした。

―― その後は、どのような役割を担ってきたのですか?

当初は重厚長大型の産業が主な対象でしたが、当然、時代によって育成すべき産業は変わります。そのため以後は、日本の大都市を開発するということで不動産などの「都市開発」、東京への一極集中が社会問題になってからは「地域開発」、さらに輸送力増強のための「空港や鉄道(インフラ)」など、時代ごとの社会課題に即し重点分野を移し広げながら、長期資金の供給を通じ日本に貢献してきました。
また、1990年代後半になると、金融手法の高度化にも取り組み、対象プロジェクトの収益に依拠し関係者間でリスクを分散させる「プロジェクトファイナンス」や「アセットファイナンス」、さらには融資よりもリスクが高い「資本性資金」もいち早く提供するようになりました。つまり、私たちが先駆けとなり、新たな金融手法を開発・導入する役割を担ってきたということです。

―― 注力分野としては現在も、「インフラ」や「産業」、「地域」などに重点を置いているようですが、これは過去の歴史を踏まえてのことなのですか?

過去というよりも、わが国の将来、具体的には2030年の、さらにはその先の日本の経済社会を考えて設定したテーマです。たとえば、日本は1960年代にインフラを一度構築したのですが、それから60年近く経ってインフラの再構築が必要になっています。各種産業も、デジタル化の進展や気候変動問題などが起きている中で、構造転換が必要になっています。また、引き続き地域と都市の格差問題は残っていますので、私たちが重点的に支援していくべきは、この3つの分野だと考えているのです。

画像:牧 裕文

他社との違いを
実例から理解する
~DBJの“つなぐ”
機能とは~

―― 他の企業にはないDBJだけの役割や機能とは、どのようなものなのでしょう?

先ほども、DBJが先駆けとなってプロジェクトファイナンスやアセットファイナンスなどを日本に導入したと言ったように、時代の半歩先・一歩先を見据えて、必要な金融機能を提供していくことが私たちの使命だと考えています。また、色々な関係者をうまくつないで、コーディネートするというのも私たちならではの機能です。DBJはどの企業グループにも属していない中立的な組織ですので、たとえば私たちが間に入って、民間金融機関をつなぐこともできますし、地域の企業と東京の企業をつなぐこともできます。DBJ固有の機能はたくさんありますが、この「金融フロンティアの開拓」と「つなぐ」の2つが代表的なものですね。

―― 独自の機能を発揮した具体例を教えてください。

「つなぐ」で言うと、ある地域の2つの製紙会社をつないだ事例があります。現在多くの製造業では、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、燃料転換など、CO₂排出量を削減することが重要な課題となっています。製紙会社でもいずれは巨費を投じて、新燃料の貯蔵タンクやパイプラインなどを建設しなければいけない時期が訪れると考えられますが、各社が単独でそれを行うには時に限界もあるでしょう。そこで、競合する会社同士が手を取り合うのは難しい面もあるため、私たちが入って両社をつなぎ、さらに県、市や地域金融機関も巻き込んで検討する場をつくり、将来的な絵姿を描いていく。これなどはまさに現在進行形の、つなぐ機能を発揮している事例だと思います。

―― それは企業の側から相談があったのですか?

いいえ、業界や地域の将来のためには、両社が手を取り合って共同で取り組んだほうがいいと考えて、DBJ側から働きかけたものです。やはり、企業というのは自社にとっての最適化を図っていくもので、業界全体、地域全体として見れば最適ではないケースもありますから、それを全体としての最適化へと持っていくのが私たちの役割だと思います。

―― その働きかけは他の組織・金融機関では難しかったのでしょうか?

そうですね。私たちは中立的な組織ですし、政府100%出資の金融機関でもあるので、地域の金融機関が切り出しにくい事柄に踏み込んでいく役回りを果たせたのだと思います。また、DBJは業界動向やカーボンニュートラルに関する政策・技術動向もフォローしており、こうしたナレッジも関係者を「つなぐ」うえで重要なファクターになっています。ただ、最終的には両社がカーボンニュートラルの対策をしっかりと完遂するところがゴールですので、5年、10年の歳月を要する話です。長期的な視点に立ち将来を見据えて動くのも、DBJならではかもしれませんね。

画像:牧 裕文

他社との違いを実例から理解する
~DBJが拓く
“金融フロンティア”とは~

―― 「金融フロンティア」を開拓した具体例を教えてください。

たとえば、「DBJサステナビリティ評価認証融資」といって、各企業の環境や防災、従業員の健康への取り組みを評価し、評価の高低と融資条件を連動させる格付メニューを世界で初めて開発しました。また、それに似た仕組みでは、不動産の環境性能に着目した「DBJ Green Building認証制度」など、サステナビリティに関する企業の取り組みにインセンティブをつける手法も生み出しました。これらはDBJに続いて他の金融機関が同様の取り組みを開始したことも相まって、社会全体がそちらの方向へ動いて行き、非常に良い流れがつくれたと感じています。

―― リスクマネーの供給という観点ではいかがでしょうか。

複雑化する日本社会において、企業は以前よりもリスクを取った取り組みが求められています。それを支援する少し忍耐強い長期性の資金への需要が高まっていますが、その担い手は限定的です。そのようなリスクマネーの供給を日本社会に対して行っていくことがDBJの役割だと思っています。実際、DBJの収益構造を見ても、かつては融資の収益が大部分を占めていましたが、現在は融資と投資の収益が半々になるほどDBJ自身のビジネスモデルも大きく変わってきました。

―― 産官学金の様々な方々と話をする中で、DBJの役割を改めて認識したというような経験はありますか?

コロナ禍での危機対応業務において、取引先の企業はもちろん、民間金融機関からも、「DBJがいてくれてありがたい」と言われました。具体的には、長引くコロナ禍で深刻な影響を受けている飲食・宿泊業向けの特別プログラムをつくり、金融支援を行ってきたのですが、民間金融機関の方々より、「DBJがリスクのある手法で資金提供をしてくれたおかげで、一緒に融資ができました」という声もいただいています。コロナ禍などの危機対応も政府系金融機関であるDBJの業務の一つです。私たちがリスクを取って金融市場を円滑化していく役割というのは改めて重要だと思いましたし、本当に感謝されているのを体感しましたね。

―― 危機対応は、どのような特徴を持つ業務なのですか?

危機対応というのは、金融危機や大規模災害といった危機発生時において企業の資金繰り支援などを行うものです。一見社会的意義に比重を置いた仕事に思われるかもしれませんが、実際はDBJの目利き力を活かし、「経済価値と社会価値の両立」というDBJの変わらない考え方を追求した取り組みなのです。

変化し続ける役割と、
受け継がれる価値観

―― こういった役割の変遷やDBJ独自のビジネスモデルを可能にしているものはなんでしょうか?

DBJバンカーに共通する価値観である「挑戦と誠実」こそが、これらを可能にしていると考えています。現在のDBJは投融資一体型のビジネスを展開していますが、これはあくまで結果にすぎません。大事なことは、長期的な視座でお客様の経営課題や社会課題に対して、私たちとして何ができるかを徹底的に追求する姿勢です。また、先ほどお話したとおり民間の金融機関がいる中で、私たちには独自の役割を果たすことが求められています。ですから、時代の半歩先・一歩先へと進取果敢に自らを変化させていく必要があるのです。

画像:牧 裕文

現代の社会課題と
DBJの新たなテーマ

―― DBJは今後どのような社会課題に取り組もうとしているのでしょうか?

いま日本の産業界は、取り組まなければならない事柄が山積している状態です。1つは先ほども言った気候変動対策。2050年までにカーボンニュートラルを達成し、持続可能な社会を実現していくうえでは、気候変動対策が非常に重要です。また、進化したデジタル技術を産業に活用することや、少子高齢化に伴って労働人口が減少することへの対応、企業の国際競争力をさらに高めることなど、いずれも一朝一夕にはいかない難しい課題です。DBJは、今後の日本の経済社会に影響を与えるこれらの課題を整理して、「D・A・I・S(ダイス)」というキーワードで呼んでいます。Digital、Aging、International、Sustainabilityの4つの頭文字です。これからは日本の社会や産業構造に抜本的な変化が起きてきますので、そこに私たちとして何ができるのか、金融機関として必要とされていることは何なのかを一生懸命に考えて、課題解決への取り組みを支援していかなければならないと思っています。