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DBJのテーマ

グローバルDBJ

  • グローバル
    form NEW YORK
    画像:馬上 雅俊

    MASATOSHI MOUE

    馬上 雅俊

    PROFILE

    DBJ Americas Inc./2012年入行 ※取材当時
    小売・食品業界向けの法人営業を担当した後、九州支店にて幅広い業界への投融資や熊本地震復興業務に携わる。情報企画部にて行内基幹系システムの再構築プロジェクトを推進。2019年よりDBJ Americas Inc.に赴任。

  • グローバル
    form LONDON
    画像:郭 沙千子

    SACHIKO KAKU

    郭 沙千子

    PROFILE

    DBJ Europe Limited/2012年入行 ※取材当時
    入行以来、営業部やプロダクト部門などの様々な立場からエネルギー業界に携わる。欧州の現地金融機関(Oil & Gas担当)への出向を経て、2020年よりDBJ Europe Limitedに赴任。

  • グローバル
    form SINGAPORE
    画像:小川 周作

    SHUSAKU OGAWA

    小川 周作

    PROFILE

    DBJ Singapore Limited/2012年入行 ※取材当時
    物流業界向け法人営業、官庁出向を経験した後、商社業界担当として共同投資プロジェクトを多数手がける。2020年よりDBJ Singapore Limitedに赴任。

NEW YORK

MASATOSHI MOUE

馬上 雅俊

PROFILE

DBJ Americas Inc./2012年入行 ※取材当時
小売・食品業界向けの法人営業を担当した後、九州支店にて幅広い業界への投融資や熊本地震復興業務に携わる。情報企画部にて行内基幹系システムの再構築プロジェクトを推進。2019年よりDBJ Americas Inc.に赴任。

LONDON

SACHIKO KAKU

郭 沙千子

PROFILE

DBJ Europe Limited/2012年入行 ※取材当時
入行以来、営業部やプロダクト部門などの様々な立場からエネルギー業界に携わる。欧州の現地金融機関(Oil & Gas担当)への出向を経て、2020年よりDBJ Europe Limitedに赴任。

SINGAPORE

SHUSAKU OGAWA

小川 周作

PROFILE

DBJ Singapore Limited/2012年入行
物流業界向け法人営業、官庁出向を経験した後、商社業界担当として共同投資プロジェクトを多数手がける。2020年よりDBJ Singapore Limitedに赴任。

海外にいるからこそ感じる
日本の変化、世界の変革。

馬上

日本経済は成長期を過ぎ、成熟期に入っています。人口も減り続ける中では需要と供給の双方が減少し、このままだと国内市場は縮小するばかりです。企業の成長に対する期待が失われ、必要な設備投資も行われなくなれば、社会基盤の維持すら難しくなってしまう。私はそんな危機意識を持っているのですが、お二人はどう思いますか?

小川

私も同意見です。それだけに供給面においては、労働力不足を補うべく企業の生産性を向上させていく必要があるし、需要面においては、海外需要を取り込むべく企業の積極的なグローバル展開が必要であるとの認識です。

その一方で、私たち現代人は経済成長の代償とも言える環境問題に対し、いよいよ本気で向き合わなければならなくなりました。全世界的にカーボンニュートラルに向けた動きが加速する中で、日本だけが例外というわけにはいかないと考えています。

馬上

お二人の今の話を聞くだけでも、日本は大きな転換期を迎えていると感じます。いつの時代も「変化の時代」と言われてきたのでしょうが、パンデミックを経たことで、今はその変化の速度が格段に上がっているようにも思えます。とりわけアメリカではスタートアップ企業が次々と誕生し、ITを利用した新たなビジネスモデルが毎日のように生み出されていることが、余計にそう感じさせているのかもしれません。

小川

似たような感覚を、私も抱いています。こちらで生活をしながら、東南アジアの人口増加や、それに伴う経済成長の著しさに日々触れていると、先進国がたどってきた成長のプロセスをASEAN諸国が一足飛びに駆け上がろうとしているのがわかります。本当に世界が大きく変わろうとしているのでしょうね。

今のお二人の指摘は、欧州で暮らしていても感じます。こちらでは、エネルギートランジションは夢物語ではなく現実のものとして進み始めており、一連の取り組みはエネルギー業界や経済活動だけにとどまらず、社会のあり方、個人の行動様式そのものも変えようとしています。それだけに日本との温度差に焦りにも似た気持ちを抱くこともあるのですが、だからこそ現地法人の必要性を感じますし、ここに駐在員の果たすべき役割があるのだと自覚しています。

グローバル
画像:馬上 雅俊

各拠点に共通して求められる役割と、
それぞれが持つ特徴とは?

小川

郭さんの指摘にもあったように、現地法人で働く私たちが共通して果たすべき役割は、海外における先進的な政策やビジネス、ファイナンスなどの動きをいち早くキャッチし、本店にディールや情報の形で還元することで、日本の社会に役立てていくこと。ヨーロッパの拠点では早くからこれを実行してきましたし、アメリカの拠点でも日本では前例のないような案件が増えていますよね?

そうですね。たとえば、DBJ Europeが設立された当時は、日本ではいまだ導入されていない欧州の排出権取引マーケットに着目していたと聞いています。その後も、私が担当しているインフラ分野では、日本に先んじて空港の民営化を進めてきた欧州で、実際に複数の民営化空港に投融資を実行することによって、空港の効率的な運営方法、バリューアップの仕方などを学び、国内のプロジェクトへ還元しようと試みてきました。そして今は、各セクターとも欧州がリードする脱炭素化の潮流を強く意識して、情報収集や案件のソーシングを行っています。

馬上

DBJ Americasでも同様に、アメリカの先進事例を学び、日本市場への応用などを行うことを目的として、本店との協働のもと多くの投資を実行しています。これまで複数のガス火力発電所に対し日系企業と共同投資をしてきましたが、狙いは2つあります。1つは、電力の自由化が進むアメリカにおいて、案件を通じてその課題や解決策を洗い出し、それを日本にフィードバックすること。もう1つは、先進事例とは別の観点ですが、日本の電力市場が縮小傾向にある中で、電力を担うユーティリティの企業も生き残りをかけて海外に目を向けていますので、その投資をサポートしていくということ。特に後者については、DBJ Singaporeとも共通する部分ですよね?

小川

その通りですね。DBJ Singaporeが、ヨーロッパやアメリカの拠点と大きく異なるのは、私が所属する投融資チームとは別に、日系企業が東南アジア企業などを買収する際のアドバイザリー業務を担う「M&Aアドバイザリーチーム」が存在すること。冒頭でも触れましたが、今後、日本が成長していくためには海外需要を取り込むことが必要不可欠なだけに、その支援を強力に推し進めています。こうしてみると3拠点の役割には実は違いもあって、DBJ Europeがルールメ-カーである欧州の最新動向をウォッチするなら、DBJ Americasはイノベーティブな事業の芽に着目する。そしてDBJ Singaporeは成長著しい東南アジアの旺盛な資金需要に応えると。こうして3拠点がそれぞれの地域の特性、それを踏まえた拠点の特徴を活かしつつ、海外から日本市場の拡大を図っていくことが重要です。

グローバル

その産業の次の一歩を先取りし、
日本の産業振興へと活かしていく。

現地法人ごとの違いが明らかとなったところでお聞きしたいのですが、お二人はどのような考えのもと、どういった案件を手がけてきましたか? 先に私からお話しさせていただくと、水素ビジネスに関するリサーチと案件検討を進めてきました。水素社会の実現に関しては当初、日本が一歩先を進んでいると思っていました。ところが、欧州での水素社会実現に向けた法整備や政府支援が日増しに進んでいく状況を目のあたりにし、DBJも国内における水素活用の流れをサポートする伴走者となるべきだと考え、私も欧州の動向をしっかりと捉えるとともに、ファイナンスの機会を将来的に模索したいと思うようになりました。

そこで、まずは外部コンサルタントと協業しながら欧州の水素関連の政策やビジネス概観、バンカビリティ(融資適格性)に関するリサーチから始めていきました。実は、私はDBJ Europe着任前に出向していた海外金融機関でも水素ビジネスのリサーチをしていたのですが、当時のネットワークやカンファレンスへの参加などを活用しながら、外部とのネットワーク構築にも努めてきました。その結果、ビジネスの芽になりそうな機会とも巡り合うことができました。もちろんすべて欧州の仕組みを日本に横展開できるわけではありませんが、私としては、日本における産業・地理的な特性を踏まえた水素社会構築のために、欧州の政策・ビジネスから日本においても示唆に富む有用な知見を得たいと思いますし、その分野での事業展開を図る日系企業のサポートに、こうした知見を活かせればと思っています。その先に思い描くのはカーボンニュートラルの実現と、私の入行前からの課題意識でもあった日本のエネルギー安全保障の確立を両立させることです。

馬上

私の場合、一つ象徴的だと思うのは、Proptech(不動産テック)に特化したベンチャーキャピタルへの投資案件です。不動産の分野でもデジタル化や脱炭素化への取り組みが求められる中で、最新テクノロジーを使ってどういったことが実現されるのか。その知見なり考察なりを、単に投資するだけではなく、投資先との定期的な勉強会などを通して獲得し、それを日本の不動産業、都市開発へとフィードバックしていきたいと考えています。厚みのあるスタートアップ市場を抱えるアメリカにいるからこそ発掘できる案件を日本に提供し、日本の産業の次の一歩を先取りすること。これが私に求められている役割だと認識しています。

画像:郭 沙千子
グローバル
画像:小川 周作

中長期的な日本への還元を目指し、
先進的な分野への投資を加速させる。

小川

私は前部署にいたときから食農分野で何かできないかと、このテーマを追いかけ続けているのですが、シンガポールに来てから特に着目している分野は、人口増加に伴う食料不足、中でもタンパク質の不足に対する取り組みです。人口が急増する東南アジアでも、今後予想される食料不足、タンパク質不足に対する危機意識は高く、また、よりサステナブルかつ健康的な食品を求める傾向も強くなっています。そのような中で、先日アジアにおける先進的な食農系の企業に投資する食農ファンドにDBJも投資しました。

この取り組みの目的は、馬上君の話と同様、ファンドに投資することそれ自体ではなく、そのファンドや関連する食農系企業と協働して、日本の食農セクターに資する取り組みを行うこと。先日も、ある優れた飲料製品を製造する食品メーカーを日本の食品メーカーに紹介しましたし、有望な技術を持つベンチャー企業に対して一緒に投資できないか検討したりもしています。現時点では、日本に直接的に関係していなくても、食料問題に対する彼らの認識や考え方には私たちとしても大いに共鳴するところがありますし、私としてはここでの関係性を発展させることで、将来的に日本の食農業界に還元していきたいと考えています。

馬上

実は、アメリカでもアグリセクターは注目分野の一つです。先だっても小川君が前にいた部署と連携して、食農関連、森林関連の2つのファンドに投資しました。前者は、環境配慮型の植物工場とも言える施設を建設し、小売業者に対して長期間にわたり天候に左右されない野菜の供給を可能とすることで、ファンド側としても安定的なキャッシュフローを得ることができるというもの。後者は、木材の売却だけでなく、林地をレクリエーション目的で利用者へ売却することで収入を得る、あるいは生態系の保護を進める団体と提携してフィーをもらうなど、アセットを有効活用することでマネタイズするというものです。どちらも法律や地勢などの違いもあり、すぐに日本に導入できるとは限りませんが、ファンドが投資する各種事業は、耕作適地が不足している日本の農業、荒れた人工林が増加している日本の林業にとって大いに参考となるだけに、今後も積極的に関与したいと思っています。

迷ったときに考慮すべきはGRITであり、
海外においても活用すべきは
4つのDNA。

小川

日本と海外とでは物理的距離も時差も大きい。だからこそ、担当エリアにおける顧客や現地プレイヤーとの密なコミュニケーション、投融資案件に対するタイムリーな対応、そして地域動向にかかる一歩踏み込んだ情報収集を行うことが、今後ますます私たちに求められてくることは明らかですね。

そうやって現地の経済や社会の中心に身を置き、マーケットへの一定のコミットメントを見せネットワークを築くことで初めて、有用な情報も入ってくると。この点で、個々人が築くネットワークが資産であり、一朝一夕には形成できない無形の繋がりを大切に育てていくことも駐在員の大切な仕事だと思いますし、常に日本社会が向かっていく方向を念頭に置きながら業務に邁進することが重要だと思っています。

小川

その観点だと私はいつも、DBJが掲げるGRIT戦略を思い出すようにしています。Green、Resilienceという目的、Innovation、Transitionという手段に合致した案件を発掘することで、「日本のために働きたい」「様々な業界に携わり貢献したい」というDBJの入行動機をここシンガポールで果たしていきたいと、想いを新たにしています。お二人はどんな抱負を抱いていますか?

私は今、脱炭素化の先頭を走る欧州で、これから出てくるであろう水素やカーボンキャプチャー(二酸化炭素回収・貯留)のアセット、また徐々に普及が進んでいるEVチャージャーといった次世代インフラを追いかけています。エネルギートランジションという大きな変化の中で、今後どういうビジネスが必要とされ、それらをどういうふうにストラクチャリングしていくべきか。個別の案件のみならず、社会全体の流れを鳥瞰的に捉えながらしっかりと学んで、日本に還元していきたいと思っています。

馬上

アメリカという国はイノベーティブで面白い取り組みが次々と生まれてくる国だけに、私も外に対してしっかりとアンテナを立て、ファイナンス機会や情報を幅広く拾い集めて日本に提供していきたいと思っています。そして、もう一つ。ニューヨークには日系企業の拠点が多くあるからこそ、DBJの強みでもある4つのDNAの、中立性・長期性・パブリックマインド・信頼性を活かして各社の拠点と連携し、日系企業によるニューヨーク発のユニークな取り組みを何か実現できたらと、今はそんな夢も抱いています。