Story
INTERVIEW
DBJの人と仕事
企業経営の根幹をなす「人」。
自他の知恵と情熱を掛け合わせ、
企業の成長を実現する。
SATOSHI YOSHIMATSU
吉松 聡
2009年入行
総合職|産業|投資
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1年目~
企業金融第2部
通信・放送やIT事業者向けの投融資を担当。
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3年目~
業務企画部
DBJの株主である財務省との窓口となり、予算要求や執行管理などに携わる。政府側の視点からDBJの存在意義を知る貴重な機会となる。
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5年目~
アセットファイナンス部
不動産向け投融資、私募REIT事業の立ち上げに携わる。介護施設の不動産流動化案件ではプロジェクトリーダーを担当。
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9年目~
東北支店
岩手・宮城・福島の事業者向けの投融資を担当。東日本大震災からの復興フェーズであった地域や企業と向き合う。
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11年目~
企業投資第2部
事業会社に対する成長投資、ベンチャーファンドへの投資を担当。シリコンバレーへの出張時、世界の第一線でしのぎを削るベンチャーファンドから大きな刺激を受け、投資の世界の厳しさを知る。
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11年目~
事業会社出向
DBJが投資する事業会社へ出向。中期事業計画の立案・実行を支援。
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12年目~
企業投資第2部
再び事業会社の成長支援投資に携わるとともに、外部の投資会社と共同で進める成長支援投資ファンドの運営も兼務。
向き合うテーマ:成長支援投資
DBJでは、新たな事業創造や事業再編・M&A、グローバル対応など、企業経営における成長戦略を支援するために様々なサービスを展開している。その中でエクイティ投資においては、株式取得を通じた成長資金の供給に加え、DBJが有するネットワーク、情報力、各種金融サービスの活用などにより投資先にトータルソリューションを提供している。企業投資第2部では、単にリスクマネーの供給にとどまることなく、長期にわたる成長を実現するために、投資実施後も企業の成長段階に合わせた支援を行っている。
資金や資本では解決できない問題に対して、
DBJとしてどう向き合っていくのか。
経営者目線と現場感を持ち、共創力を発揮する。
―― 成長支援投資の役割について教えてください。
私の所属する企業投資第2部は、リスクマネーの供給を通じて企業の成長や社会課題を解決し十分な収益を確保すること、そして投資フロンティアの開拓が主な役割です。その中で私は、投資先である事業会社の成長戦略を支援するために、企業価値向上と適切な事業パートナーの探索をミッションに掲げて取り組んでいます。その一方でDBJとしての経営支援ノウハウも高めるべく、老舗のプライベート・エクイティ・ファンドと共同で成長投資ファンドを組成し、私自身がファンド職員も兼職しつつ、ファンドメンバーとともに投資先の価値向上活動に従事しています。
―― 成長支援投資において重要なことは何ですか?
事業会社に対してDBJが資金の出し手というだけでは、提供価値は年々減ってきてしまうでしょう。企業が直面している、資金や資本では解決できない問題に対して、DBJとしてどう向き合っていくのか。そのためには単なる評論家にはならずに、経営者目線と現場感を持つことが大切だと考えています。また、事業環境の変化が激しくなる中で、お客様が抱える課題は複雑化しています。自分一人やDBJ単独では解決できないことがほとんどであるため、ステークホルダーや他の投融資先、コンサルタント、会計士、弁護士などのネットワークを持ち、互いの力を掛け合わせるべく共創力を発揮することも重要です。
―― ご自身の仕事には、どのような意義があるとお考えですか?
日々の業務では、事業会社の皆様に対しリスクマネーの提供に加え、DBJが持つ人材、ノウハウ、ネットワーク等の強みを最大限発揮することによって、投資先単独では対処し難い経営課題を一緒に解決していくことに、大きな意義とやりがいを感じています。また、一歩引いた視点で考えると、世の中でファイナンスが難しいとされているものを実現していくために、テクノロジーやアイデアを駆使して前例を築いていく。そして、それを新たなスタンダードとして業界へと波及させていく、というサイクルを続けていくことに意義があると考えています。これは、成長支援投資においても同様です。まさに投資フロンティアの開拓こそ、DBJが果たすべき使命だと考えています。常に新しい分野に取り組んでいくこと、ブルーオーシャンを見つけていく作業は非常に難しく大変ですが、最後までやると決めたことは決して諦めない姿勢こそが、問題を打破するための第一歩となります。
出向先で実感した
DBJバンカーに求められること、
そしてその先にあるもの。
―― 出向先での取り組みについて教えてください。
成長戦略支援のための投資を行っていたある企業に対し、事業計画の見直しとその実行支援のためDBJから数名が出向しました。私に課されたのは、「赤字が続く事業部門を5年で黒字化せよ」というミッション。まずは、複数の海外生産拠点へと足を運び、対話を重ねながら現場をつぶさに見て歩きました。すると机上では気がつかない改善のアイデアが次々と見つかり、この現場で得た肌感覚を活かし毎週の経営会議に臨みました。最初の頃は“銀行員に何ができるんだ?”という雰囲気も少なからずありましたが、この会社の成長を“自分ごと”と考え、本気でぶつかっていきました。そうした姿勢が出向先の方々の心を動かし、本音で議論を交わすことができるようになったのです。その後、私自身は所属する事業部門だけでなく企業全体への改革にも取り組みました。例えば、かつて所属していたアセットファイナンス部でプロジェクトリーダーとして携わった不動産流動化案件での経験を活かして資金の工面にも努めるなど、これまでDBJのキャリアの中で培ってきたノウハウやネットワークのすべてを注ぎ込んで企業の改革に尽力しました。やがて立案を支援した新たな事業計画をベースにPDCAサイクルが回り始め、ビジネスを前へと動かすことができましたね。
―― 出向先を動かすことができた原動力は?
原動力となったのは、現場で出会った社員たちの想いです。多くの社員たちと膝を交えて話をする中で感じたのは、会社に抱く愛情、製品へのプライド、技術への誇り……。彼らの言葉から、熱い想いがひしひしと伝わってきました。企業にとって一番の資産とは、言うまでもなく人材です。私たちDBJバンカーが経営や事業の現場にまで踏み込み、一緒に悩み苦しみながら企業変革を促し、さらにそこで働く社員の皆さんのモチベーション向上にまで寄与することで、いわゆる企業価値はもとより、必ずしも定量的には測りきれない企業の根源的価値の向上を実現したと言えるのではないでしょうか。DBJが目指すべき投資ビジネスの姿は、リスクマネー供給のその先にあるのではないか。DBJのさらなる可能性を改めて実感した濃密な経験でした。
―― 投資先で力を発揮するために必要なスキルとは?
DBJバンカーが投資先で発揮できる価値の源泉は、自他の専門性をハンドリングし最適解を導く力にあると感じています。戦略的ジョブローテーションを取り入れているDBJでは、一人のバンカーが多様な業務経験に裏打ちされた複数の専門性を有していますが、企業経営に携わるうえでは自身の専門性だけでは十分ではありません。そこから先は、自分の持つ引き出しと行内外にある専門性をいかに掛け合わせ、使いこなせるかが問われます。私自身、自他の知恵を融合させて、お客様の課題解決をハンズオンでサポートする経験を積み重ねながら、将来的には頼れる“社外の経営企画室長”と思ってもらえるような存在になりたいと考えています。