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INTERVIEW

DBJの人と仕事

脱炭素社会の実現に向けて
前例のないプロジェクトに挑み、
日本のエネルギーインフラを強靭にする。

SHOGO NAGAO

長尾 彰吾

企業金融第5部
2018年入行

総合職|エネルギー|グローバル|投資

CAREER STEP
  • 1年目~

    アセットファイナンス部

    不動産証券化プロジェクトへの投融資に従事。オフィス・物流・ホテル案件の他、青森県八戸市の地域活性化を図るアイスホッケーアリーナへの投資案件などを担当。

  • 3年目~

    ストラクチャードファイナンス部

    国内外での再生可能エネルギー関連のプロジェクトへの投融資を担当。英国のファンドと共同で、世界でもあまり例を見ない、政府の補助金を活用しないドイツの洋上風力発電事業への投資をメイン担当者として実行。

  • 6年目~

    企業金融第5部

    RM(法人営業)として石油・ガス業界の企業を担当。脱炭素を目指すお客様に対して、水素やアンモニアなど新エネルギー関係のプロジェクトをともに検討し、実現へ向けての支援に注力している。

いま世界が直面する重大な問題の一つが「気候変動」だ。干ばつや熱波、豪雨などの異常気象による自然災害が世界各地で多発しており、この問題解決に向けて、気候変動の大きな要因とされるCO2などの温室効果ガスを排出しないエネルギーの普及が急務となっている。DBJも金融によるアプローチからその一翼を担い、脱炭素社会の実現を経営上の重要課題として掲げ、強力に支援している。長尾彰吾は、そのための新たなエネルギーインフラ構築の最前線で奮闘している若手の一人である。

画像:長尾 彰吾

次世代エネルギーへのトランジションを促し、
エネルギー業界の事業構造変革を目指す。

―― 脱炭素社会実現のための次世代エネルギー普及に向けて、どのような取り組みを行っているのですか?

現在、私はエネルギー関連業界への投融資を行う企業金融第5部で、石油会社やガス会社などを担当しています。こうしたお客様はいま、既存の事業構造の変革を迫られています。石油や天然ガスなどの化石燃料から、燃焼時にCO2を排出しない水素やアンモニア、バイオジェット燃料など次世代エネルギーへの“トランジション”が求められているのです。お客様の挑戦を支援するため、新たなエネルギープラント構築に必要な資金を供給するプロジェクトファイナンスや、次世代エネルギー関連のイノベーションを生み出すスタートアップ、当分野のベンチャーキャピタルへの投資などを手がけています。

―― “トランジション”が昨今のエネルギー業界のキーワードなのですね。

“トランジション”は「移行」を意味する言葉ですが、まさに業界を挙げて脱炭素化への移行が図られています。その中で石油会社やガス会社のお客様が取り組んでいるのが、既存の設備も活用しながら次世代にも使えるようにしていくこと。そもそも日本製のエネルギープラントは世界に比べても極めて優秀であり、製油所などの設備についても、すべて壊して新しいものを造るだけではなく、既存のものを活かして脱炭素に資するエネルギープラントを再構築しようとする動きがあります。たとえば、石油精製のプラントを、航空機用のバイオジェット燃料の精製に転用する事業などが各地で立ち上がろうとしています。どれも過去に類のない取り組みであり、ファイナンスで支援する私たちも未知への挑戦の連続です。実は、以前に所属していたストラクチャードファイナンス部でも、DBJにとって初となる、海外の再エネファンドとの共同投資案件に関わりました。そこで前例のないチャレンジを成し遂げたことが、いまの私の大きな糧となっています。

海外の再エネファンドとの共同投資。
DBJ初となる案件を、
この手でリードする。

―― 海外の再エネファンドとの共同投資案件について、詳しく教えてください。

DBJは、日本における再エネの有力な選択肢として、早くから洋上風力発電に注目しており、10年ほど前から英国の洋上風力発電事業に出資しています。わが国では再エネ普及に向けて太陽光発電が推進されてきましたが、国土が狭い日本では、太陽光発電設備を設置できる場所に限りがある。一方で、海に囲まれた日本は、洋上での風力発電に大きなポテンシャルを有している。そこにいち早く着目し、すでに洋上風力発電が普及している欧州の知見を獲得するべく、英国の洋上風力発電事業へ出資をしてきたのです。私が携わった案件は、出資先の英国のファンドと共同で、ドイツでの洋上風力発電所建設プロジェクトへ投資を行うものでした。

―― ドイツでの洋上風力発電プロジェクトへの投資は、どのような狙いがあったのでしょうか?

再エネに関しては、日本よりも欧州の方が先進的です。日本では再エネ普及のためにFIT制度が導入され、再エネで発電した電気を固定価格で買い取る政策が敷かれていますが、欧州では電力市場での売電価格に対して補助金を上乗せする制度が主流となっています。さらなる再エネの普及を目指し、日本もいまFIT制度から、より電力市場に連動させた形であるFIP制度に移行している最中です。この洋上風力発電プロジェクトは、ドイツにおけるFIP制度の案件であり、制度の実態を学べる絶好の機会。また、再エネ発電はまだまだコストを要するため、どの国でも政府からの補助金を利用するのが一般的ですが、このドイツの洋上風力発電プロジェクトは補助金ゼロで落札した、当時世界でも珍しい画期的な案件でした。将来に向けて再エネ発電を持続させていくには、補助金に過度に頼らずとも事業が成立するスキームが必要であり、当事者になることでその知見も得ることができると投資を決断したのです。

―― この案件を任された時、入行4年目でしたよね。どのような心境でしたか?

DBJは若手にも責任ある仕事を委ねる文化です。この投資案件も、入行4年目の私がメインとなってリードしていくことになり、大きなチャンスが与えられたことに奮い立ちました。当時、日本では洋上風力発電の事業者を選定する入札が始まったばかりで、どのように事業を運営すべきか、まだまだ模索している段階でした。そのような中、この投資を通じて再エネ分野で先行している欧州のノウハウをいち早く獲得し、日本に還元することができる。また、補助金ゼロで本当に再エネ事業を運営できるのか、金融に携わる人間として大変興味深く、この案件で得られる知見や経験はきっと、日本の再エネの発展に寄与できるものになると意気込んで臨みました。

画像:長尾 彰吾

「できない理由」を探して
諦めるのではなく、
「できる理由」を探し続ける。

―― 投資を実行するにあたって、どのような苦労がありましたか?

海外の再エネファンドと手を組み、欧州の洋上風力発電事業に投資するのは、DBJにとっては初となる取り組みでした。前例がなかったため、この事業の仕組みをすべて一から理解しなければならず、まずはそこに苦労しました。どのような技術が用いられ、どれほどの発電能力を有しているのか、安全性や持続可能性に問題はないのか。そして、どのように発電施設が建設運営され、どんな収益構造になっているのか、なぜ補助金なしに成立するのかなど、現地の関係者とコミュニケーションを取りつつ、10,000ページにも及ぶ膨大な英語の資料を読み込んで精査を行いました。それをもとに具体的な投資条件を詰める交渉にあたりましたが、この案件は共同投資者である英国の再エネファンドとデンマークの再エネ事業者、さらにはスキーム上オランダやドイツの弁護士なども関与しており、価値観や商習慣が異なる多国籍の関係者と意見を調整しながら交渉を進めなければなりませんでした。当初は、この難局を乗り越えたいあまり、有利に交渉を進めようという意識を強く持ちすぎてしまい、DBJにとってマイナスになりそうな要素はひたすら伏せて折衝を重ねていたのですが、互いの主張がぶつかり合うばかりで交渉が停滞。この状況を何とか打破しなければと、上司に相談しました。

―― 上司からはどのようなアドバイスを?

「腹を割ってオープンにコミュニケーションすべき」とのアドバイスをいただきました。交渉の裏にある社内事情や各国の法律ならではの課題などを正直に伝え合うと、表面的な交渉では伝わらない互いの事情を理解することができ、信頼関係が醸成されるものだ、と。上司も過去、数々の海外案件に関わって交渉に苦労したとのことで、実体験に基づいた助言でした。それを心にとどめて交渉を進めたところ、関係者間で着地点を見出すことができ、投資実行に向けて大きく前進しました。

―― この投資案件を成し遂げた原動力は何だったのでしょうか?

この案件をまとめ上げるまでに、一年ほどの時間を要しました。その間は苦難の連続でしたが、メインで担当している自分やDBJにとっても、そして今後の日本のエネルギー業界にとっても、この案件は非常に価値のある取り組みであり、何としてもやり遂げなければと強い意志を持って進めていきました。また、行内の関係部署や当時ご出向いただいていた弁護士の堅実なサポートも私を鼓舞してくれたと思います。たとえば、行内で例のなかった本件投資を、バックオフィスの観点からも行内上取り組みができるように支援していただき、また投資検討の段階で私が気づいていなかった懸念点を的確に指摘してくれたおかげで、案件を進めるにあたっての大事な論点を漏れなく把握することができました。DBJには、たとえ前例のない取り組みであっても、それが価値のあることならば全行を挙げて支援しようというカルチャーがあります。「できない理由」を探して諦めるのではなく、「できる理由」を探し続ける。こうした環境だからこそ、私も最後までモチベーションを保って案件を進めることができました。

日本のインフラを強くしたい。
想いの実現に向け、キャリアを捧げる。

画像:長尾 彰吾

―― この投資を実行したことで、社会に対してどのように貢献できたと感じていますか?

DBJが投資したドイツの洋上風力発電事業は、いま発電施設の建設が着々と進められています。この洋上風力発電は、エネルギー危機に直面したドイツの脱炭素に貢献する重要なエネルギー源として期待されており、その一翼を私たちが担っていることに大きな意義を感じています。また、この案件で得た知見を、日本の再エネ拡大に活かしていくことにも力を注いでいます。行内での共有に加え、国内事業者や関係省庁との対話の中で、私からドイツの再エネ事業について説明することも。そこで私が提供したナレッジが事業戦略や政策を議論する過程で少しでも貢献できていたら嬉しいですね。自分の仕事が社会に良い影響を与えられるようにと願っています。

―― こうした経験を踏まえて、今後どのようなことに挑戦したいと考えていますか?

私はDBJでのキャリアを通して、日本のインフラを強くしたいという志を持っています。私は阪神淡路大震災の被災地で生まれ育ち、幼い頃からご遺族の話を耳にしたことで、脆弱なインフラがもたらす危険性が心に刻まれました。自然災害は、強靭なインフラを作り上げることで被害を未然に防ぐことができるのではないかと考え、それを金融面で支援したいとDBJに入行したのです。いま、私はまさにその機会を得て、未来に向けて日本のエネルギーインフラを強靭にしていくことに取り組んでいます。これまで日本のエネルギーを支えてきた化石燃料からの脱却が叫ばれる中、再生可能エネルギーを自国でまかなえるサプライチェーンを構築し、雇用を維持していくとともに、経済の発展も図っていく。そのような流れの推進役を担いたいと思っています。そしてこれからも、国内外問わず、DBJが担うべき先進的かつ社会的意義の高いプロジェクトに果敢に挑み続けます。その経験から得た知見を広く社会に展開することで、DBJが日本を支える重要な役割を担う金融機関として引き続き期待され、活躍すれば、その結果日本が強靭で安全な国として今後も成長していくと確信しています。