Story
INTERVIEW
DBJの人と仕事
膨れ上がる社会保障費、
医療・介護現場での人手不足。
国家的課題の解決に挑む。
MASASHI NOZAWA
野澤 昌史
2005年入行
総合職|産業|投資
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1年目~
都市開発部
デベロッパーやREITに対する投融資業務、債権管理を行う。
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4年目~
関西支店
関西2府4県の様々な業種の取引先への投融資業務、債権管理を経験する。
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8年目~
サステナブルソリューション部
お客様の環境配慮、事業継続、従業員の健康配慮などへの取り組みから、非財務面の価値を評価する業務にあたる。
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10年目~
財務部
DBJの資金調達や有価証券報告書・IR資料の作成などを担当し、経営全体を俯瞰する視点を体得する。
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14年目~
企業金融第6部
リスクマネーの供給を通して、ヘルスケア事業者の再生などに取り組むとともに、後輩の指導・育成にも注力。
向き合うテーマ:ヘルスケア
人口減少と高齢化の同時進行は日本の大きな課題だ。2035年には3人に1人が高齢者(65歳以上)となり、2046年には総人口が1億人を割るとされる※。そのしわ寄せは現在でもすでに、医療・介護の現場において人手不足として端的に表れ、厳しい経営を余儀なくされる事業者も多い。この課題に金融面から解決の道筋をつけていくのが、DBJのヘルスケア室である。融資のみならず、リスクマネーの供給やヘルスケアファンドの設立、M&A支援などを通じて、事業者の効率性向上、経営再建に取り組んでいる。
※出典…国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
大きなインパクトをもたらした、
ヘルスケア業界大手同士のM&A。
―― 介護業界大手同士のM&Aを手掛けたとのことですが。
高齢化が進む一方で生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は減少し、特に介護の分野では現場で働くスタッフが不足しています。また、日本全体では社会保障費の増加という課題も抱えています。この少子高齢化という難題に金融面から解決を図るのが、私たちヘルスケア室の使命です。その取り組みの一つとして、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のトップオペレーターである学研ホールディングス(学研HD)と業務資本提携を結びました。その学研HDから、国内有数のグループホーム運営事業者であるメディカル・ケア・サービス社(MCS)のM&A(企業買収)を検討していると相談をもちかけられたのは、その提携直後のことです。最終的に私たちを共同投資のパートナーとして選んでいただき、共同投資を実施。この業界の大手同士によるM&Aは、ヘルスケア業界全体に大きなインパクトをもたらすものとなりました。
―― このM&Aによって、どのような効果を見込んだのですか?
MCSは認知症高齢者を対象としたグループホームで、国内で最大の居室数を有していますが、他の介護事業者と同様にスタッフの確保に悩まされていました。そのため、学研グループの知名度や人材の採用と定着についてのノウハウには大きな期待がかけられました。一方、学研グループにとってもMCSが持つ認知症ケアのノウハウを活用できれば、自社で運営するサ高住の入居者の認知症が重症化した場合に、グループ外部の施設ではなくMCSのグループホームでケアができます。このように両社はM&Aによって、大きな相乗効果がもたらされることが明確に期待できていたのです。
―― 介護の現場を見て、どのような印象を持ちましたか?
それまで認知症に関する知識が乏しく、グループホームのイメージがなかった私にとって、MCSの認知症グループホームで見た現場の光景は新鮮なものでした。スタッフの方も居住者の方も、皆さん明るくにこやかな表情だったのです。運営体制も非常にしっかりとしていてスタッフのプロ意識が高く、社風も理念も学研グループに共通していると感じました。何より私が感銘を受けたのは、まだ40代と若いMCS社長の持論です。「グループホームに入居された方の認知症の進行を抑制するだけではなく、認知症の予防にも取り組みたい。認知症の方が減ることはご家族のためにもなるし、社会保障費の抑制にもなる」と仰っていました。その言葉通り、国立大学やメーカーと手を組んで、脳波の画像診断を用いた実証実験も行っています。認知症の方が増え、グループホームに入居する高齢者が増えれば、MCSにとっては利益になりますが、それを望んではいない。ご家族に寄り添い、日本の課題解決に向き合う誠実な姿勢に私は心を動かされました。だからこそ、このM&Aを成功させなければと、より強い思いを抱くようになったのです。
ヘルスケア業界の再編や、
M&A・グループ化を促したい。
―― このM&Aは、どのような評価を受けましたか?
このM&Aは、学研HDにとってこれまでで最大規模の投資案件であり、検討は慎重に進められました。私たちDBJは、学研HDの健全な財務体質を損なわないファイナンススキームに加えて、投資後の経営サポートも提案させていただきました。その姿勢を評価していただいたことで、私たちは共同投資家としてパートナーに選ばれたのです。実際にDBJの職員がMCSの取締役に就任していますし、当初の計画の通りに買収成立後の統合プロセスも順調に推移しています。今回のM&Aは、学研HDとMCSの成長に貢献できたことに加えて、社会保障費の抑制やその制度の安定化という側面においても社会的な意義が認められる案件となりました。その結果、ヘルスケア業界全体に大きなインパクトをもたらし、現在、ヘルスケア室には数多くの問い合わせが寄せられています。
―― 今後は、どのような取り組みを行っていきたいですか?
介護の分野は、人手不足以外にも長時間労働や待遇改善、非効率なオペレーションなど、多くの問題を抱えています。医療の分野でも、赤字病院の割合が全体の約7割を占めているという現実があります。医療や介護分野は、他の業種に比べると小規模な事業者が多く、施設運営において非効率なケースが多くなっています。そのため、DBJは今回のM&Aをモデルケースに、ヘルスケア業界の再編やM&A・グループ化を促すことで、業界全体の経営の効率化を後押ししていきたいと考えています。膨れ上がる社会保障費の抑制やその制度の安定化といった国家的な課題に対して、私はこれからも解決への志を強く持ち、融資も投資も可能なDBJならではの強みを活かして、お客様の成長に貢献しながら社会課題の解決に立ち向かっていきたいと考えています。