Story
INTERVIEW
DBJの人と仕事
地域経済の桎梏となっている
リスクマネー供給の立ち遅れ。
状況打破のブースターとなる。
RYO FUKUDA
福田 亮
2007年入行
総合職|地域|投資
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1年目~
企業金融第6部
北関東甲信の中堅企業向け融資を担当。オーナー企業への営業を通じ、バンカーとしての基礎を身につける。
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4年目~
省庁へ出向
マクロ経済調査に携わり、省庁職員や他社からの出向者の中で幅広い知己を得る。
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6年目~
審査部
債権管理等を担う。再生案件では、法的整理の全体設計から携わり心を砕いた。
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8年目~
省庁へ出向
DBJ法改正のチームに加わり、改正法案の手続きのサポートを実施。
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9年目~
経営企画部
DBJに帰任し、省庁のカウンターパートを担う。行内外の多くの関係者とのネットワークを構築。
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11年目~
企業投資第3部
九州支店で一時的に熊本地震の復興支援ファンドに携わった後、企業投資第3部へ。地域金融機関や事業会社との協働ファンドの組成・運営を担う。
向き合うテーマ:地域
日本が今後も成長し続けるには、地域経済の活性化が欠かせない。しかし地域において経済の牽引役となる中堅・中小企業への資金提供方法はいまだローン(融資)が中心で、成長支援や事業承継、災害復興などに資するリスクマネーの供給が不足している。この課題に対応するため、地域金融機関等と協働ファンドを組成して、地域企業の資金需要に応えていくのが企業投資第3部だ。DBJの様々な投資知見を活かしてリスクマネー供給のブースターになるとともに、協働ファンドの投資先である会社の社外役員も務めるなど、地域企業のバリューアップに尽力している。
いち早く地域に入り込み、
新たなリスクマネー市場を創り出す。
―― どのように地域企業への投資を行っているのですか?
地域金融機関や事業会社と組成した協働ファンドを通じ、株式投資やメザニンファイナンス(融資と投資の中間的な金融手法)などのリスクマネー供給を行っています。現在、地域金融機関において、地元企業に対するリスクマネー供給は喫緊の課題です。だからこそ私たちは、自らがいち早く地域に入り込み、地域金融機関等と協働することで、新たなリスクマネー市場を創り出すという意気込みで臨んでいます。企業の事業性を評価し、通常のローンよりも深いリスクを取るにあたっては、地域金融機関等もこれから経験を積んでいく段階であり、協働先としてDBJの投資知見に期待する声は非常に多い状況です。
―― これまでの印象深い案件を教えてください。
私が企業投資第3部に着任して間もない頃、協働ファンドを組成しているとある地域金融機関の担当者から投資検討の要請を受けました。「地元の有名企業の創業者が、現在他者に移っている経営権を取り戻したいと言っている。ついては、そのお手伝いがしたい」という内容でした。その企業は優れた商品開発力により、ロイヤルティの高い顧客を国内外に有するアウトドア用品のメーカーです。私のチームは、メザニンファイナンスの一種である優先株を用いたカスタムメイドのスキームを作り上げ、創業者の願いに応えることができました。創業者が経営権を取り戻したことで会社は勢いづき、業績も右肩上がりで伸びています。
―― この会社では、社外役員も務めているとのことですが。
より深いリスクを取るからこそ、DBJとしても積極的に経営に関与し価値貢献することが必要となります。この案件では、月1回の役員会には必ず出席して事業動向を把握するとともに、会社に申し入れをして財務管理体制の強化を図り、時には意思決定資料を自ら作成するなど、経営に深くコミットしてきました。社長は世界中にファンのいるブランドを一代で築き上げたカリスマだけあって、非常に緻密な戦略家です。商品のブランディングにも長けています。とはいえ現状の商品のメインターゲットは限られた愛好家で、将来を考えればファン層を広げることも重要な課題です。私もこれまでのキャリアで得た知見や経験を活かして新規ユーザー開拓のための自分なりの見解をしっかり伝えるように心掛けています。時に社長の新たな気づきになることもあり、「ご指摘ありがたい」と言っていただいています。
投資先を「わが社」と思い、
当事者意識を持つ。
―― 社外役員になると、見えてくるものが違いますか?
事業の現場に入ってみて初めて見える課題も多くあり、改めて企業経営の難しさを感じるところです。店を1軒出すにしても、新商品を出すにしても、想定通りの結果が出ないことは珍しくなく、問題の要因分析をしても外れることもあり、まさに答えのない世界ですね。それぞれの課題解決に最善を尽くすべく、他の役員や事業主と一緒に悩み、知恵を絞っていかなければなりません。
―― 社外役員としてのポリシーはなんですか?
当事者としての意識を強く持ち、自分自身が納得できる考えを実直に伝えることをポリシーとしています。だから、投資先のことは「御社」ではなく「わが社」と呼んでいます。そして、バンカーである自分は計数管理には強い。様々な業界を見てきた経験からもできる貢献があるはずと思い、率先して意見を述べるよう意識しています。他の役員や事業主から、「福田は耳の痛いことも言うけれど、言っていることは正しい」と思ってもらえるようになることが大事です。そうして信頼関係を構築し、企業価値向上のために地道な努力を積み重ねることは、最終的には地域や日本の発展にも繋がると信じています。
―― 今後のキャリアをどのように考えていますか?
これまでのキャリアでは、地域企業と直接向き合う現場の仕事と、DBJ自体の経営を支えるコーポレート部門での仕事を交互に経験してきました。今後も自身の経験を活かし、地域投資の担い手の1人としてあり続けたいですね。同時に、DBJには優秀で尊敬できるバンカーが沢山います。多種多様なDBJバンカーたちが存分に仕事に打ち込める環境を整え続けることも、日本の経済社会の発展の一助になり得ると信じているので、強いDBJを俯瞰的な立場で作っていく取り組みも、もう1つの自分のテーマとして考えています。