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BUSINESS REPORT

DBJのテーマ

イノベーションDBJ

画像:濱田 準哉

JUNYA HAMADA

濱田 準哉

PROFILE

企業投資第2部/2015年入行
企業金融第1部で化学業界向け投融資業務に携わった後、北海道支店に異動。その後、経済産業省への出向を経て、企業投資第2部で発足したグロース投資チームに参画。現在、レイターステージのスタートアップに対する投資に奔走している。

成長軌道に乗ったスタートアップへの
リスクマネー供給が課題。
DBJだからこそ果たせる役割。

―― 企業投資第2部の役割そして濱田さんの業務内容について教えてください。

企業投資第2部は、「グロース投資」・「経営支援投資」・「東南アジア投資」の3チームから構成される企業向け投資の専門部隊です。その中で私が所属する「グロース投資チーム」は、主にレイタ―ステージのスタートアップへの投資をミッションとしており、グループ会社のDBJキャピタルや業務企画部イノベーション推進室と連携しながら、DBJグループ全体でシードからレイタ―ステージのスタートアップに対する支援をシームレスに行っています。私は、スタートアップに対する投資の検討、実行、投資先の支援に加え、チーム体制整備のための企画業務などに奔走しています。実は、このグロース投資チームはここ数年で立ち上げられた新しいチームなんです。

―― なぜグロース投資チームが立ち上げられたのでしょうか。背景も含めて教えてください。

日本のスタートアップは、世界に比べるとまだまだ成長力に乏しいのが現状です。ユニコーンと呼ばれる、企業評価額10億ドル以上であり、設立10年以内の未上場スタートアップの数は、米国はもとより隣の韓国よりも少なく、スタートアップが成長しやすい環境だとは言い難い。中でも推進すべき重要なテーマの一つが、事業が軌道に乗って上場を目指しているレイターステージのスタートアップに向けて、さらなる成長のためのリスクマネーを供給していくこと。レイタ―ステージのスタートアップは、資金調達が容易ではない状況であることから、DBJでグロース投資チームを立ち上げました。また、近年は政府もこうした状況を受け、2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を打ち出し、スタートアップへの人材や資金の投入を強化する政策を講じるなど、様々な観点で機運が高まりつつあります。

―― なぜレイターステージのスタートアップは、資金調達が容易ではないのでしょうか?

起業して間もないアーリーステージでは、必要とされる資金規模も小さいため、ベンチャーキャピタル(VC)がリスクを取って供給しています。一方、レイターステージで事業をより成長させるためには数十億円規模の資金が必要となることもあり、一件あたりの投資がここまで巨額になると、VCが投資をするハードルは高くなります。また、成長を志向する企業ほど積極的な先行投資によって赤字であることが多いため、一般の金融機関から融資を受けることも困難です。この段階で一定規模の資金供給ができる金融プレーヤーが日本では少ないため、DBJがこの役割を担い、継続的に投資を行うことで、レイタ―ステージのスタートアップが投資対象として確立され、ほかの民間投資家が資金を供給する流れを作っていければと考えています。

画像:濱田 準哉

スタートアップの成長可能性を
いかに見極めていくか。
未知のマーケット開拓に挑む。

―― スタートアップの選定・投資可否は、どのように判断しているのですか?

有望なスタートアップを、チームメンバーが個々に築き上げてきた人脈や、DBJの持つネットワークを活用して発掘し、経営者へのインタビューなどを通じて成長可能性を深く探って投資先を選定しています。また、その投資判断にあたっては、精緻な分析が求められます。私は年間で50社以上のスタートアップの経営者の方々との面談を重ね、投資先候補を分析することに日々奮闘しています。
スタートアップは、新たなビジネスモデルで世の中にまだ存在しない市場の開拓に挑んでいるケースが多く、その事業がどのぐらいの価値があるのかを正確に判断することが困難なのが実情です。事業が急激に伸びていたとしても、それが目新しさによる一時的な勢いなのか、それとも市場に認められて社会に浸透していくものなのかを見極めていくのは、容易いことではありません。そのような中で懸命に考え抜き、正しく判断して投資することで、日本の経済成長に寄与することができる――。地道な仕事も多いですが、こうした想いがモチベーションの源泉になっています。

画像:濱田 準哉
画像:濱田 準哉

単に資金を投じるだけでなく
投資先企業の成長を真に追求するのが
「DBJらしさ」。

―― スタートアップへの成長投資案件で、印象に残っている案件を教えてください。

先日、不動産テックを手がけるスタートアップへの投資を実行しました。私たちが支援したいのは、社会が抱える課題を解決し、将来的に日本経済を牽引するような存在となりうる企業であり、今回の投資先企業もその一社です。この企業は、大手ディベロッパー出身の30代の起業家によるスタートアップで、まだまだアナログで非効率な商業用不動産に関するデータの流通を変革するプロダクトを提供し、急成長を遂げています。

投資に至ったきっかけは、DBJ内で不動産金融を手がけるアセットファイナンス部からの情報提供。アセットファイアンス部では同社のサービスをすでに利用しており、同社が構築している商業用不動産のデータ基盤と、DBJが保有する不動産ビジネスの知見や業界内のネットワークを組み合わせることで、新しいソリューションを編み出せないかと検討していました。投資先企業もDBJとの協業に意欲的で、ともに新たなビジネスを起こすにあたってDBJから出資を受けたいという意向があり、そこに私たちのグロース投資チームが関わることに。この企業は大いに投資価値のあるスタートアップであり、かつ、DBJとの協業によって商業用不動産領域でイノベーションを起こせるのではないかと考え、出資の実行に加えて資本業務提携契約も締結しました。この案件はまさにDBJらしいと捉えています。

―― 「DBJらしさ」とは、具体的にどこに表れているのでしょうか?

スタートアップに投資するプレーヤーとしての私たちの強みは、DBJのリソースを存分に活用しながら投資価値を見極め、投資実行後の成長を支援できることです。今回の案件も、このスタートアップがどれほどの可能性を秘めているのか、不動産領域の知見があるアセットファイナンス部と連携して検討を行ったことで、より投資先企業の競争優位性に対する理解が深まったように思います。また、今後の支援に関しても、アセットファイナンス部が持つノウハウやネットワークを活用し、資本業務提携まで踏み込んだ関係性を築くことで、成長を加速させて企業価値をいっそう高めていくことができる。いずれも、スタートアップ投資に特化した組織とは異なり、不動産ファイナンス部門も有し、部署を超えて連携することで投資先企業の成長を真に追求するDBJだからこそ担うことができたと思っています。

画像:濱田 準哉
画像:濱田 準哉

金融フロンティアを拓いてこそ
DBJの存在意義がある。
スタートアップ領域で描く未来像。

―― 今後、日本のスタートアップを支援するにあたって、どのようなことに挑戦したいと考えていますか?

私たちだからこそ提供できる価値を、もっと追求していきたいですね。DBJはこれまで、「金融フロンティアの弛まぬ開拓」を使命に掲げ、先進的な金融手法を自ら生み出して、投資先企業や社会が抱える課題の解決に貢献してきました。そこで培われた知見をもとに、スタートアップ領域でのファイナンス手法の高度化にも取り組んでいきたい。例えば、企業の資金調達手法は、エクイティ(資本)、デット(負債)に加え、それらの中間に位置する金融手法もあり、大企業向けには多様なファイナンスがすでに確立されていますが、それをスタートアップ領域にも適用し、スタートアップがより容易に資金調達ができる環境をつくれたらと。また、DBJは様々な領域で“つなぐ”機能を有していることも大きな特徴の一つです。スタートアップ領域においても、スタートアップと大企業、海外と日本など、あらゆる方面でDBJが結節点となり、成長を支援できればと考えています。

―― こうした取り組みを通して、どのような未来を実現したいのでしょうか?

個人的な想いとしては、海外進出に挑戦する日本発のスタートアップが次々と出現してほしいと思っています。国内市場だけをターゲットにしていては、成長にも限界がある。グローバルな市場で勝負できるスタートアップが現れれば、日本を代表する企業になっていくと思います。そうした世界で通用するスタートアップを一社でも多く創り出すことに貢献したい。また、社会課題を解決して世界に大きなインパクトを与えられるような先端技術を持つ「ディープテック」も支援していきたいです。ディープテックこそ大きな資金が必要であり、思うように成長できないスタートアップも多いので、その可能性を見極める力もつけて、投資できる存在になりたい。こうした取り組みを通して、DBJの真価を発揮しながら日本の未来を豊かにしていきたいと思っています。